その1
世界はすっかりと滅んでしまいましたが。カラスは死体を食べればよいので。
あんまり問題ありません。
ヒドイ話だとか言われても、フラッコはカラスなので気にしません!
それに。
彼には、彼なりの美学ってものがあるのですから。
その1
フラッコにとって、空というものはいつも灰色がかっているものでした。
疑問に思うことはありません。
卵のからが、まだ頭に乗っていた始まりの日から、いつでも空は灰色だったからです。
でも。まだ今より幼かったころ、フラッコは物知りな旅のフクロウから教えてもらいました。
じつは、本当の空は青いんだよ。
フラッコは聞きました、じいちゃん、そいつは光ナマズよりもキレイな青なのかい。さすがに、あれほどじゃないんだろう?
いいや、あれよりも綺麗さ。
そーかい。もっと青いのか。なんとも見てみたいもんだなあ。いつ、見れるのかい?
旅のフクロウはホホホとしずかに笑い、そのあとで首をくるくる回しました。
ゴハンのねずみを探しているのです。
フラッコは話をはぐらかされたことに気づき、いじけます。
オレが子供だからって、バカにしてるのか?
いいや、そうじゃないよ。すまないね。なかなか、答えに困る問いなんだ。
どーしてだい?
もう、世界が終わってから、20年ほど経つのだけど……一日だって、晴れた日は来ないんだよ。