1586/1595
第1586話
鉄でできた移動手段に乗車して、ガソリンを燃やし進むバスに愛着がわき、こうして座席に腰掛け時間を共有するのも何かの縁だろう。信号が変わり、青く点灯。バスはせきを切ったかのように進み始める。上流から下流に流れる川の水のように。それに対して時間は流れる先がないかのようにそこにとどまっている。
心の底。仄暗い薄暗いやんわりとした瓶のようなところに澱のようにとげとげしい気持ちが堆積し、だんだんと私から余裕を奪う。今日という牢獄は、どこまでも強力で、つまり人知を超越し、挑むものを軽々と拒む力を秘め、対抗できないのではないのかと振り払われた気分だ。
「マリカナ、また難しい顔しているわね。笑いなさいよ」
「ちょっとやめて、きゃはは」




