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天秤座の少女、また夢を見る。

『この世は全て妄想だ。』

この理論を組み上げたある少女は、天秤座だった。

頭は悪い・・・いや、得手不得手がはっきりしすぎた様な成績をしている。

だけれど人よりやんわりした、優しい子。

学校に行き、友達と盛り上がる。

授業めんどくさいねって笑い合うような、至極普通の子。

少女は奇想を紐解いてるつもりが、その紐に絡まってるようなお馬鹿だけれど、本当は素直な子。

・・・でも、誰にも言えない口外不出の思いがあったんです。


『この世は全て妄想だ。』

この理論を組み上げた私はため息を付いた。

わたしがこんなにねじねじひねくれだしたのはいつ頃からだっただろうか。

もはや私の根性はバームクーヘンよろしく、幾層にもぐるぐる絡まっていた。

階下から、朝早くから勤めに行くお父さんの声が聞こえる。

今は何時だろうか。

カチカチ、枕元の時計が刻む音が気を急かす。

もふもふのベットの中、後もう少しで、海崎 秤の一日が始まる音を聞いていた。


朝七時の話。

起きて、朝御飯は白米とウィンナー、オレンジジュース。

あ、ふりかけも忘れずにね。

一般を厳格に遵守したような、何のへんてつもないセーラー服。

それを清純に着こなし、私は家を出るのだ。


朝八時の話。

今日も元気にラッシュな電車に飛び乗る。

その中いつも通り、携帯の画面に指を躍らせ、ワープロアプリを呼び起こした。

架空世界へ足を進める。

マーメイド、フェアリー、十人十色の少年少女たち。

瞬く間に楽しい音と、幸せな仲間に囲まれた。

空を泳ぐような感覚、思わず綻んじゃう顔。

その世界の住人は、みんなみんな私の一部。

私が私を入れて生んだんです。

その趣味に目覚めて以来、毎日毎日落書き帳とにらめっこしたり、携帯のワープロに一心不乱に文を綴ったりしていた。

最も、こうやって文を綴れる時間は通学時間位しかない。

現代の女子中学生に、暇なんてものは存在しないのだ。

なので通学時間は、ある種の貴重な趣味時間だ。

にまにまと怪しげに笑う私は多分、ドン引きする位気味悪いだろう・・・。

そんな時間は流れる、電車と共に。

ガタガタ音を立てながら流れる電車、お気に入りのイヤホンが揺れた。


朝十時の話。

燦々と光が降り注ぐ、窓際の最前列。

カーテンから、ちらついては遮られる陽光に惑わされる。

あまり好きじゃない英語の授業、アンニュイな頭を振り絞って挑むんだ。


正午の話。

授業終了のチャイムと、お腹が鳴くのはほぼ同時だった。

私は逸る気持ちを抑えて、お友達の席に遊びに行く。

「よぅ!はかりん!」

昼はいつもお弁当箱のスペースを厄介になり、一緒にご飯を食べる。

「はかりん、今さっきの授業分かった?

ていうか、授業真面目に聞いてた??」

「海崎 秤ことはかりんですよ?聞くわけ無いじゃん!?

ていうか、真面目?真面目な子いるの!?」

「ですよねー!」

あははは!と笑い合う。

友達はみんな優しいんだ。

笑えない、それ笑えない、って冗談を降るようなバカな私にも笑いかけてくれる。

頑張って化粧してる叔母さんに『年相応ですね!』と返すような私に。

二年使っている黄緑色のお弁当箱には、今日も変わらず五品目のおかずとかつおふりかけのご飯が入っていた。

ああ、他愛ない話も陽射しも平和な正午のひととき。


午後十四時の話。

やっと、やっとだ・・・!

やっと五限目が終わったんだあああああ!

あと一時間粘れば勉強は終わりだ!!

それだけで万々歳、でんぐり返ししながら『わー!』って叫べる!うん!

あとは少し面倒な古典をぶっ飛ばせば終わりなのだ!

