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(4)絶零石

 ヒエロニムスのいる場所を便宜上『ドラゴンの巣』と呼ぶことにした。

 一応、ヒエロニムスにも確認を取ったのだが、「好きにすればよい」と言われたのだ。

 ハジメ達がヒエロニムスと会ったあの場所は、ヒエロニムスが何か所か確保してある休み場所の内の一つだそうだ。

 後で確認を取ることになるのだが、他の場所も全て第三エリア内にあった。

 今回は、たまたまヒエロニムスが休んでいた所と、ハジメ達がかち合ったという事になる。

 

 それはともかくとして、拠点に戻ったハジメは精力的にアイテムの作成に取り掛かりはじめた。

 まず必要になるのが、今作れる『結界石』の品質が高い物だ。

 結界を破るために必要なのが『結界石』と言うのが不思議な感じがするが、これにはちゃんと理由がある。

 『結界石』そのものを使うのではなく、更にひと手間を加えることによって、全く逆の性質を持つアイテムを作り出すのだ。

 『結界石』は、結界を張るための道具であり、その真逆の性質を持たせることによって、結界を破る道具を作るという事だ。

 勿論、そのアイテム一つで第三段階の、しかもドラゴンさえ破れないような結界を破ることが出来るわけではない。

 あくまでもそのアイテムは、ヒエロニムスが結界を破るために補佐する道具ということだ。

 

 高品質の『結界石』を使った上で、逆の性質を持つように変換する物を作らないといけないのだが、これを作るにはある材料が必要になる。

 一つは『時の砂』で、もう一つが『絶零石』だ。

 それらと『結界石』を使う事によって、<結界を張る>という作用とは逆の性質を持つ『破結石』という物が作れる。

 というのが、ヒエロニムスからもたらされた知識だった。

 『時の砂』と『結界石』は既にある。あるいは、作り方は分かっている。

 問題は『絶零石』だが、これもある程度の当てはあった。

 その当てが誰かというと、他のプレイヤーたちではない。

 『石』と名前が付く以上、地の属性に関わるだろうと予想している。

 とすれば、ハジメが思い当たる当てとは、彼らしかいない。

 そう。

 第三エリアにいる地霊ノームたちである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 ノームたちと話が出来るのはエイヤだけなので、彼らと話をするときはエイヤの同行が必須だ。

 今でもノームとの取引は行っているが、全てエイヤを介しての取引となっている。

 それを考えると、エイヤも<交渉>スキルがあった方がいいということで、第三段階攻略時に増えた空きスキルを使って覚えさせた。

 もっとも、今回はアイテムの事なので<交渉>スキルが役に立つのは、後のことになるのだが。

 それはともかくとして、ハジメはエイヤと共にノームたちの拠点を訪れた。

 <転移石>を使った簡易拠点も特に大きな問題を起こすことなくきちんと働いていた。

 問題なくノームの拠点へと付いたハジメは、早速『絶零石』について聞くべく、ノームの長老を尋ねた。

 

 ノームの長老に早速『絶零石』について確認すると、あっさり「ある」という答えが返って来た。

 ただし、ノームたちにとっても『絶零石』は貴重な品らしく、『時の砂』のように気軽に取引できるものではないらしい。

 その程度の事は予想の範疇だったハジメは、何とか少しで構わないので譲ってもらえないかと交渉した。

 最初は難しい顔をして首を左右に振っていた長老だったが、拠点を守ってくれたハジメ達の為なら、という事で何とか譲ってもらえることになった。

 決して、新しい酒が手に入ったからと言って、ハジメが長老の前に酒瓶を取り出したわけではない。

 もっと言うと、イリスの新作料理だと言って、新しいスープを皆に振る舞ったおかげでもない。

 あくまでも渋々と譲ってもらったのである。

 

 

 閑話休題。

 

 

