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第57話
扉をくぐりもう絶対離さないと誓ったかのように私はカルシラスト様の手を握りしめる。あ、力いれすぎちゃったかも……。
でもそれぐらいしないと遠くへカルシラスト様は渡り鳥のように飛び立ってしまいそうで不安に押し潰されそうになる……私の考えすぎかしら……でも、でもそれは現実に起きるかもしれない。
私は悪さはしないけど悪役なのだから……普通の令嬢が良かったわ、それであとはカルシラスト様と一緒にいられれば最高なのに……。
でも、世の中は残酷なところがある。上手くいかないことなんて山積するほどあるのだ。餓えて死ぬ子だって絶対いるし、生きたくてもそれがかなわない人もいる。
私は生きていて、さらにカルシラスト様のおそばにいられるのだからそれだけで幸甚ではないか。これ以上を望むのは神様に素手で喧嘩をうるようなものではないか……。
カルシラスト様が「あのバラは綺麗じゃないですか?」と話をふってくれたので現実に回帰できた。私は花壇に咲く赤と白のバラのコントラストに驚く。きっと庭師が綺麗に育て上げたのだろう。私は「はい」と返しておいた。




