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第65話
私が「カルシラスト様?」と話しかけるもリアクションがない。眠ってしまうわけはないし……。
もうちょっとこうしてても良いと言うことなのだろうか。もう少しだけ……。もう少しだけ……。
あら? 頭がクラクラしてきたわ。船酔いみたいに。おかしいなあ……。仕方ないのでカルシラスト様に体をあずけた。
彼は「マリカナ……!」とどこか嬉しそう。私をいっそう強くギュッとした。私は「ふみゅ!」と奇声をあげた。
カルシラスト様の腕の中はゆりかごみたい。だんだん眠くなる……。ってだめだめ。
そんなことしたら愕然とされちゃうわ。おどかしたら心臓にだって悪影響がありそう……。
カルシラスト様はこう口にした。私をうるんだ目で見つめながら。
「離れた方がいいですか……? 出来れば……出来ればですね……」
「もう少し……このままで……天から……迎えが来るまで……」と返す私。
私はまたまた「ふみゅ」。