お花の咲いた頭では授業など真面目に受けるはずもなく、辿々しいペン回しを繰り広げ、古めかしい竹取物語は記憶の狭間に消えていった。


・・・ノートは取ってあるから大丈夫だろう。


午後十六時の話。

いつもならこのまま帰れる。

でも、今日だけはそうはいかない。

私の成績が奮わないが為に、先生達が忙しい中、ありがたーい懇談をしてくれるようです。

・・・あぁ、もう帰らしてよ。

授業で散々疲れた頭に、そんなものはノーセンキューだってば。

悪戯っぽい笑顔の友達と、心中お察しします、みたいな顔をした友達に『ガンバレー!』って励まされ、私は重苦しい階段を降りた、とぼとぼと・・・。


午後一八時の話。

「それじゃ、頑張っていきましょうー!

明日また会おうぜ!」

「ええ・・・ありがとうございました。」

八月の太陽の様な担任は、やはりいつもと変わらない明るさで私を見送る。

その明るさが生徒ウケするのだが、私はどうも好けなかった。

先生は職員室に消え、私は応接室を出る。

時計を見ると、二時間近く話していたらしい。


・・・今はもう何も考えたくない。


とぼとぼ歩くアスファルトの道、電車の振動、揺れる疲れ顔の乗客。

その中に紛れ込んで、眠りに誘われ。

ふっ、と目を覚ませば最寄り駅に着いていた。

いつ二本も電車を乗り換えたか覚えてない、けど時は過ぎていたようだった。

田舎寄りが酷い我が家の周り。

街灯がちかりちかりと瞬いた。

少し整備された雑木林を駆け足で抜けるんだ。

桜の木が、夏と秋、どっちつかずの葉を揺らしていた。

この樹が、葉に赤と黄と橙を灯しだすと天秤座の季節。

この樹が、思慮深い紫色に染まっていくと蠍座の季節。

この樹が、一年を終え次の命を咲かす準備をしだすと、射手座の季節。

私の周りは毎日四季彩々。

・・・当たり前のこと。

暗には鈴虫がころころと歌う、足元の砂利道。

明には桃色、山吹色が輝く夕焼け。

一番星と甘ったるい金木犀の香り。

烏の黒を急かす風が、私の心をざわざわと揺らがした。


午後七時の話。

やっと帰ってきた。

幾分久しぶりに感じる、我が家の匂い。

その香りに包まれ、制服を脱ぎ捨てた、めんどくさそうに。

バックをひっくり返せば、今日の宿題とプリントが雪崩れてきた。

今日も昨日も明日も平日。

いい加減、私は教科書から手を離したい。

こんな、夢さえ見れない視界に映る世界は嫌なんだ。

私のマーメイド達が、殺されていく。

鱗がキラキラ、光を撒き散らして死んでった。

日々が忙しすぎて、大切なものを気づかない内無くす、絆していく。

真っ白に脱色されてゆく。

その度、その実、致死量ぎりぎりなんだよ。

日々に悩殺。

夢は撲殺。

迫ってくるんだ。

あぁ、教科書の海がそこまで。

今日もまた夢を見たんだ。

フェアリー達が歌う。

声は何層もにも重なり、木々の間に跳ね反ってはまた歌う。

濃厚な演奏に、夢の中、私は頭をくらくらさせた。

フェアリー達は皆みんな笑っている。

でも、目は常に何かを訴えているんです。

この子たちを信じてくれる人はいない。

じゃあ私が形を与えなくてどうするというのだろう。

この子達は、私じゃないと造れない。

だって何かを伝えたくて、日常の中、どうしても曲がりきれなかった私の気持ちだもん。

慟哭してんだ。

心が哀で溺れていくんだ。


ねぇ、誰か。

助けてください。


いつから貴女は希望を失ったの?って問われた。

思春期だよ、って誰かが言った。

まぁ誰しも通る道かしら、って笑った。

私は、私は口をぱくぱく、魚のように動かしていた。

・・・声は出さずに。

手を必死に振ってたんだ。

SOSってばっか叫んで。

もう嫌だ、嫌だって逃げ出した。

前を、前に進みたくて走り出した。

このままじゃ輝けないんだ。

私の、私の宇宙に星が欲しいんです。

考えすぎてパンクしちゃった頭を救済したい。

いつのまにか穴ぼこ、傷まみれになった心と体をひたすら復修したいんだ…。

お願い。今だけは立ち止まることを許してください。

・・・それを他人は『甘え』と呼ぶのでしょう。

『貴女は後ろは向けない。

 前に進むしかないんだから。』

今日、先生の放った銃弾。

私の拙い言の盾は脆くも儚く散り…私は撃ち抜かれていった。

『貴女に必要なことは忍耐力だ。』

『貴女は嫌なことから逃げてばっかり。』

『だから甘ちゃんって呼ばれるんだよ! 』

三方向、同時発射された言の弾は交差して反響して増幅して、私に浴びせられる。

なにも聞こえない。

なにも聞きたくない。

裸足で駆けていく。

ふらりふらりたどたどしく走る。

穴ぼこの身体と爆発した頭で私はどこへ駆けて逝くの?

