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ミクシードワールド ~神の作業帳~  作者: 早秋
第五章 神の作業帳
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(5)ギルド拠点完成

 イーネスが起こした騒ぎのおかげですっかり後回しになってしまった『携帯拠点』の調査依頼は、後日改めて頼むことになった。

 その際に、相変わらず店には出れないイーネスが裏の在庫置場にいたため、快く引き受けてくれることになった。

 イーネスは、先日の騒ぎで危うく生産組の信頼を失いそうになったために、そういった依頼はなるべく引き受けるようにしているようだ。

 新しく作ったアイテムは、いきなり実戦投入するのではなく、きちんと調査したうえで表に出したいのはどの生産組も同じである。

 それをトッププレイヤーの一人であり、ギルドのサブマスターであるイーネスが引き受けてくれることは、生産組にとっても有難いことだ。

 戦闘中での使い勝手など、どうしても実践でないと分からないことはいくらでもある。

 新しい技術を取り入れるときには、何らかの落とし穴が出る。

 それをきちんとした形で検証できることは、最終的には『紅月華園』の為にもなることなのであった。

 

 そんな中で、ついにギルドの拠点となる建物が完成した。

 建物が建っている場所は、街の中心の北西側になる。

「なんとか間におうたな」

 五階建ての大きな建物を前に、パティは満足げに頷いていた。

 高さもそうだが、各階の広さ自体もかなりの大きさを誇る建物となっていて、大きなデパート程の広さがある。

 その大きさは、間違いなく交流の街で一、二を争うほどのものだ。

 別に一番を狙ってその規模にしたわけではなく、所属している商人たちの数を考えれば、それくらいの広さがあっても十分やっていけると考えたのだ。

 当初の目的にあった各拠点からの直接移動できる転移陣も既に設置してある。

「こうしてみると、やっぱり大きいわねえ」

「建築中の時から感じてたが、完成すると大きいな」

 パティの隣では、エミーリエとイーネスが同じように建物を見上げている。

 三人の他にもギルドのメンバーが集まって、完成祝いに駆けつけていた。 

 これから竣工祝いをすることになっているのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 ギルドのメンバーたちが一階の食堂になる予定の広間に集まっていた。

 既にその場所には、百名を超えるプレイヤー全員がいた。

 流石にサポートキャラが全員参加することは無かったが、それでもかなりの人数が揃っている。

 メンバーたちは、グラスを手に取りある一か所を見つめている。

 それらの視線の先には、ギルドマスターであるパティが同じようにグラスを持って立っている。

「ほんじゃま、堅苦しい挨拶は抜きにして、さっさと始めよか。ギルド拠点の完成を祝って、カンパーイ!」

 パティが乾杯の音頭を取ると、その他全員から「乾杯」の返事が返ってくる。

 宴会の始まりだった。

 

 ギルドメンバーたちが、それぞれのグループ同士で話をする中、ハジメは生産組のグループに混ざっていた。

 今の話題は、交流の街の北側に出来た鉱山地区の話だった。

「・・・・・・ということは、やはり個別のパーティで行くよりも、大規模にグループを編成したほうがいいということか」

 話を聞いていたハジメがそうまとめると、ベンノが頷いた。

「ああ。個別のパーティだとどうやりくりしたところで、<採掘>持ちは最大五人になるからな」

「採掘中は結界石で何とかなるとしても、その後の戦闘で取れる素材のことを考えると、やっぱり戦闘と採掘チームは分けて考えた方が効率はいいね」

 ベンノと同じように鉱山に潜ったことのあるリブシェがそう引き継いだ。

 