 そんなやり取りがあったノームとの交渉を終えて、ハジメは『絶零石』を持って本拠点へと戻って来た。

 この『絶零石』を加工した上で、色々な処理を行って行かなければならない。

 とはいえ、数に余裕があるわけではないので、慎重に作業をする必要がある。

 初めての作業なので、どれくらいのスキルレベルが必要なのかも全く分からないのだ。

 残念ながら<神の作業帳>には、『破結石』というアイテム名と材料だけが載っている状態で、手順などの詳しい事は載っていなかった。

 といっても、<神の作業帳>は最初のころと違って、ランクが高くなるほどそうした細かい情報は載らなくなっていた。

 ハジメは、『破結石』も同じだろうと考えていたので、それにどうこう言うつもりはなかった。

 それよりも、自分で色々と試行錯誤しながら試して行けるのが楽しいと考えるタイプなのである。

 もっとも、そういう性格でないと職人などやっていけないのかもしれない。

 

「それで間違いない?」

 ノームが持って来た『絶零石』を確認していたハジメに、エイヤが聞いてきた。

 どうやら『絶零石』のすばらしさに見とれていたハジメに、不安を覚えたノームがエイヤに聞いてきたようだった。

「いや、すまん。問題ない。余りに素晴らしいから見とれていた」

 そう言ったハジメはもう一度、手に持った『破結石』に視線を落とした。

 大きさはこぶし大もないくらいの大きさの石だ。

 宝石の類のように、透明で色が付いていたりするわけではない。

 一見するとただの黒い石に見えるが、よく見るとその中に光を放つものがある。

 まるで、夜空に浮かぶ星のように見えるその光が、『絶零石』であることを証明するものだ。

 勿論、そんな知識はハジメが元々持っていたわけではなく、<神の作業帳>に書いてあった知識である。

 

 『絶零石』を右の掌で持ちながら、ハジメはノームの長老に聞いた。

「それで? これを貰えるのか?」

 ハジメの言葉は直接通じることはないのだが、言いたいことは伝わったのか、長老はすぐに頷いてくれた。

 きちんとエイヤが通訳をして確認を取る。

「それを持って行っても問題ないって。逆にそれしか渡せなくて申し訳ないと言ってる」

「いや、十分だと伝えてくれ」

「わかった」

 ハジメの言葉に、エイヤが頷いてノームに伝える。

 実際、『絶零石』は大量に使うというわけではないのだ。

 勿論、練習用に幾らか使わなければいけないだろうが、それでも十分すぎるほどの量がある。

 

 ハジメの言葉を伝えていたエイヤだったが、短い言葉を伝える割には多少話し込んでいた。

 何を話しているのか気になったハジメだったが、すぐにエイヤが内容を伝えて来た。

「もし、追加でほしければ、大体三十日後くらいにまた来てくれって」

「何? まだ取れるのか?」

「うん。なんでも星のめぐりによって取れる時と取れないときがあるらしい。数年に一回とかなんだけど、次は大体それくらいなんだって」

 エイヤの言葉に、ハジメは笑顔になった。

「それは良い事を聞いた」

「でも、正確な日にちはノームたちも分からないって。それに取れる量も」

 なんでも『絶零石』は、数年に一度訪れるチャンスに自然に出来上がるのを待つだけらしい。

 あくまでも自然任せなので、取れる量も全く分からないそうだ。

「それでも構わないさ。絶対に必要と言うわけでもないんだから、追加で貰える可能性があるだけでもありがたいと伝えてくれ」

「わかった」

 ハジメの言葉に、エイヤが再び頷いてノームに伝えはじめる。

 実際ハジメとしても『絶零石』は絶対に必要と言うわけではない。

 勿論、今もらった分で『破結石』を作ることが出来なければ必要になるのだが、流石にそこまで失敗は繰り返したくはない。

 それくらいの量は、今回の取引で貰っているのだ。

 『絶零石』自体が色々な物に応用できそうなので、追加で貰えるなら欲しいということなのだ。

 

 結局、いつもの取引に加えて、『絶零石』も今後の取引に加わることになった。

 ただし『絶零石』の場合は、ノームたちが必要とする量以上の物が取れた場合に限られた。

 ハジメとしてもその条件で問題ないので、今後も取引させてもらうという事で話が落ち着くのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 拠点に戻ったハジメは、早速『絶零石』の加工を始め・・・・・・るわけでもなく、いつも通りの作業をこなしていた。

