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第7話
私は愛されているということかしら。それとも私が勘違いしているだけ? 私をせおった王子様が部屋に戻ると王族の方がこちらを仰天してみる。
お客様方も瞠目している。わけを私が気分が悪いらしいと告げその部屋を出て廊下を進む。等間隔に配置された照明が私たち二人の影を作り出す。
私はこう言った。これ以上迷惑をかけられないからと思って。毛足の長い緑色の絨毯は果てしなく続いている。
「カルシラスト様、これ以上あなた様に厄介になるのは気がひけます。下ろして……」
それに被せるようにカルシラスト様はこう話す。息が荒い。私のせいで……。
「あなたは私の宝物です。たとえ君を守れなくても……救えなくても……私はあなたのために人生も命も捧げます。私の信念です」
私は「すみません、でも、嬉しいです。私なんかのために……そこまで言ってくださるなんて……」と少し泣きそうになり、その気配を察したのかカルシラスト様は「泣かないでくださいね、愛しのマリカナ……」と言葉を放つ。
私は彼の温かい言葉と背中に心がぬくぬくしてくる。幸福がおういつしたかのよう。