第11話
私は彼の大きな背中に顔をすりつけ大好きな彼を感じる。鍛練しているのか以外にマッチョだ。私はそんなカルシラスト様を愛している。
少しでも傍にいたい……少しでも触れていたい……私の人生の最高の出会い。そのインシデントを大切にする。
もし私が他界したら彼は私を思って悲しんでくれるかしら? まだまだカルシラスト様を自転車のように乗りこなす時間は続く。
これも年をとったらかけがえのない思い出になる気がする……。二人だけの大切な思い出……。
私は歩一歩豪奢な絨毯の上を進むカルシラスト様に会話を展開する。窓から見えた星たちが私たちを祝福してくれているかのように見えた。それらは微笑んでいるかのよう……。
「カルシラスト様は人をおんぶしたことがあるのですか? 慣れているようなので……他の令嬢とかを……」
私の不審の台詞にカルシラスト様は耳をぴくつかせた。やっぱりあるんだわ。私より大切な女性がいるんでしょう……。嘘つき……。
カルシラスト様は「ふふふ」となぜか笑いこう続けた。思い出し笑いみたい。どんな思い出なんだろう?
「マリカナ、忘却してしまったのですか? あの思い出を……私は悲しいなあ……」
私は脳髄をフル稼働した。ノンブレーキでアクセルを踏み込むかのように。しかし分からない。私は口を開けまた閉め……。カルシラスト様はそれについてはそれ以上語らなかった。