ラィリスとラドゥス
メイドさんの思考で内容をお送りします。
……私は今日もご主人様の為に働くため戦闘服であるメイド服を選んでいます。
色は赤青黒の三種類あって、
赤は動きやすいけどおへそが出てしまいます。
黒はスカートが長いです。
青はスカートのフレアが多いです。オマケに下顎歯茎から専用のチューブを付けないと行動出来ない制限付です。
どれもいまいちです……。
悩んだので同僚のボーイに意見を求めて見ました。
その結果、今日のお仕事が屋敷内なので青が良いのではないかと言う話になりました!
口の中の違和感には慣れませんが仕事が大事です……青にします。
私のご主人様は昔英雄と呼ばれていた人達の一人です。
皆さんいつの間にか居なくなってしまいましたが、ご主人様は名前が売れ過ぎて恥ずかしいからと名前を変えてこちらに来られています。
「いつまでもこっちに固執してるのもどうかと思うんだが」
とご主人様がおっしゃっていましたが良くわかりません。
今日もまずは玄関前の壁画をチェックします。
ご主人様が家に入るのが恥ずかしいといわしめた英雄物語の湖畔での一場面が描かれています。
その絵の上に次々と文字が浮かんで来ます。
この壁画は只の背景で重要なのは浮かんでくる文字情報の方なのです。
時々背景の絵に対してのコメントがあるとつい注視してしまうのは内緒です。
今日は珍しくそんなコメントが伝言ゲームのように次々と浮かんで来ます。
実話らしいが存命か否かですね。ご主人様はご存命ですよ♪他の方は存じませんが。
力の無い庶民は世界に埋もれて行くものですが、力のあるものは逆に疎外される傾向があると私は思います。
英雄のお一人の自宅など博物館にすると国に摂取されたと伺いました。
世界を救った英雄にする所業でしょうか!
今でも憤りを感じます。
ご主人様が生きづらいと名前を変えた要因でもあります。
幸いにもご主人様のご自宅であるこの家屋敷は町から離れていたので摂取は免れました。
しかし、人の来訪が少ないと家は荒廃が進みます。
ご主人様は旅暮らしが多いので管理は私達家人に任されています。
重要なお仕事です。
壁画上の英雄話が落ち着くと、一つの伝言が浮かんで来ました。
「ラドゥスへ
今度の休みにそっち行くよ
キェリア」
ご主人様です♪
「リア充爆発しろ!」等よくわからない伝言が割り込んで来ますがキチンと返信はしておきます。
「お気をつけてお越しください
ラドゥス」
これで良いです♪
さあ、家の草むしりに掃除を進めましょう!
私は壁画から離れたので、その後の伝言がどう回ったのか知るよしもありませんでしたが。
オマケでお教えしますとラィリスは私の姉です。
姉は警備担当なので屋敷内に野獣が入らないように結界を作っています。
姉にもご主人様が来られる事を伝えないといけませんね。
忙しくなりそうです。
賢者の弟子~という小説を読んだ晩の夢になります。
内容影響がかなりありますが、
名前は夢に見たままなので、読んだ小説とは関係ありません。