シザンサス-ある国で-
旅をしている時は、嫌なことなんて思い出さなかった。むしろ思い出せなかった。
旅はありえないほど楽しい。ありえないほど美しい。ありえないほど清々しい。さくらさんがどう思ってるかは別として。
私たちは普段歩きで移動している。汽車があるところでは汽車に乗るし、馬を貸してくれる親切な人がいた時は遠慮せず乗らせてもらった。
また、私たちは武器を持っている。モンスターがいない世界とはいえ、人間同士のトラブルなんていくらでもある。私はナイフ、さくらさんはハンドガン。旅人は情をあまり持ってはいけない。基本峰打ちにするけど。
「シザンさん、今日は何をするんだい?」
さくらさんが私に話しかけてきた。私たちは旅の目的を特に持っていない。なのですることは基本その日にその場で決める。
「双六をしない?ここの国は景品がとても高価なものだし。出発する前に貰っとこうよ。」
「別にいいけど。もう何回も挑戦してるけど未だに景品貰えてないよね。」
「コツは掴んだし、もう大丈夫。次こそゲットできるよ。」
「信頼してるよ」
こんなたわいない会話をしてる時間も一日の楽しみだった。この国の双六は世界的に有名らしく、私はこの国に訪れる前からとても楽しみだった。
*
「シザンさん、なんであそこで一の目が出ちゃうのかな」
「さくらさん、もうそろそろ新しい国目指さない?」
「…景品は?」
「次の国は…シェリルドウズ国だね」
「もう明日に備えてねるよ、おやすみシザンさん」
「おやすみなさい、さくらさん」
さくらさんは寝るのがとても早い。まあ無理もない。私よりたくさん働いている。
次の国はシェリルドウズ国。海も山もある、農業が盛んな国。お姫様が綺麗でも有名なんだとか。お目にかかれるといいな。さくらさんが鼻の下伸ばさないといいけど。
まだ太陽がでていたので、移動に備えて私は買い出しに行ってくることにする。旅人は体力が大事。
双六行かなければ豚肉買えたのにな。
「えっと…木苺のパン、ハッピードリンク、魔法のおやつでいいかな」
「全部で1200Gだよ」
「えっ!?高すぎるよ」
普通に買い物すれば半額以下の500Gで買える。
「お客さん旅人かい?」
「ああ、如何にも」
「そうか、教えてやるよ。この国は今歴史的な不況なんだ。私はこれだけ値を上げても食べるのがやっと。お客さんには悪いが値下げはできない」
「ただの不況ではないんだね。なにか理由がありそうだ。あいにく私もお金がなくてね。あ、理由は聞かないでね?この国の手助けができれば嬉しい。教えてもらえないかい?」
「君がどうこうできることじゃないんだ。君はそのちっぽけなナイフしか武器がないのだろう?」
「ちっぽけとは失礼な。ところで…まさかモンスター?」
「ああそうだ。この国の外ではモンスターが好き放題している。おかげで他の国の物が輸入できないんだ」
おかしい。この世界にモンスターがいるなんて。
「倒してみせるよ。私の相棒は強いんだ。その代わりと言ってはなんだけど…」
「ああ、好きな品物を好きなだけ持っていっていいよ」
*
何故モンスターがでたのか。そんなことよりも好きなだけ品物がもらえる、そっちに目がいってしまった。サクラさんには怒られるだろう。だが気にしない。あの人はなんだかんだ優しいのだ。これでいいのだ。そんなことを思いながら、私は眠りについた。




