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第179話
「あ、失礼。お相手の男性でしたか……」
「そうよ、聞いてちょうだいよ。私が別の男とデートしただけでもう、別れるとか言い出して……」
「いや、それはあなたが悪いです。カナダさん」
私とカルシラスト様はこくこく頭を縦に振る。
「え! なんでよ? ちょっと遊んだだけじゃない。手も握っていないし」
目をぱちくりするカナダ様。悪気はないのね。
「いいですか、紳士はそういうことは決して許さずです。他の男となんてイライラします!」
「そんなもんかしらね……。私が悪いのかしら……」
カナダ様は世界一の難題を思案し解こうとしている顔をした。
いや、それってどんな顔かしら? 彼女は「うーん」とうなり額に手をやった。