 鉱山地区で採掘をする場合、奥に行くほどより良い鉱石が採掘できる。

 というよりも、入口傍で採掘できるものはそれぞれのプレイヤーが持っている鉱山で取れるものとほとんど変わらない物しか取れないのだ。

 ところが奥に進めば進むほど、今まで出回っていなかった鉱石が出てきているのだから、そこを目指すようになるには当然の流れだろう。

 ただし、奥に行くにつれて、当然のようにモンスターの強さが上がってくる。

 高山地区に行く場合は、護衛が必須とされているのはそのためだ。

 当初はパーティ単位でいく者たちが多かったのだが、今では最低でも二、三パーティ単位で行くのが普通になっている。

 ついでにいうと、奥に進むほど出てくるモンスターのレベルも上がってくるため、戦闘組にとっても狩場としては美味しい場所なのだ。

 ちなみに、交流の街でもそうだが、転移石は使う事が出来ない。

 設置はすることが出来ても、転移すること自体が不可能なのだ。

 ただし、交流の街では使う事が出来ない結界石は、鉱山内では使う事が出来る。

 そのため休むことが出来ずに、モンスターとの連戦をしなくてはならないという問題は発生していない。

 最初の頃は、結界石で作った拠点を放置してその場所を自分専用の採掘所としていた者もいたが、今は放置されている拠点は撤去されてしまうので、放置する者は減っている。

 もっとも、未だに転移石を放置したまま出ていくものも中にはいたりするのだが。

 

「長期間鉱山に潜るとなると、やっぱり消耗品の問題が出てくるわけか」

 ハジメのその言葉に、傍で話を聞いていた者たちが渋面になった。

 最近では、回復薬を作れる者たちの努力で、何とか半月程度まで保存ができるようにはなっている。

 だが、それとてあくまでも対処療法的な物でしかない。

 根本的には、もっと長期保存が出来るようにならないと意味がないのである。

「それは全く以てその通りなんだが・・・・・・難しいのだろう?」

「それなんだがな・・・・・・もしかしたら何とかなるかも知れない」

 ハジメのその言葉に、周囲にいた者たちの視線が集まった。

 その表情はどれも驚きに満ちている。

「ほんとうか!?」

「ああ。といっても、まだ構想の段階だがな」

 ハジメのその言葉を聞いて、話題に食いついてきた戦闘組は勢いがさめたような表情になった。

 だが、生産組は真剣な表情になった。

「わざわざこの場で言うという事は、かなり勝算があるという事か?」

「と、思うんだが、実際に作ってみないことには何とも言えないな」

 理論的には自信があるのだが、実際にやってみるとうなくいかないことはよくある。

 そのため、ハジメとしては、曖昧な言い方にならざるをえないのである。

 

 ハジメがその新しい方法を思いついたのは、『携帯拠点』の作成をしている最中だった。

 『携帯拠点』を作る際に失敗したテントの中の状態を維持するために使った方法を応用できないかと考えたのだ。

 ちなみに、『携帯拠点』の中に回復薬を置いてあっても、長期保存は不可能だった。

 ハジメの推測では、『携帯拠点』で維持しているのは、空間情報や位置情報の維持であって時間が止まっているためではないためだと考えている。

 そのために、『携帯拠点』の中に回復薬を入れても、時間経過で劣化が進んでしまうのだ。

 だとすれば、時間経過が止まる空間を用意してそこに回復薬を入れておけば、劣化が防げるのではないかと考えたのである。

 今までは、回復薬そのものをいじって長期保存することを考えていたのだが、保存しておく環境そのものを作り出すことにしたのだ。

 問題は時間経過を止める空間を作り出すことだが、それは『携帯拠点』と『破結石』を作ったときの技術を応用すれば何とかなるのではないか、というのが今ハジメが考えていることだった。

 

 そんなハジメを見ながら、ベンノが頷いた。

「それはそうだろうな。何はともあれ、期待しているぞ?」

「ああ。まあ、何とか形にして見せるさ」

 そう言って自信を見せるハジメに、ベンノは小さく笑って頷くのであった。

 

 

 

