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ミクシードワールド ~神の作業帳~  作者: 早秋
第五章 神の作業帳
57/74

(3)携帯拠点

なろうで別で上げている「塔の管理をしてみよう」の書籍版が10/13に発売になります。

どうぞ本作と共に、よろしくお願いいたします。

 現在、ハジメが持っている<神の作業帳>は、達成率が七割に届こうとしていた。

 ヒエロニムスに渡したイベントアイテムも含めて、そのあとにまとめて作ったアイテムが次々と登録されて行った結果だ。

 この達成率というのは、指定外アイテムを含めないアイテムの事を指している。

 最初の案内で、<神の作業帳>に指定アイテムが何種類あるのかは書かれていた。今は全部で百種類あるうちの七割に近づいてきているということになる。

 一応付け加えておくと、当然、指定外アイテムはこの達成率には含まれない。

 

 最初は事細かに作成方法まで記載されていた<神の作業帳>だったが、高い技術や手間が必要になった今では、そこまで細かい指示は書かれていない。

 これは、<神の作業帳>が不親切になったわけではなく、複雑な手順が必要になる高ランクのアイテムほど、手順や過程に個人差が出てくるためだとハジメは考えている。

 高ランクアイテムほど、記載が簡潔になっているのはわざとそうしているのではなく、そうせざるを得ないというわけだ。

 もっとも、<神の作業帳>を渡した運営がどういうつもりでハジメにこれを渡したのかは分からないので、そうした配慮が必要なのかどうかはよくわからない。

 そんなことはハジメにとってはほとんど関係が無いので、考えないようにしていた。

 

 <神の作業帳>にアイテムが記載される条件は、様々なパターンがある。

 最初から細かい情報が載っていた回復薬などはともかくとして、職業レベルやスキルレベルが上がったことで名前が表示される物や、<破結石>のように何かの条件を満たさないと表示されない物もある。

 手順が簡単な低ランクアイテムは既に載っているだろうと最初は考えていたのだが、高ランクアイテムを作るのに必要な素材となっている場合に、いきなり出てくることもある。

 そうした意味では、七割が埋まっているからと言って、今後も低ランクアイテムが出てこないわけではないのである。

 ハジメ自身でそのアイテムを作れば載るという事もあるが、交流の街や掲示板などで見かけて自分で作っても、指定外アイテムに振り分けられるのがほとんどだ。

 攻略本などあるわけもないので、何が指定アイテムになるかは結局手探りで探していくしかない。

 さらに加えると、同じ名前ではなくても似たような職業で<神の作業帳>と似たようなアイテムを持つ他のプレイヤーがいるかも確認できていない。

 少なくとも、他の一般的な生産職は<神の作業帳>のような指南書もどきは無いというこは分かっている。

 あるいは、ハジメの<作成師>のようにユニーク職だけに与えられている可能性もあるが、これも不明だ。

 

 <神の作業帳>に記載される指定アイテムは、他の一般的な生産職が作れる種類よりかなり多岐にわたっている。

 例えば、鍛冶職だと鉱石の鋳造やそれを使った武器防具の作成が作れるものになる。

 スキルとして他の生産スキルを覚えることは可能だが、その成長速度はやはり鍛冶関連のものよりはかなり遅くなる。

 一方で、作成師の場合は、<神の作業帳>に記載されるアイテムを作る場合は、成長ボーナスがあるといった感じになっている。

 ただし、指定外アイテムを作る場合でも成長ボーナスはあるのだが、やはり指定アイテムに比べればそのスピードは鈍化するというのがハジメのこれまでの感覚だった。

 勿論、細かい数値として成長が見れているわけではないので、それが正しいのか確認するすべはないのだが。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 『破結石』を作った後、<神の作業帳>で既に出ているアイテムを一通り作り終えたハジメは、日々の作業をこなしつつ新しいアイテムを作り始めていた。

