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オッサンのエロゲー世界攻略記  作者: 土門 水
第一章 いざ改変!先生ルートを目指せ!!
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 2 この世界での歩き方

気絶から目を覚ましてからの話です。

 



 

 私は気絶してから目を覚ますと、昼ぐらいになっていた。頭痛はすでに消え去ったが、頭が少し重くなった。気を取り戻し、取りあえず顔を洗いに一階に下がると母親がいた。


「大丈夫かい?」にやけ顔で言っている。

「ああ、うん」


「母さんの名前思い出した?」

「…えっと」

少し頭が重いが、何となく思い出そうとすると…

「…アキネ」と名前が出た。

「よし、夢から覚めたな」と返された。


 私は全く知らない名前だった。

 だが、スルッと名前が出たのだ。たぶんあの頭痛によって何かが変化したのだろうと思う。


 私は、彼女が作ってくれた昼食をいただいた。家で料理された食事を食べるのなど何年ぶりだろう。子どもの頃を思い出して懐かしくなった。「ごちそうさま」と言ったら「あいよ」と返事が返ってくる。なんと素晴らしいことなのだろうか。

 

 昼食後、気晴らしにという理由を付けて出かけてみることにした。

 母親は少し不安そうにしていたが、夜には帰ってくるようにとだけ言われる。


「さて、まずは、私が行くことになる学校を見てこようかな」


 スマホがあるので、学校まで地図機能を使用して行くことにした。

 非常に不安になる。もし、自分の推測が当たっていれば大変なことになる。

 

 すなわち、昨日終えたエロゲーの世界に私が、物語の開始前に物語の学校に就学することになるということだ。そうなると、主人公以外のモブはほぼ殺されてしまうことになるのでマズいのだ。あのエロゲーでの主人公の名前は確か鎌将正矢。私のこの世界での名前は谷口翼であるから、由緒正しい血統の


「モブキャラ」だ。


 つまり私は殺されるので、ビクビクしながら豚のように高校生活を送らなくてはならないのだ。

 なんという、非日常を味わえるスクールライフなのだろうか!

 

 でも、まだ…まだ、学校に着くまで希望を失っていない。

 もしかしたら、他のギャルゲー世界かもしれない。や…もしかして、ひょっとすると…

 

 …大丈夫!

 

 きっと俺は、そこでの主人公!!

 

 ハーレムライフを鼻を大きくしてグヒグヒいいながら、

 

 スゥイートッな生活を送るのだ!!!

 

 

 …だ!!……だ!………だ…………




 「だっ、だよね。」


 坂を上がると

…そこにはものの見事に咲いた桜と

エロゲーの立ち絵によく出てきた校門前があった。

そして校門の先をみると、あのエロゲーに出てくる学校の構造物が見えた。

校門にはしっかりと「県立聖○○○○高等学校」と書いてある。


世迷言など一瞬で吹き飛んだ…泣きたくなった。

 

 私はその後すぐに家に帰り、この町が事故ってないか、また、主人公関係やエロゲーに関係することを調べた。

 その結果、エロゲーの開始前から直後であるということが…わかった。

 

 「くそ主人公め。俺と同年代で生まれてくるんじゃねーよ!」

 当然、私は死にたくない。

 だからなんとかして、この死線を乗り越えなければならない。

 

 さて、どうしようか。

 私は先ず一般人でモブである。魔術なんてものは使えないし銃器なんてものも扱えない。

 おまけに学生の身だし、基本的には危機を全力で回避するしか方法はない。

 ということで、先ずは軍資金が必要になる。逃走費用を確保する必要があるからだ。

 取りあえず新幹線か飛行機で逃げれるようにしなくては、半径20㎞だからそう遠くなくてもよいが、取りあえず九州までの高飛びルートは確保しよう。それからその後の宿泊のことも考える必要があるな。


 …家も何も付近は全て蒸発するから…。


 軍資金調達のためにバイトができたらバイトしよう

 それから万一の避難所も確保する必要があるな。地下の方が良い。それから…。

 

 色々と自分の回避計画を練っていくことを考えていたが、ここで例のノートに注目する。

 せっかく、エロゲーの攻略本があるのだから、これを利用しない手はないだろう。

 だけどもどうすればと思い、攻略本の斜め読みを始める。

 私はこの時、打開策を思いついた。

 「そうか。バットエンドだ」

 

 このエロゲーには、幾つかエンドの種類がある。

 一つ目は、爆発エンド

 二つ目は、妖怪との大決闘エンド

 三つ目は、妖怪との融和あるいは裏切りエンド

 四つ目は、平凡エンドあるいは何も起こらないエンド

 五つ目に、バットエンドである。

 

 1、2は爆発したり、妖怪との決闘で被害が大きい。3の融和・裏切りエンドも主人公が妖怪の戦力に含まれてさらに人間に被害が大きくなるためヤバい。論外だ!


 目指すとなると4か5がよい。

 

 ただし4は基本的に難しい。主人公は好奇心が強いバカなので、平凡ルートにはいってくれないだろう。普通に過ごすだけで妖怪関連に関わる。普段鈍感でどっか頭のネジが飛んでいるようなのに、何故かその時だけ好奇心が強くなるのだ。


「いったい何人がお前の行ないのせいで死ぬと思ってんのか…クソめ。」


 平凡ルートは、セーブとプレイヤーがいて初めて成立するルートだ。

 

 となると五つ目。

 …ここは、好奇心の強い猫は誰にも迷惑をかけずに死んでもらうのが得策ではないかね?

 ハッキリ言って一番いいルートだ!

 

 ただし、主人公が死ぬだけで世界のことは語られないため、なにが起こるのかわからないエンドでもある。ある意味マズいルートでもあると思う。

 

 そうなればである。死なないバットエンドルートを選べば良いだけだ。

 

 つ・ま・り【先生ルート】を超特急で目指せばいいのだ。よし!そうしよう!


 普段は草食系男子だから全く女っ気がない鎌将君には、中間管理職のアラフォー女と寝てもらう。

 女っ気がない童貞に、せっかく女を手引きしてやるんだから、最後まで上手くやれよ。

 上手くやって、”私より早く”さっさと女とセットで高校を”卒業”してしまえー。

 

 こうすることで、災厄の目は少なくても高校からずれることになるだろう。まあ、悪く思うなよ。

 



 オッサンはニサニサと黒い笑みを浮かべつも、彼の胸中ではまるで、空を覆っていた雲が一気に晴れるようなそんな感じであった。


 …だが、物事はそう簡単に上手くはいかないものなのだということを彼は後から知ることになる。






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