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第152話
差し出した傘を押し返した王子様は「好意だけいただいておきます」と口にする。
兵士君は「しかし……」と踏ん張る。
兵士君の気持ちもわかる。でも、カルシラスト様はそれを望んでいないのよね。
兵士君は諦念しじきょした。なんかかわいそうだわ。
善意でやってくれたことだし……。しかし思い出に……。
空の涙はいつ止むのだろう。泣きつかれるのはもうすぐかしら?
白い石畳もところどころ濃い色に変色している。
通りすぎる車もあまりワイパーを使役していない。フロントガラスを打ち付けるほどでもないし。
私は辺りをチラチラ見たが水溜まりはない。
お天道様の気持ちが安らいで青空になってほしいわ。