痛みに喘いで、ちょっとおちびな体をガダガタ言わせながら。

紅い紅い波紋、流れ出た自分の破片を飛び散らせて__


午後九時の話。

「はぁぁ・・・。」

またため息をついた。

だけど今回のばかりは気持ちいいからだけど・・・。

私は適量のシャンプーを取り、頭に七色のシャボンを咲かせた。

湯気でもくもくと曇った鏡に映った私は、笑っちゃうぐらいくすんでいた。

くたびれた体を脱ぎ捨てたくて、シャワーを滝修行の如く頭から浴びる。

荒波に揉まれたわかめよろしく顔に張り付いた髪を、ぷるぷると振り払う。

気が付けば、いつの間にかお湯が恋しくなる季節になっていた。

お風呂は、秋先の妙な淋しさを漂わせる寒さを吹き飛ばすための唯一の武器だ。

こう・・・足からじわじわ侵食してきたら身体がぽわぽわって・・・。

『あ・・・だめだ。』

こうなるとお風呂から抜け出せない。

仕方なく、ぬくぬくラビリンスに迷宮入りすることを決心した私は、給湯温度を二度上げたのだった。


午後十一時の話。

結局、あれから逆上せた私は、何てバカなことか。

めちゃめちゃに服と本が入り乱れた床を踏み越え、 ゆるゆるの頭でベッドにダイブを構した。

ベッドの上も、所定のお家に返してもらえない物たちがおいてけぼりを食らっていたままだった。

誰も居ない部屋より、一人で。

特に何をするでもなく、大の字になり寝転がっていた。

カチカチ、枕元の時計が刻む音が気を焦らす。

もうすぐ今日が終わってしまう事を無言で告げていた。

時に刻々と追われる日常の狭間、切り口からエラーが零れる。

みんな大事なものを見逃していく。

・・・私は、私はここにいるんです。

どれだけ先をみても、どれだけ水を与えても花は咲きません。

今私には温もりが必要なんです。

進路表、成績表。

まっさらな白に書かれたその文字は、私の人生をかっ拐っていく。

この表を見て何になるの?

・・・これは、立ち止まることを禁止する証。

『Dear:未来へ

 From:過去より』

宛名の無い手紙はもう書けない。

この先未来さえも閉ざされた上、私はどうなるの?

・・・それでもなお、自分で切り拓くの?

やっと落ち着いた場は、まもなく建設予定地になった。

ガラガラと全てを壊す、絶対的な機械がずらりと並ぶ。

大きな大きなビルを建て始めた。

小さな小さな花は踏み潰された。

その先に生えたであろう、安らかなふたばも。

・・・ねぇ、追いたてられた花は見捨てられるだけなんですか?


___心には、言い様の無い寂寥が吹きすさんでいた。


午前一時の話。

薄暗い部屋。

ガラスランプの灯りだけを着ける、おやすみスタイル。

一気に静まり返った場所より。


・・・今日はほんとに疲れたや。


色々なことがあった。

めちゃめちゃ酷い事を言われた気もする。

めちゃめちゃ酷い事を言った気もする。

だけれどもう、それもどうでも良かった。

からっからに乾いた心では、もう感じることすら儘ならない。

・・・おもむろに音楽プレーヤーを取る。

好きな作曲者さんのメドレーをひたすら流した。

大好きな主旋律が体を駆け巡る。

そのまま身を委ねる。

仄暗い部屋、真っ暗闇の私に、蛍灯の様にぽつぽつ染み込む歌詞たち。


心が丸裸になってゆく。

日常でついた錆も垢も、浮かんでゆく。


_違う、違う。

ほんとはどうでも良くなんか無い。

いいわけがない。

今日放たれた言葉。

その全てが心に蟠りを残す。

まっすぐに撃ち抜かれた心を癒すには、まだ時間が掛かるんだ。

私はここにいるのに。

何で何で私を無視するのだろう?