 『絶零石』の加工をするためには、まだ充分スキルが育っていないと考えたためだ。

 何より必要になるが、<宝石加工>のスキルだ。

 『絶零石』は見た目は完全に鉱石なのだが、分類上は宝石に区分されているようだった。

 必要な加工をするためには、どうしても<上級宝石加工>のスキルが必要になる。

 といっても、今までと同じように水晶だけを加工していても中々スキルレベルは上がらない。

 そのため<クエスト>に出ている宝石加工系のクエストをこなすことにした。

 クエストは、物によっては必要な材料が用意されている物もある。

 これを利用して<宝石加工>のスキルを上げようというわけだ。

 もっとも、それだけでは絶対に足りないので、他の原石を交流の街にある店から入手しなくてはならなくなるのだが。

 

 そんなわけで、ハジメ自身は攻略アイテム作成で引きこもってしまったために、普段の商品の卸はイリスが担当することになった。

 これはイリスが<交渉>スキルを持っているというのもその理由の一つになっている。

 そのイリスが、バネッサを伴ってパティの店に訪れると、その本人が笑顔で出迎えてくれた。

「いらっしゃい~」

 そんなパティを見て、バネッサが一言。

「そんな無理やりに笑顔を張り付けて言われても嬉しくないわよ?」

「な、な、な、なんのことやろ~?」

 バネッサに突っ込まれてパティの笑顔にひびが入るが、強情にも営業スマイルは続けたパティだった。

 商人である。

 

 そんなパティに対して、シエラがため息を吐きながら言った。

「店長、見ていて痛々しいですから、さっさと中に入って受け取りを済ませて下さい。・・・・・・他にお客がいなくてよかったですね」

「ううっ、ひどいなあ。うちのサポートキャラが冷たい」

 よよよ、と泣きまねをするパティだったが、シエラには「はいはい」と軽くあしらわれていた。

「まあ、ええか。シエラに言われてしもうたんで、中に入ろ。話はそこからや」

「はい」

「まあ、私たちはどこでもいいけどね」

 パティがそう言って店の奥を指すと、イリスとバネッサがそれぞれそう答えつつ頷くのであった。

 

 店の倉庫に三人が入ると、パティの営業スマイルは奥に引っ込んだ。

「それで? ハジメは何をやっとるん?」

 ここ数日は完全にイリスに任せっきりになって、店に寄り付かなくなっているのだ。

 何とも分かりやすい態度をとるパティに、イリスとバネッサが顔を見合わせた。

「何と言うか、イベント攻略用のアイテム作りに精を出しているわよ?」

「今はそれに付きっきりと言う感じですから、しばらくはこちらには顔を見せないかと」

「う~。そうなんかあ」

 不満そうな顔になるパティに、イリスが一つため息を吐いてから言った。

「あの。一つ助言しますが・・・・・・待っていてもハジメ様から言われることは無いかと思いますよ?」

「な、なな。何のことや?」

 誤魔化すような顔になったパティに、バネッサもため息を吐いた。

 イリスが言っているのは、今回の事ではなく今までの事全てを含めている。

「あのね。今更でしょう? 貴方の事に気付いていないのって、恐らくハジメくらいじゃないの?」

「うぐぐ・・・・・・」

 自覚はあったのか、バネッサにダメ出しされたパティは表情を赤くしながら呻いた。

 バネッサの言う通り、パティのハジメへの想いは、既に周囲の者達にはまるわかりになっており、分かっていないのは本人のみ、という状態なのだ。

 

「ハジメもハジメだと思うけれどねえ。まあ、ある意味ではしょうがないとも思うのよね」

 バネッサの感想に、パティが食いつく。

「どういうことや?」

「だって、既にハジメには私達三人がいるのよ? わざわざ自分から他の女に手を出そうとするような性格じゃないわよ」

「そうなんか・・・・・・」

 バネッサの言葉に、イリスが頷きパティは項垂れる。

「そもそもエイヤの時も、私達が後押ししたようなものですしね」

「ああ、あれはね~」

 その時のことを思い出して、イリスとバネッサが半笑いになっていた。

 それに興味を覚えたパティが、思わずと言った感じで聞いてきた。

「何なん? 何があったん?」

 パティの反応に、イリスとバネッサが顔を見合わせた。

 その後、イリスが悪い笑みを浮かべる。

「それは、この後の交渉次第かと」

 イリスの言葉に、パティがいきなりいつもの調子を取り戻してニヤリと笑った。

「そうくるか~。でもそれとこれは話が別や」

 あっさりとそう言って来たパティに、イリスがガクリと項垂れた。

「・・・・・・そうですか」

「いいとこついてきたけどな。新人はんのイリスには、まだまだ負けられへんで」

「残念です」

 そう言ってため息を吐いたイリスだったが、結局そのままいつも通りの交渉に入ることにした。

 元より商人として上位に位置するパティに叶うとは思っていない。

 ハジメもそんなことは考えていないだろう。

 