 構想自体は以前から温めていたのだが、スキルが足りないのとそもそもの手順が分からずに棚上げしていたものだ。

 それが、ここ最近の新規アイテムの作成ラッシュで何となく形に出来そうになったため、実現に向けて取り掛かり始めることにしたのだ。

 今回作ることになるアイテムの基礎になるのは、『結界石改』だ。

 このアイテムは、イベントアイテムを作るときに新たに作成したものになる。

 『結界石』の場合は、品質が上がれば使える期間が伸びる。

 これが『結界石改』になると、結界を張った際に入れるものの制限の幅を細かくすることが出来るのだ。

 一番低いランクだと、モンスターの侵入を阻むことが出来るだけだが、最高ランクになると結界内に入れるものがかなり細かく設定できるようになる。

 例えば、人であれば誰々は通すが他は通さないなどだ。

 その『結界石改』と『収納石』を組み合わせて作るのが今回作ろうとしているアイテムになる。


 以前から構想はしてあったので、最初の仮のアイテムはすぐに作ることが出来た。

 ハジメはバネッサと一緒にアイテムの出来を確認するために、第一エリアの本拠点のすぐ傍に立っている。

「・・・・・・で、これがそのアイテム?」

「そうだな」

 バネッサが、ハジメが持っているアイテムを見て、首を傾げていた。

 それもそうだろう。何しろハジメが持っている物は、今まで使って来た『結界石』と見た目上は何も違いが無いのだ。

 今はあくまでも(仮)の段階なので、敢えて区別するような見た目にはしていないだけだ。

 商品とするときには、きちんと区別が出来るようにするつもりでいる。

 

「それで? それは、どうやって使うのかしら?」

「それはな・・・・・・っと」

 ハジメは右手に持っていたアイテムを突然ポイと目の前に投げた。

 そして次の瞬間、目の前にある物が現れた。

「・・・・・・テント?」

「ああ。テントだな」

 そう。目の前に現れたのは、遠征時に使うテントだった。

 しかも、たたまれた状態ではなく、きちんと使える状態で立っている。

 

 少しの間、意味が分からずにテントを見ていたバネッサだったが、ふと違和感に気付いた。

「・・・・・・あれ? 何故、たたまれていないのよ?」

 テントを『収納石』にいれるときは、持ち歩く時と同じようにたたんで入れるのが普通だ。

 ものぐさな人間であれば、たたまずに『収納石』にいれたりしているだろうが、少なくともハジメはそんなことをする性格ではない。

 『転移石』を作ってからすっかり使わなくなったテントだが、それより以前はきちんとたたんで使っていた。

 それが今は、いきなりテントがきちんと使える状態で現れていた。

「お。気付いたか」

 バネッサの言葉に、ハジメが嬉しそうに頷いた。

「それがこのアイテムのミソだな」

「・・・・・・で、結局どういうアイテム?」

 今度は、考えるそぶりを見せずにすぐにそう聞いてきたバネッサに、ハジメはカクリと肩を落とした。

「少しは考えてくれ」

「あら。だって、長くなりそうだったんだもの」

「はあ。まあいいか」

 そう言ってため息を吐いたハジメは、バネッサに説明を始めた。

 

 今回ハジメが作ったアイテムは、その名も『携帯拠点(仮)』だ。

 その名前の通り、拠点そのものを持ち運びできるようにになるアイテムだ。

 今はテントが拠点という事になっているが、品質が上がればもっと大きな建物を持ち運びできるようになる。

 遠征を多くする冒険者にとっては、まさに夢のようなアイテムなのだ。

 ・・・・・・ただし、とあるアイテムが使えるプレイヤーとそのサポートキャラは除くが。

 しっかりとバネッサがそのことを突っ込んできた。

「ねえ。これ、とても便利なのはわかるけれど、『転移水晶』がある私たちに必要な物?」

 バネッサの当然と言えば当然の質問に、ハジメは身を固めた。

「・・・・・・やっぱりそう思うか?」

 微妙な表情になって言ったハジメに、バネッサは呆れた表情で頷いた。

 

