第3話
カルシラスト様は「今日のパーティーはどうでしたか?」と聞くので私は「カルシラスト様の傍にいられて幸福でした。ずっとこの時間が続いてほしい……そう思いました……」と返す。
そうするとカルシラスト様は私をそっと抱き締めた。彼の予想外に筋肉質な体に驚いた。なんとも安心できるほうよう。このまま時間が止まってしまえばいいのに……。
この気持ちが恋なのだろかと私は自問自答。カルシラスト様を見上げると切なそうな表情で私を見つめている。
カルシラスト様にとって私はなんなのだろう。婚約者だからこんなことをしてくれているだけ? ただの気まぐれではないか? 等と私のなかで不安が膨らむ。
そこで私を離したカルシラスト様は空を指差し「流れ星だよ。マリカナ」と言う。私はそんなことより繋いだままの手のひらに汗をかかないか気にした。だって嫌われちゃうかもしれないし……。
カルシラスト様は「何か願い事をしよう。私はもう決めてあるけれど……」と言う。切れ長な目が夜空を見つめる。
私は夜空よりも私を見て、そう思っていた。あなたが他のものを見ていると不安になるの。私がちっぽけで価値がなくてカルシラスト様にとってモブキャラの一人でしかないように。