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第138話
「マリカナ……お陰で良い思い出ができました……」
カルシラスト様の発言に今生の別離……のようなニュアンスを感じビクッと体が揺れた。
これはフラグかしら? サッドエンドの?
悲しくて悲しくて鼻の奥がツンとしてふらつく。
彼は私の手をとり「今を大切に……」と口ずさみ歩一歩進み始めた。
石畳の冷たさが靴を貫き皮膚に感じているみたいだわ。
ああ、動悸がやまない。私ったら落ち着くの、いい?
果物屋の前に来た。カットされた果物が試食できるようだ。
美味しそう……って私ったら現金ね。でも、そうしないと……耐えられない。
例え狂気に目覚めたとしても……私は私だ。