 そもそもハジメがこのアイテムを思いついたのは、『転移水晶』を作る前だった。

 その時であれば、絶大な効果を発揮したであろうこのアイテムも、今となってはほとんど役に立たないのである。

 何しろ、ハジメたちが第三段階を攻略した時と同じように、『転移水晶』を使って本拠点に戻ってくればいいのだ。

 わざわざ拠点を持ち運びする必要などない。

 バネッサが言った通り、今となってはほとんど必要が無い物なのである。

「まあ、いつか『転移水晶』が使えないような場所が出てくるかもしれないから、そのためだ」

 目を泳がせながらそう言ったハジメだったが、その日が来るとは当人も思っていない。

 どちらかといえば、折角思いついたので作ってみたかった、というのが大きな理由なのだ。

「ふーん。別に、いいけれどね」

 そんなハジメの姿を見たバネッサは、呆れたような顔になった。

 

「と、とにかく、今は(仮)になっている理由を探すぞ」

 微妙な雰囲気を察したハジメは、話題を変えるために本来の目的を話した。

 そもそも完成しているわけでもないのに、こうしてバネッサに来てもらっているのは、何かおかしなところが無いかを確認してもらうためだ。

 手順その他は間違っているとは思えないのだが、<鑑定>をすると(仮)が付いている。

 それを確認するために、わざわざ本拠点の外に出てきているのだ。

「でも、外を見る限りでは、何もないわよ?」

 バネッサがそう言った通り、外から見る限りではテントそのものは正常に開いているように見える。

 首を傾げながらバネッサがテントに近づいていき、中を覗いた。

 そして、すぐに(仮)の原因に気が付いた。

「あ、わかった」

「なに!?」

 そんなにすぐに分かるとは思っていなかったハジメは、すぐに周りの調査を止めてバネッサと同じようにテントの中を覗いた。

 そしてバネッサと同じように、その原因が分かった。

 

 中の状態を見て、ハジメが小さくつぶやいた。

「そう言う事か・・・・・・」

 テントの中で携帯用に小さくなる前にはきちんと並べてあったものが、散乱していたのだ。

「原因は分かったみたいだけれど、これ、直すことなんて出来るの?」

 バネッサのもっともな疑問に、ハジメは難しい顔になった。

「出来なくはない。・・・・・・出来なくはないんだが、もう少し複雑な手順が必要になるな」

 要は、テントそのものだけではなく、中の空間までしっかりと位置関係や大きさまで保持していないといけない。

 それが出来ていなかったから、今回のように物が散乱するという事が発生したのである。

 原因さえ分かれば、それに対処して作っていけばいいだけだ。

 問題は、ハジメが言った通り、アイテム作成時により複雑な手順が必要になるという事だが、それはアイテムを作る者にとっての腕の見せ所といえる。

 そして、明確な問題点が分かったハジメは、再び『携帯拠点』の作成に取り掛かるのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 問題点さえ分かれば、後はそれを改良すればいい。

 ただし、改良自体はさほど簡単に、というわけにはいかなかった。

 とはいえ、イベントアイテムを作った経験からすれば、さほど難しいことでもない。

 ただ余計な手順が増えて、手間がかかるだけだ。

 イベントアイテム自体はそれ一つを作っただけだが、そのこと自体はハジメ自身にとって大きな経験になっているのである。

 実は、ハジメ自身は気づいていないが、この時点で<特級>の名に恥じない技術力を持っていたりする。

 今回の修正もハジメは、手間がかかる、の一言で済ませているが、普通はそんな簡単に言えるような問題ではない。

 これに関しては、周りにいるサポートキャラたちも気づいていないので、ハジメだけが認識不足というわけではないのだが。

 

 そんなハジメたちの認識はさておき、順調に『携帯拠点(仮)』問題点を修正し終えると、見事に(仮)が外れて『携帯拠点』の作成に成功した。

 一応バネッサと確認した時と同じように、エリア内でもチェックをしたが問題なく使えることが出来た。

 その場での簡易的な確認は終わったので、あとは長期間の使用に耐えることが出来るかどうかだ。

 アイテムの性質上、『結界石』とは違って使用期限はない。

 そのためほぼ永久に使えるはずなのだが、何も調べずに流通させるわけにもいかない。

 というわけで、ハジメたちが実地で使って耐久性を調べることになった。

 具体的には、第一エリアの第三段階を越えた先にあるはずの町の探索の際に使ってみることにしたのだ。

 その辺りの調査は、バネッサたちが行う事になるので実際に使うのは彼女たちという事になる。

 『携帯拠点』には、当然のように『転移水晶』も設置してあるので、夜の間は本拠点に帰ってくるので今までとほとんど違いが無い。

 こうして、ハジメたちは町の探索にいよいよ本格的に乗り出したのであった。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:特級作成師LV10(3up)