何で私はいつもこうなのだろう?

何でいつもバカでグズなんだろう?

何でなんで私は…嗚呼あぁああ…。

「うぅ・・・うぅっ・・・」

気づけば涙腺が緩くなっていた。

遂に泣いてしまった。

『大丈夫、私は強い子だから。』

なんて言葉、この期に及んでもう無意味なんだ。

何もかもかなぐり捨てて泣いた。

誰かに愛されたくて、誰かに抱きしめてほしくて。

自分で自分をそっと、ぎゅっと抱き締める。

暖かかった。

・・・すごく暖かかったんだ。

早く泣き止まなきゃ。

明日学校に行く顔が酷いことになるよ。

自分で自分を慰め、鼓舞したつもりでも、『明日』という単語にまた涙が溢れた。

ダメだ、駄目だめだ。

もう、明日を歩む勇気が無いんです。

無防備な枕に、水玉がぽちょぽちょ。

私の心から落ちる涙は。


この雨は、暫く止みそうにない。


午前四時の話。

結局この日は寝れませんでした。

やっと止んだ雨上がりの今、

窓の向こうのサッシすら閉めきった部屋。

ベッドの中、お母さんのお腹の中に居たときみたいに膝を抱えていた。

お気に入りのイヤホンを耳に挿して、ジャカジャカと大音量をがらんどうの頭に響かせた。

音楽プレーヤーの充電残量が30%を切っていることが、刻々と“今日”が迫っていることを告げる。

早く充電しないと、学校に持っていけなくなっちゃうな。

視界の端にちらつくセーラー服は、朴訥とした目でずっと私を見ていた。

『あー・・・もうっ・・・!』

ぶよっとなった頬をべちっと叩いて、布団を頭から被る。

こうしないと朝が襲ってくる。

・・・始動まで後二時間弱。

もう、どうかどうか私に朝が来ませんように。


午前七時の話。

・・・目覚まし時計を思いきり叩いた。

綿菓子みたいなぬくぬくの布団から出たなくて。

パジャマのまま、うだうだと寝返りを繰り返していた。

でも、遅刻ギリギリはなかなかまずい。

朝からお小言に付きまとわれるのだけは勘弁だ。

仕方なく私は朝っぱらから重苦しいため息ひとつ吐いて動き出す。

ばっさばさの髪を整えもせず、ずりずりと、さながらいもむしです。

しゅるりと慣れた手つきで、リボンを均等に結ぶ。

この日課も早三年目で、今や職人レベルになっていた。

襟を正し、校則の琴線に触れそうになってきたスカートを颯爽と穿く。

体を締め付けないパジャマが嗚呼、恋しい・・・。

一階へ、この階段を降りるその感覚が辛すぎる。

・・・昨日を忘れれない今日は、特に辛かった。

今日も今日とて、地獄行き。

階段の手すりさえ持たず、降りて行く。

真下を向いて、履きかけの靴下をぶらぶらさせながら。


そしたら、やっちゃったんだ。


へ?って思うのと、ずりぃ、とつんのめる感覚は同時に。

「おわわわぁっと!!」

盛大に叫び、ぴゅーっと一気に体中を冷たいものが走った。

滑りかけた足と、手すりを握る手にすごい力が入っていた。

「…はぁ、もう、何だかなぁ。」

全く、ツいてなさすぎる!

昨日全く寝なかったバチがあたったというのか。

寝ぼけ眼のまま階段を降りたからだろうか。

だとしてもこんなの、こんなのあんまりだ!

「あーあ!!もうっ!!」

最悪だ!最低だ!

べしべしと壁を殴った。

今日も朝から最悪な日になりそう・・・。

吉兆の兆しは今日も見えてこなさそうだった。


行ってきますって開けた扉の外は、秋晴れの黎明だった。

秋に入った、でもまだ夏が抜けきらない。

そんな季節が来たら、後もう少しで天秤座の時期。

そう、一年が経つのだ。

毎日学校からへとへとになって帰ってきて、日曜ばかり待ち望んでいたら、いつの間にか経っていた。

まだ十四歳だもん、って言える日は後少しなのだ。

私はこの一年何をやって来たんだろ。

いや、そもそも一年経つ実感がないや。

なのにもう十五歳って、全く笑えない。

成長した?

