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第123話
大分列を進んだみたいね。カルシラスト様は「これにしようか」等と言いながら看板を凝視。
ついにクレープとご対面する時間がやってきた。
目の前には車型の移動販売店。クレープの甘い匂いが辺りを占拠している。
まるで数万の軍勢だ。攻め方は甘いもの攻め……これは強敵難敵だわ。
カルシラスト様は何かの皮の札入れを取りだしこう言った。
「私はチョコバナナ味でお願いします……ええ、マリカナは?」
私はハッとして「チョコクリームでお願いします」と早口で返す。
やだ、私ったら飢えているみたいじゃない……。
一応令嬢なのに……。反省自省猛省よ! まったく。
店主は「了解しました。少々お待ちを!」と言い丸く黒い鉄板で生地を焼き始めた。