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第128話
彼の手の温もりがとても優しく感じた。
まあ、私は大器だから……クレープのことは許してあげる。
お腹はまだまだ膨れていやしないけれど……。
スローテンポで歩く私たち。まるで二人の時間が貴重であるかのように……。
ああ、幸せ。もっと望んでしまいそうだけどそれはダメね。
天罰でもくらいそう。すれ違う女性たちは振り返ってカルシラスト様にうっとりだ。
やっぱり、ライバルが多いわ……。
いつか奪われそうで気持ちが崖から飛び下りたかのように沈んでいく。
私なんてたいして魅力的じゃないし……でもカルシラスト様は私を……。
見上げると彼の水色の瞳が幸せそうにキラキラしている。