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ミクシードワールド ~神の作業帳~  作者: 早秋
第一章 回復アイテム
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(3)品質と職業レベル

次話投稿は本日21時になります。

 ゴブリンとの戦闘を行ったので、今日の収穫は薬草八十本だった。

 やりたいことがあったので、早めに切り上げたというのも数が減った理由の一つだ。

 ヘミール湖の水を採取した時に、勿論水の鑑定をしておいたのだが、その時に表示されたのが次の物だった。

 

 名称:ヘミール湖の水

 品質:D-

 効果:ヘミール湖の水。豊かな周辺環境から出て来た水。

 

 品質がDの水を使って調合した場合に、品質がどうなるかをすぐに試したかったのだ。

 早速、ヘミール湖の水を使って調合を開始する。

 やり方は昨夜、安定してE+が出せていた方法を使う。

 最後に出来た物をろ過することも忘れないようにする。

 その結果できた回復薬は、次の物だった。

 

 名称:回復薬

 品質:D-

 効果:体力を80回復する

 

 初めて品質Dの物が出来た。

 結果としては上々と言ったところだ。

 だが、問題が一つある。

 ヘミール湖の水を使って調合するには、採取して来た薬草の数に対して、水の量が少なすぎる。

 革袋だけだと運べる水の量に限界があるので、一度にたくさんの水を運ぶ方法を考えないといけない。

 そんなことを考えながら<購買>見ていると、ちょうどよさげな物が見つかった。

 名称は荷車になっている。

 荷車の台に水を乗せて運べるのではないかと考えた。

 当然水を入れる物も革袋だと意味がないので、壺のような物も探した。

 結果見つかったのは良いのだが、全部でかかるGPが三千を超えていた。

 どう考えても所持金が足りないので、まずは荷車と壺の購入を目標に切り替えた。

「お風呂が遠のいた・・・」

 がっくりとしながらもまだ風呂を設置することは諦めていない。

 むしろ風呂を設置するために、必要な経費だと諦めるハジメであった。

 

 品質Dの物を作成したおかげか、新しいクエストが二つ増えていた。

 その二つは、品質Dランク以上に限った回復薬の納品と、魔力回復薬の納品の二つだった。

 回復薬は、依頼内容に「Dランク以上に限る」と書かれていた。

 魔力回復薬に関しては、現状レシピが分からないと思ってスルーしようとしたのだが、<神の作業帳>を確認すると、魔力回復薬のレシピが増えていた。

 手順は回復薬とほとんど一緒で、入れる物が薬草だけではなく魔力草と合わせて調合する事になっていた。

 クエストの収入的には、Dランク以上の回復薬の方がいいが、ヘミール湖の水の問題があるため当分は数をこなせない。

 回復薬と魔力回復薬のクエストでは、魔力回復薬の方が高かった。

 明日は魔力草を重点的に探すことに決めた。

 勿論、安定している薬草の採取も行うつもりが。

 

 取りあえず明日の目標は決めたので、今日の分の調合作業の続きをすることにした。

 ヘミール湖の水はある分だけ使って、品質のいいものを作る。

 残った薬草は、拠点の水を使って回復薬を作成した。

 今回は作った回復薬は全てクエストに回した。

 得られたGPは二千に届かなかったが、昨日よりは稼ぐことが出来た。

 今日は時間に多少余裕があったので、ルフと戯れてから就寝するのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「ぐはっ」

 今日も今日とて、目覚めと同時に筋肉痛(?)の洗礼を受ける。

 昨日の予測通り、夜寝ている間にその日の行動結果を反映しているので間違いがなさそうだった。

 ステータスを確認すると、今日も職業レベルが上がっている。

 

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:作成師クリエイターLV4(1up)

 体力 :360(+110)

 魔力 :580(+180)

 力  :6(+2)

 素早さ:7(+4)

 器用 :15(+5)

 知力 :9(+1)

 精神力:10(+2)

 運  :9

 スキル:調合LV2(1up)、鑑定LV2(1up)、俊敏LV1、短剣術LV1、風魔法LV1

 