何かを成し遂げた?

・・・もう逃げれない。

言い訳できないんだ。

「嫌んなっちゃうな。」

なんて青空めがけて呟いた。

イヤホンを伝うメロディーは、私の好きな曲を奏で出していた。

鉢植えと、土っぽい匂いの苔に囲まれ、私はぽけーっと空を見あげる。

見渡す限りの青空の中、全てがどうでも良くなりそうだった。

道行く道、雲もない青空に電線がちらり。

微かに見える白い月。

朝露が、青空と人々の営みを切り取っていた。

曲と曲の無音の隙間に、鳥のさえずりが聞こえる。

人も、雲も、時間も、季節さえも白々しく動いて行くこの世界。

その中、ごまつぶ程にも満たない私は、絶対的に寂しい闇の中ぽつりと放り込まれ、雨降りが一人、しとしとと泣いていた。

だけれど・・・悲しい藍に溺れても、また今日は来たんだ。

今日が来たんだ。

夜の冷に飲み込まれ、朝の空に光で包まれる。

それは誰しもで。

暖かい日の中笑っていても、雨にびくびくし、風にがたがたと身を震わせていても。

だけれど、深夜の暗さにも星明かりがあって、また太陽は巡るんだ。

揺らめいた私の影は、ちゃんと二本の足で立っている。

・・・未知は怖くないのだろうか。

今日は最低な日だ!・・・とため息を吐くのはまだ早すぎただろうか。

答えの足音が囁いた。

未だ十五歳の海崎 秤に透き通る言葉で。

ほんと、楽しくない授業だらけの今日もすぐに昇華するのだろう。

ならば・・・少しだけなら…耐えて見せようか。

私の充電残量は10%を切っている。

でも泣き喚いた翌日、正に吹っ切れた今なら。

どうせ背水の陣ならもう関係無いじゃない?

今さら何やらかしても、もう驚くまでも無いでしょう?

自傷言葉を自嘲気味の笑顔で笑い飛ばせ!

じゃあ私も、雨降りの次の晴れ空みたいに笑えるんだ!

ぽん、と肩を叩く様に、お天道様も光を強くした。

「やれるさ!“はかりん“なら!」

眩しい、瞼の裏に浮かぶような毎日を。

日の光は天使の羽に覆われたように、視界をまっさらに、暖かく染め上げた。

ガタガタピシピシと、壊れかけのモノレール。

それは走り続けたんだ。

上ずった悲鳴を上げてでも、何とか線路を離れずに。

遅延しても、躓いてもなお上を向いたんだ!

「あーあ!やる気無いな!」

鮮やかな太陽に向かって、元気に確かに笑ったんだ!


だから、天秤座の少女はまだ夢を見る。


てんびん座の少女のお話はこれで終了です。

きっとはかりんなら、この先また絶望しても、今回と同じように走り続けると思います。

余談ですが、秋の、夏とは違う薄い青をした空ってとてもきれいだと思います。

最近は金木犀もよく色づいてきました。

毎日見ているものですが、毎日少しずつ変化しているんですよ。

毎日毎日繰り返される日々に打ちひしがれながらも、身近な、ありふれた景色に励まされる。

私は、はかりんみたいな子こそいい子なのだと思います。

・・・

ここまで閲覧いただき、誠にありがとうございました。

これが私が初めて投稿した小説になります。

これまでにも何作か書いてはいたのですが、どれもまだ未完です。

後、秤という名前はお友達が付けてくれました。お友達に感謝。

見にくいところや、不明瞭な描写も多々あったと思います。

まだ発展途中で、私自身書きなれていません・・・すみません。

精進していきたいと思います。


閲覧誠にありがとうございました!

これからもはかりんをよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何気ない日常での出来事が、少女にとってはとても重大な悩みであり、憂鬱さの程度が表現されていた点。 情景描写と、それに伴う感情の変化が表現されていた点。 [気になる点] 情景描写と心情描写を…
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