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第139話
それが変わりようのない真実。嫌よ、本当わ。
サナギのように今の私から脱皮できたなら……。
乳歯から永久歯に生え変わるように変われたら……どんなに嬉しいかしら。
野球帽を前後逆に被り、額にタオルを巻いた中年の店主は揉み手をしこう聞く。
「へいらっしゃい! なんにしますか? このもぎたてのリンゴなんか……」
私には目尻にシワのある男性の言葉は通り去る風のように聞こえた。
カルシラスト様は「では、試食を」と返す。
カットしたリンゴにブスリと楊子を刺すカルシラスト様。
美味しいのかな? 私は不意に興味を抱いた。彼は私の口に近づけ「あーん?」と言葉を放つ。
ええっ! ちょっと待って!