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第143話
それを指差し「これをください……五つほど」と言うと店主は袋につめてくれた。
お代を支払い終わりカルシラスト様をチラッと見ると小夏を段ボール三箱ほど購入し兵士に渡していた。
大人買いだわ。いや、王子様買いだ。僅少羨望の眼差し。
私の袋も兵士に任せた。美味しく食べてもらってね。
お父様、果物にはうるさかったかしら? あまり……そんなことも……。
まあ、いいわ。なるようになるってものよ。
あら、私ったらわりきったわ。この調子よマリカナ。
白い鳩の群れが青空を横切って行った。
図書館か何日ぶりかしら? けっこう立派な建物なのよね。
私たちは歩調を些少早めた。さっさっさ。