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その30
その30
フラッコは、人間どもに、たかられる『ぼうごふく』を観察していました。
『ぼうごふく』は、心配されているようですね。
フラッコは、ためいきを吐き、『ぼうごふく』をいちばん心配している、いちばんちいさな子の頭に飛び乗りました。
カラスさん?
そいつが目を覚ましたら、つたえてくれるか。
なにを?
未練が残っているうちは、美味くもないし、食べても胃袋が重くて、うまいぐあいに空の高いところまでとべないんだ。
だから、どーせ、あと何ヵ月かしか生きられないんなら、そのあいだに未練を消しておけって。
チョコレートをあげるべきなのは、たぶん、オレにじゃないと思うんだよな。
う、うん。わかったよ、つたえておくね?
そうしてくれ。やくそくをやぶったわけじゃなくて、そいつが美味しい死体になったら、オレが食べに来てやるからよ。
そして。
そのときは、あんたの、あのちいさな子がいる空につれていってやるからな。




