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梅
明末清初の中国
山中
川が流れる
渓流の岩場で武術の型の練習に励む若者がいた。
そして川で釣りする老人がいた。
型の練習を終え、若者は老人に近ずく。
「先生、朝の練習、終わりました」
「御苦労、では魚を焼いて食べなさい」
パチパチパチ
若者が焚き火しで魚を焼く。
「ずいぶん質素な朝飯だな」
男の声が聞こえた。
「どなたじゃな」
「梅と言います」
「鍋でも食べましょう」梅はそう言って鍋を持ち出した。
「ホホウ。これはありがたい」老人が言った。
「やはり食事は皆と食べると楽しい」梅が言った。
「お住まいは」老人が言う。
「ありません」梅は答えた。
「では私の家に行ってみましょう」老人が言った。
「分かりました」梅が答える。
三人は老人の家に向かった。