第15話
私はカルシラスト様の私を呼ぶ声が福音のように聞こえた。まるで天使たちがラッパを吹きならし祝福しているような気分……それを満喫する。
私の人生にカルシラスト様がいなかったらなんとも空虚な生涯になっていたのではないか……神様は私とカルシラスト様を運命の糸で結んでくれた。ハサミでも切れないワイヤー並みのもので……。
私は好きすぎるカルシラストの体の温度が上がった気がした。ずーっと私を背負っているせい? それとも私に対する緊張のあらわれかしら? あるいは興奮のため……きゃっ、もう私ったらはしたない。
カルシラスト様が下品なことを想像するものですか。あっても少しよ。
私の馬とかしているカルシラスト様がある部屋の前で立ち止まった。到着かと思ったらまた歩き出した。私は疑問を口にした。
「さっきの部屋は誰の部屋なのですか? ちょっと気になりまして……」
それに彼は「私の部屋の一つですよ。マリカナを連れ込もうかと思いましたが理性で押さえつけたのですよ……」と答えた。
私は何を押さえつけたのかを知りたかったが、それを言わなかったことから知られたくないのかもしれないと考慮し聞くのを控えた。