 ハジメが生産組と話をしていると、パティがイーネスとエミーリエを連れてやってきた。

 『紅月華園』のギルドマスターとサブマスターである三人は、このパーティーで各所を回っているのだ。

「ハジメ、楽しんでるか?」

「ああ、なかなか有意義な話が聞けているな」

「そうか。ならよかったわ」

 ハジメの返答に、パティは笑顔を返した。

 そのパティを一度横目で見てから、エミーリエがベンノを見て言った。

「両用装備の生産率を上げるのはやはり難しい?」

 そのエミーリエの問いかけに、ベンノは腕を組んで険しい顔になった。

 その顔を見て、やはり難しいのか、と言おうとしたパティだったが、その前にベンノが答えた。

「土台となっている部分の作成は、増やそうと思えば増やせる。だが、肝心かなめのエンチャントの部分は・・・・・・」

 そういったベンノは、視線をハジメへと向けた。

 陸用と水中両方のモンスターに対抗できる装備は、エンチャントがかなめになっている。

 そのエンチャントを担当しているのは、ベンノではなくハジメなのだ。

 ベンノの視線の意味を理解したエミーリエが表情を曇らせてハジメを見た。

「難しい、わよね?」

 その視線に肩を竦めて答えようとしたハジメだったが、それよりも先にパティが反応した。

「それは駄目や。これ以上ハジメの負担を大きくすると、回復薬が回らなくなる。それはあかんやろ?」

「それは、そうだな」

 パティの言葉に、イーネスが即答した。

 防具が充実するのはギルドにとってとても重要だが、それ以上に消耗品が使えなくなるのは痛すぎる。

 ハジメ一人に頼りきりになっているのが駄目だという話もなくはないのだが、はっきりいえばハジメ程の腕を持つプレイヤーを探す方が難しい。

 勿論全くいないわけではないが、それほどの腕を持つプレイヤーはとっくに他のギルドに抱え込まれているのだ。

 

 沈黙してしまったパティたちだったが、ハジメが口を開いた。

「ベンノだってそうだが、パティも他に当たってはいるんだろう?」

「そうだな」

「勿論や」

 ハジメの言葉にすぐに頷いた二人だったが、どちらも表情は芳しくなかった。

「儂の場合は、サポートキャラにお願いしているんだがな。どうにも上手くいかん」

「うちは手分けして色々当たってはいるんやけどね。流石に即戦力は捕まらないわ」

 ため息を吐いて言うパティに、エミーリエが首を傾げた。

「新人狙いは駄目なの?」

「勿論そっちも考えとるけれどね。ベンノと同じで、中々難しいわ」

 そもそもエンチャントは、生産系であると同時に戦闘系でも使われる。

 わずかにいるエンチャントをメインスキルとして活動しているのは、戦闘組がほとんどなのだ。

 ハジメとて、エンチャントがメインと問われれば、違うと答える。

 エンチャント付の防具は、ほとんどが鍛冶師が同時作業で行うので、ベンノのように完全分業で行っているほうが珍しい。

 流石にベンノとハジメだけというわけではないのだが、数が少ないのでそのための要員を揃えるというのもかなり難しいのである。

 

 思わず一同でため息をついてしまったが、ギルドの今後に影響を与えかねないので諦めるわけにもいかない。

 傍で話を聞いていたリブシェが、若干困ったような顔になって言った。

「本来であれば、私とかが手伝えればいいんだろうけれどね。他人が作った物を土台にエンチャントを乗せるのは、思った以上に難しいんだよ」

 リブシェとて宝飾関係では実力者の一人だ。

 彼女が作っている宝飾も当然のようにエンチャントがかかっているが、それとはまったく勝手が違うのだ。

 そんなリブシェの隣では、同じような表情でクレートが頷いていた。

「そうだよね。特にベンノのは注文が難しいから。よくもまああんなにピタリとはまるエンチャントが出来ると思うよ」

 クレートがそういったあとハジメが周囲を見回すと、頷いている者たちが何人かいた。

 二人と同じように試したことがあるのだろう。

「うーん。とはいっても、こればっかりは感覚が大きいから、言葉では説明しづらいんだよな」

「だよねえ」

 物の生産は、感覚によるものが大きいのだが、その中でも特にエンチャントは個人のセンスと感覚が大きいと言われている。

 そのため、ハジメと同じようにエンチャントを施そうとしても中々難しいのだ。

 そもそもハジメとて、毎回毎回全く同じエンチャントを付与しているわけではない。

 ベンノが作った装備に合わせて、その都度変えているのだ。

「結局、何とか今の生産量で賄っていくしかないというわけか」

 生産者たちの会話に、イーネスがため息をはくように言った。

 周囲で話を聞いていた戦闘組も何とも言えない表情になっている。

 今回のようなときは、生産組を責めてもしかたないときちんと理解できているのである。

 