 ハジメが拠点でイベント用アイテム作成に励む中、周りではいつも通りの時間が過ぎていくのであった。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:上級作成師ハイクリエイターLV38(5up)

 体力 :4136(+254)

 魔力 :6687(+408)

 力  :457(+43)

 素早さ:572(+51)

 器用 :1165(+111)

 知力 :671(+69)

 精神力:853(+80)

 運  :20

 スキル:上級調合LV5(2up)、上級魔力付与LV4(2up)、魔付調合LV7(3up)、鑑定LV20(2up→master!)、俊敏LV13、短剣術LV11、槍術LV4、風魔法LV11(1up)、地魔法LV11(1up)、水魔法LV11(1up)、

     火魔法LV11(1up)、収納LV18(1up)、宝石加工LV16(5up)、装飾作成LV12(2up)、光魔法LV11(1up)、闇魔法LV11(1up)、錬金術LV10(1up)、気配察知LV4、魔力操作LV10(5up)、空き×2(1up)

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:魔狼LV19(4up)

 体力 :8446(+525)

 魔力 :3283(+281)

 力  :927(+85)

 素早さ:530(+50)

 器用 :275(+24)

 知力 :285(+28)

 精神力:318(+30)

 運  :10

 スキル:牙撃LV17(2up)、激爪LV13(2up)、威圧LV17(1up)、俊敏LV17(1up)、気配察知LV18(1up)、収納LV16(1up)、火魔法LV15(1up)、魔力操作LV16(1up)、報酬LV16(1up)、

     体当たりLV14(1up)、水魔法LV15(1up)、風魔法LV7(2up)、土魔法LV7(2up)、遠距離走法LV5(2up)、隠密LV5(2up)、空き×2

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(一人前)LV45(3up→master!)

 体力 :5352(+303)

 魔力 :2989(+154)

 力  :394(+26)

 素早さ:177(+10)

 器用 :450(+15)

 知力 :243(+14)

 精神力:345(+20)

 運  :10

 スキル:上級栽培LV5(2up)、料理LV18(1up)、棍棒術LV12、怪力LV17、採取LV20(1up→master!)、成長促進LV18(1up)、水魔法LV16、採掘LV9、

     地魔法LV16(1up)、収納LV15(1up)、収穫LV13、体術LV6(1up)、魔力操作LV7(2up)、交渉LV3(2up)、鑑定LV4(1up)、空き×2(1up)

 職業スキル:種子作成

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦乙女LV20(3up)

 体力 :6139(+362)

 魔力 :3355(+245)

 力  :580(+46)

 素早さ:423(+40)

 器用 :338(+30)

 知力 :407(+38)

 精神力:297(+33)

 運  :10

 スキル:上級剣術LV3(2up)、槍術LV17(1up)、弓術LV15、体術LV18(1up)、火魔法LV14(1up)、風魔法LV14(1up)、水魔法LV6(1up)、地魔法LV6(1up)、

     魔力操作LV17(1up)、収納LV14、解体LV12(1up)、鷹の眼LV13、俊敏LV7(2up)、空き×2(1up)

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔導士LV9(4up)

 体力 :1297(+243)

 魔力 :3870(+563)

 力  :216(+30)

 素早さ:255(+32)

 器用 :362(+48)

 知力 :450(+55)

 精神力:310(+40)

 運  :10

 スキル:火魔法LV19、風魔法LV19、土魔法LV9(3up)、水魔法LV9(3up)、精霊術LV20(1up→master!)、弓術LV7(2up)、鷹の目LV8(2up)、魔力操作LV20(master!)、

     料理LV13(1up)、精霊魔具作成LV6(1up)、交渉LV2(New!→2up)空き×2(1up)

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