 ステータスも上がっていたが、スキルのレベルが初めて上がった。

 調合も鑑定も初日から使いまくっているので、妥当なのだろう。

 戦闘は一回しか行っていないので、当然戦闘スキルは全く上がる気配がない。

 戦闘を行っていないのに、職業レベルが上がっているという事は、それ以外の行動で上がっているという事になる。

 メインは回復薬の調合のおかげだろうが、採取も経験値に入っているのかが気になるところだ。

 採取するたびに経験値とかが見えれば分かり易いのだが、残念がら経験値を見ることは出来ないので、確認のしようがない。

 後は、行動によってもステータスが上がっているはずなのだが、どの程度上がっているのかも分からない。

 これは職業レベルのレベルアップが無かったときに確認することにした。

 

 昨夜寝る前に、わざわざ拠点に戻らずに、調合用の道具を持って行ってフィールド上で調合を行う事も考えたのだが、流石にそれは危険なのでやめておいた。

 採取をしている時でさえ、ゴブリンの接近に全く気付けなかったのだ。

 調合をしているときに来られると、昨日のようにせっかくルフが注意を促しても気づけない可能性がある。

 現地での調合は諦めて、予定通り荷車その他を購入することにしたのであった。

 

「ルフ、そろそろ行こうか」

「バウ」

 ルフにそう呼びかけてから、今日も元気に採取に向かうハジメであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 今日は戦闘が行われることもなく、採取を行えた。

 昨日の反省を生かして、ヘミール湖の水の採取は最後にした。

 今日の薬草の採取は、五十本だった。

 過去二日よりも少ないが、これは採取する際に少し気を使って採取することにしたためだ。

 朝の段階で気づいていたのだが、採取も三日目という事もあって、品質が良いのが取れ続けたのだ。

 良い状態とは言っても流石にDランクまでは行かなかったが、それでも「E+」の物が何本か取ることができた。

 その結果に満足して、今日の目的である魔力草の採取を忘れる所だった。

 鑑定をしながら初日に薬草を探した時と同じように、魔力草を探しまくる。

 探して探して探すが、なかなか見つからない。

 結果として、これも薬草採取の本数が減った原因になってしまった。

 

「しかし、見つからんな。 もしかして採取エリアが全く違う場所にあるのか?」

 魔力草が、薬草とは全く違う生態であれば、当然生えている場所も違っているだろう。

 そうだとすれば、全く違う所を探すしかないことになる。

 一応薬草を採取しつつ、湖の周りを散策するが、結局この日は魔力草を見つけることが出来なかった。

 諦めて明日以降別のエリアを探すことにした。

 回復薬だけでも十分生活できそうだが、それだけだと面白くない。

 折角、作成師クリエイターという職業に就いた上に、さらに神の作業帳なんて物をもらっているのだから、他にも色々作ってみたいという願望があるのだ。

 

「そういや、作業帳以外の物を作ったらどうなるんだろうな?」

 これも試してみたいことの一つに加える。

 拠点に戻る最中に、いくつか使えそうな草を採取しておく。

 一番期待しているのは、清香草という名前の草だ。

 説明文を見る限りでは、香草の一種だと書かれていた。

 他にも似たような草をいくつか採取している。

 薬草と同じように水に混ぜるだけで何かが出来るかは分からないが、手探り状態なのでそれもまたいいだろう。

 ただただ神の作業帳に書かれている物だけを作っていくのは、面白くない。

 幸いにして、生活は贅沢を望めまなければ生きていける分の稼ぎは出せているので、問題ないだろう。

 そんなことを考えながら、今日の採取作業を終えて拠点へと戻るのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 薬草は速攻で回復薬に調合して、クエストを消化した。

 今日のメインは、集めた香草を調合することだ。

 まずは回復薬と同じように、単純にすりつぶして水と混ぜてみた。

 ・・・みたのだが、薬草のように上手く溶けてくれなかった。

 明らかに残りかすのような物が浮いている。

 濾過して液体だけを抽出して容器に移してみた物が、次の物だった。

 

 名称:香水(ハーブ)もどき?