 何となく悪くなってしまった雰囲気を吹き飛ばすように、パティがパンと手を合わせた。

「景気の悪い話はこれくらいにして、また後で考えようや。今日は拠点完成の祝いやし!」

 そのパティの言葉に周囲の雰囲気が変わり、先ほどまでと同じような賑やかな様子に戻った。

 その後は特に目立ったこともなく、ごく普通の一般的な会話だけでパーティーは進んでいった。

 そして、ギルドが用意した食事や飲み物がほぼなくなった所で、お開きとなったのである。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:特級作成師LV15(3up)

 体力 :5455(+181)

 魔力 :8882(+304)

 力  :856(+31)

 素早さ:820(+33)

 器用 :1693(+71)

 知力 :992(+43)

 精神力:1240(+52)

 運  :20

 スキル:上級調合LV14(1up)、上級魔力付与LV15、魔付調合LV13、鑑定LV20(master!)、俊敏LV14、短剣術LV11、槍術LV4、風魔法LV17(1up)、地魔法LV17(1up)、水魔法LV16、

     火魔法LV16、収納LV20(master!)、宝石加工LV20(master!)、装飾作成LV18、光魔法LV17、闇魔法LV17、錬金術LV18(1up)、気配察知LV4、魔力操作LV18(1up)、空き×8(1up)

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:魔狼LV35(2up)

 体力 :10545(+262)

 魔力 :4406(+141)

 力  :1260(+41)

 素早さ:727(+25)

 器用 :374(+12)

 知力 :400(+15)

 精神力:434(+15)

 運  :10

 スキル:牙撃LV19、激爪LV18(1up)、威圧LV20(1up→master!)、俊敏LV18、気配察知LV20(master!)、収納LV19、火魔法LV18、魔力操作LV19、報酬LV18、

     体当たりLV18、水魔法LV18、風魔法LV17(1up)、土魔法LV17(1up)、遠距離走法LV14(1up)、隠密LV15(1up)、発見LV8(1up)、空き×5(1up)

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(達人)LV22(3up)

 体力 :8209(+391)

 魔力 :4835(+241)

 力  :690(+42)

 素早さ:373(+25)

 器用 :727(+40)

 知力 :476(+34)

 精神力:648(+43)

 運  :10

 スキル:上級栽培LV16(1up)、料理LV20(master!)、棍棒術LV12、怪力LV20(1up→master!)、採取LV20(master!)、成長促進LV20(master!)、水魔法LV20(master!)、採掘LV9、

     地魔法LV20(master!)、収納LV19、収穫LV20(1up→master!)、体術LV9(1up)、魔力操作LV16(1up)、交渉LV12(1up)、鑑定LV10(1up)、空き×7(1up)

 職業スキル:種子作成、農地管理

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦乙女LV38(2up)

 体力 :8316(+241)

 魔力 :4801(+161)

 力  :858(+31)

 素早さ:662(+26)

 器用 :524(+21)

 知力 :624(+24)

 精神力:484(+21)

 運  :10

 スキル:上級剣術LV6(1up)、槍術LV20(1up→master!)、上級弓術LV2(1up)、体術LV20(master!)、火魔法LV17、風魔法LV17、水魔法LV14(1up)、地魔法LV14(1up)、

     魔力操作LV19、収納LV18、解体LV16(1up)、鷹の眼LV17(1up)、俊敏LV15(1up)、採掘LV7(1up)、鑑定LV7(1up)、空き×3

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔導士LV31(3up)

 体力 :2623(+180)

 魔力 :6973(+422)

 力  :372(+21)

 素早さ:438(+25)

 器用 :633(+37)

 知力 :748(+39)

 精神力:540(+32)

 運  :10

 スキル:火魔法LV20(master!)、風魔法LV20(master!)、土魔法LV20(1up→master!)、水魔法LV20(1up→master!)、精霊術LV20(master!)、弓術LV15(1up)、鷹の目LV17(1up)、魔力操作LV20(master!)、

     料理LV16(1up)、精霊魔具作成LV13(1up)、交渉LV5(1up)、火炎魔法LV5(1up)、烈風魔法LV5(1up)、空き×3(1up)

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