第4話
まるで胸に針が刺さったかのようにチクリとする。カルシラスト様は私の方を見てギョッとした。そしてこう言葉を投げかけた。
「マリカナ、なぜ泣いているのです!? ああ、泣かないで愛しのマリカナ……あなたが泣いていると私の心ははち切れそうです。私の大事な大事な宝物……」
今度はギュッと強めに抱きしめちょっと離し「マリカナ、目をとじて……」と言われたのでそうすると甘い芳香がする息が私の額にかかり柔らかいものが私の目じりに触れた。それで私の涙を除いてくれているようだ。
私が目をこっそり開くと反対の目にもゼリーのように柔らかなカルシラスト様の唇が触れる。
私はばれないように慌てて目を閉じた。カルシラスト様は私を大切にしてくれているのよね? 誰にでもこんなことをするわけではないのよね?
カルシラスト様は「さあ目を開けて、マリカナ。そして君の天使のような笑顔を見せておくれ」と発言した。
私はおずおず目を開く。まるで罰を受ける子供のように。
カルシラスト様は完璧な笑みを私に向けてくれている。とてもハンサムな顔でどんな女性も見とれてしまうだろう。無敵艦隊のよう。
私はカルシラスト様をジーッと見つめた。またキスしてくれるかと思って……でもあれはキスなのだろうか? 誰にでもする事? 私の心は荒波のようにうねっていた。