 体力 :5154(+181)

 魔力 :8375(+305)

 力  :624(+30)

 素早さ:765(+34)

 器用 :1575(+74)

 知力 :921(+44)

 精神力:1154(+51)

 運  :20

 スキル:上級調合LV13(1up)、上級魔力付与LV14(1up)、魔付調合LV13(1up)、鑑定LV20(master!)、俊敏LV14、短剣術LV11、槍術LV4、風魔法LV16(1up)、地魔法LV16(1up)、水魔法LV16(1up)、

     火魔法LV16(1up)、収納LV20(master!)、宝石加工LV20(master!)、装飾作成LV17、光魔法LV16、闇魔法LV16、錬金術LV17、気配察知LV4、魔力操作LV17(1up)、空き×7(1up)

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:魔狼LV31(3up)

 体力 :10022(+394)

 魔力 :4125(+211)

 力  :1177(+62)

 素早さ:677(+37)

 器用 :350(+19)

 知力 :370(+21)

 精神力:405(+21)

 運  :10

 スキル:牙撃LV19、激爪LV17(1up)、威圧LV19、俊敏LV18、気配察知LV20(master!)、収納LV18、火魔法LV17(1up)、魔力操作LV19(1up)、報酬LV18、

     体当たりLV18(1up)、水魔法LV17(1up)、風魔法LV15(1up)、土魔法LV15(1up)、遠距離走法LV12(1up)、隠密LV13、発見LV5(2up)、空き×4(1up)

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(達人)LV17(3up)

 体力 :7557(+393)

 魔力 :4433(+242)

 力  :620(+43)

 素早さ:332(+24)

 器用 :660(+40)

 知力 :420(+33)

 精神力:576(+43)

 運  :10

 スキル:上級栽培LV14(1up)、料理LV20(master!)、棍棒術LV12、怪力LV19(1up)、採取LV20(master!)、成長促進LV20(master!)、水魔法LV20(master!)、採掘LV9、

     地魔法LV20(1up→master!)、収納LV18、収穫LV19(1up)、体術LV7(1up)、魔力操作LV14(1up)、交渉LV10(1up)、鑑定LV8(1up)、空き×6(1up)

 職業スキル:種子作成、農地管理

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦乙女LV34(3up)

 体力 :7833(+363)

 魔力 :4480(+240)

 力  :797(+47)

 素早さ:609(+40)

 器用 :482(+32)

 知力 :575(+36)

 精神力:442(+30)

 運  :10

 スキル:上級剣術LV4(1up)、槍術LV19(1up)、弓術LV19(1up)、体術LV20(master!)、火魔法LV17、風魔法LV17、水魔法LV12(1up)、地魔法LV12(1up)、

     魔力操作LV19、収納LV18(1up)、解体LV15(1up)、鷹の眼LV16(1up)、俊敏LV13(1up)、採掘LV5(2up)、鑑定LV5(2up)、空き×2

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔導士LV25(4up)

 体力 :2263(+240)

 魔力 :6129(+565)

 力  :329(+28)

 素早さ:389(+34)

 器用 :559(+49)

 知力 :669(+54)

 精神力:477(+41)

 運  :10

 スキル:火魔法LV20(master!)、風魔法LV20(master!)、土魔法LV18(1up)、水魔法LV18(1up)、精霊術LV20(master!)、弓術LV13(1up)、鷹の目LV15(1up)、魔力操作LV20(master!)、

     料理LV15(1up)、精霊魔具作成LV11(1up)、交渉LV4、火炎魔法LV3(2up)、烈風魔法LV3(2up)、空き×2(1up)

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