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第31話
私とカルシラスト様は手をつなぎ階段をトントンと下りていく。長い階段だ。それにも高価な材料が使われているのは一目瞭然だ。流石は権力者の住みかね。
私の家も豪奢でシックだがどうあがいてもこのお城にはかなわない。カルシラスト様の婚約者だし、私もいつかはここで暮らすことになるのかな。
あまりに広いから最初は苦心しそう……迷路のように迷ってしまうかも……。それよりも今後よね……乙女ゲームのように学生生活が始まったらなんとか破滅を防がなければならない。
国外追放や死罪なんて最悪以外のなにものでもない……。私が憂鬱になり「はあ……」と嘆息したのでカルシラスト様は「どうしました? 私に何かいたらない点でもありましか? すぐなおしますよ?」と慌てて話す。
私は念のため聞いてみた。後学のため。彼はそんなことをする残酷な人間にはとてもみえず、グッドパーソンだ。しないと信じたい……。
「カルシラスト様は私を国外追放や死罪にしたりしますか?」
唐突な質問にカルシラスト様は目を丸くしたが優しくこう言ってくれた。
「ありえません! 絶対に!」