第9話
それからも客室まで道を進む。気のせいか遠回りしているような気がしないでも……もといそれはないわね。きっと気のせいだわ。
私は金貨や金塊のようにゴールドなカルシラスト様の髪を見つめる。何て綺麗なのかしら……。女性の髪より艶やかだわ。羨ましい……。
私は私をおぶってくれているカルシラスト様にこう聞いた。あまりにも華美で品があるのでお断りをいれなくてはと勘案したのだ。
「カルシラスト様……その髪を触ってもいいですか? あまりに綺麗なもので……」
相手はなぜかビクッとした。それから言葉を放つ。まさかカツラとかいうオチかしら? それはないか地毛にしか見えないし。きっと考え事をしていたのだろう。
「かまいませんがやさしめでお願いします……。緊張します……」
私はカルシラスト様の後ろ髪をそっと片手ですくい持ち上げた。サラサラだ。高級な糸のよう。カルシラスト様は「はうう……」となぜか弱っている。
髪に触れられるのに弱いのかもしれない。意外な弱点があったものだ。私は金髪を優しく撫で撫で。「あうう……」とまいってきたカルシラスト様。やり過ぎちゃったかしら……。