 品質:失敗

 効果:香水を作ろうとして出来た何か。

    いずれは腐るので、早めに廃棄処分したほうがいい

    

 初めての失敗作だった。

「おお、やっぱり失敗って存在するのか」

 当たり前と言えば当たり前の結果に、落胆よりも何となく新鮮な気持ちになった。

 まあそれも初めての事だから、それが続くと落胆が大きくなるのだろう。

 ちなみに残りかすの方も鑑定してみたが、これも処分したほうがいいと出ていた。

 ただの残りかすだそうだ。

 

 その後もいくつか試してみたが、結局上手くいかなかった。

「きちんと水に溶けないと駄目なのかな?」

 そう当たりを付けてみるが、単純に水に混ぜるだけでは駄目なようだった。

 しばらく悩んでみるが、溶かす方法は思いつかない。

「・・・・・・あれ? そう言えば、乾燥した物を使っているとか何かで見たことがあるような・・・?」

 今のままただ水に混ぜるよりは、何とかなりそうな気がしたので、残りの香草類は全て乾燥させることにした。

 乾燥させると言っても、フィールド上に放置しておくしかない。

 本来であれば、太陽が出ているときにやるのがいいのだろうが、今は夜になっているので仕方がない。

 フィールド上に、そんな物を置きっぱなしにしていいのかは分からなかったが、何事も実験だと考えた。

 購買で安めの台を購入して、その上に香草を置いておく。

「よし。これでしばらく放置したらどうなるかだな」

 この時はすっかり忘れていたのだが、翌朝確認してみると、台の上から香草が無くなっていた。

 慌てて周辺を探すと、周りに落ちていた。

 夜の間に風に飛ばされていたのだ。

 どうやって風に飛ばされないようにするか悩むことになるのだが、それは翌日の話である。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

「しかし、また荷車の購入が先延ばしになったな。いやその前に、風呂が・・・」

 一応湖で体を清めたりはしている。

 流石に匂いが気になるほどではないが、毎日シャワーか風呂に入っていた身としては気になってくる。

 そう考えると、余裕じゃないかと思っていた稼ぎも全く足りなく感じる。

 生活に必要な物が拠点に揃うまでは、金欠感は続くのだろう。

「まずは荷車を用意して、早く安定してDランクの回復薬を作れるようにならないとな」

 ランク制限のクエストの方が、明らかに得られる収入が上なので、まずは荷車を揃えることに決めた。

 前から決めてあったのだが、今日も新しいことを始めたので、色々欲しいものが山積みなっている。

 あれもこれもと手を出しては、いつまでもDランクの回復薬を安定して作ることが出来ない。

 とか言いつつ思いついたことは、やってみたいというのがハジメの心情なので、実験に関してはいつでも行うことになるのだろう。

「とすると、実験した結果をどこかに書いておかないと忘れてしまいそうだな」

 ふと思いついたので、ノートとペンと購入して、早速今日の結果をまとめておいた。

 まとめと言っても今日の結果の走り書きなので、そのうちメモが貯まってきた場合は、まとめる必要があるだろう。

 間違いなくそれは、作成師としての財産になる。

 成功したことは忘れなくても、失敗した内容は忘れやすい。

 そのためのメモでもあるのだ。

 何々をすると成功する、というのは勿論重要なのだが、何々をすると失敗すると言うのも重要な要素になる。

 新しい何かを作成するときに、それが生かされる場合もあるのだから。

 回復薬だけで生きていくのならそんな物は必要ないのだが、ハジメはそんな生活を送るつもりは全くない。

 何よりそんなことをするのであれば、わざわざ生きる世界を変える必要はなかった。

 新しい世界で出来る限りのことをしていくことを決意して、就寝するハジメであった。

次話は掲示板回になります。

掲示板は初めてなので、ちゃんとなっているかドキドキですw


2014/11/4 品質D-の回復薬を170回復から80回復に変更

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