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第6話

 私は本心を隠すカルシラスト様が憎悪すべき対象のように思えた。口でうまいことを言って女の子をかこっているのでは?


 いや、そこまで残酷非道な人ではないわ。彼は紳士だわ。そう心のうちのもう一人の私が言う。そうだわ、今までのことを振り返ってもそんなそぶりは見せなかったし、変な噂もそくぶんしないし……。


 そこでふと視線を地面からカルシラストに向けると心配そうな顔でこちらを見つめている。


 彼は何を思ったかしゃがんでこちらに背中を向け言った。ここからでは表情はうかがえない。


「おんぶしますのでのってください。さあ、早く……」


 私は一国の王子様がそんなことをするなんてと驚いた。これはパフォーマンスでは? と疑う心もあったがそっとその背中によじ登った。彼の背中はこれまた予想以上に広かった。彼はこう口にした。


「すぐ客室へお連れします。名医もすぐ手配しますので! それと私以外の男性の背中にはのってはだめですよ。マリカナ。そんなことをしたら私はその男を罰します!」

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