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ミクシードワールド ~神の作業帳~  作者: 早秋
第三章 全体イベント
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(3)全体イベント(準備編)

 倉庫の整理を終えてからしばらくは、ハジメとイリスの二人は生産系スキルのレベル上げに重点を置いて活動した。

 その間ルフとバネッサとエイヤはノーム集落の周辺での戦闘活動だ。

 そして、倉庫整理から一週間程経ったある日の事。

 いつものようにパティの店に商品を納品に行ったときに、重要な話を聞くことになった。

「ついにAランクの回復薬が出回り始めたで」

「ほう、ついにか。思ったよりも遅かったな」

「という事は、ハジメはとっくに作ってあるのかな?」

 期待するようなパティの視線に、ハジメは肩をすくめた。

「残念ながらAランクの回復薬はまだ出来ていないな」

「なんや。残念」

 そんなことを言いつつ、パティは期待するような視線をハジメに向けている。

 ハジメの表情から、何かはあるのだろうと読んでいるのだ。

 その視線が早く出せと言っていた。

 

 パティの視線に苦笑をしたハジメは、高回復薬を取り出した。

「代わりにこっちを作っておいた」

「流石、ハジメや!」

 ハジメが取り出したのは、Bランクの高回復薬だ。

 体力を一定数しか回復しない回復薬と違って、高回復薬は使用者の体力によって回復量が変わってくる。

 Bランクの高回復薬の回復量は、23%から27%回復する。

 場合によっては、Aランクの回復薬よりも回復量が多くなることがあるのだ。

 二種類の回復薬をどのように使い分けるかは、それぞれのプレイヤーに任せればいい。

 生産者としては、今できる最高の物を提供するだけだ。


「ところで、これを出して来たという事は、Aランクの回復薬は作らへんの?」

「まさか。ちゃんと作れるようにするつもりだが、流石に時間が無くてな。高回復薬を優先した」

 今は錬金術スキルのレベルを上げることに時間を優先しているので、既存の製品のランクを上げる研究時間は以前よりも少なくなっている。

 必要なことなので仕方ないが、一つのスキルを突き詰めているプレイヤーに離されてしまうのは仕方がないことだと思っている。

 今のところ高回復薬の方が回復量が高くなるために、大きな問題にはなっていないが、いずれ問題になる可能性がある。

 その前に、出来ることならオンリーワンの商品を作れるようになればいいのだが、そううまくは行かないだろう。

 現に、結界石も似たような商品が出回り始めているのだ。

「ハジメは、色んなもんに手を付けているからなあ。下手をすれば、器用貧乏になり兼ねないで?」

 パティの忠告に、ハジメは素直に頷いた。

 別にパティもハジメを責めようと思って言っているわけではないことが、ちゃんと分かっているのだ。

「そうだな。ただ、先の事を考えるとどうしても必要なスキルばかりだからな。今は仕方ないさ」

「そうか。ハジメがきちんと考えているんやったら、ええんとちゃうか」

 ただし、今の職業で作れる物を突き詰めて行けばオンリーワンの作成も可能であると考えている。

 現に、薬師が作れてハジメが作れない商品も出てきているのだ。

 ただ単に調合スキルだけを持っていれば、全ての調合が出来るわけではないのだ。

 この辺りは、職業によって適性武器がある戦闘職と同じようなシステムになっているらしい。

 作れないわけではないが、非常に手間がかかるためわざわざ手を出す必要性が無いのである。

 そのことから考えても上級作成師だけで作成できる物があってもおかしくはないのだ。

 ハジメは、<神の作業帳>をすべて埋めることが出来れば、いつかはそういった製品も出てくると考えている。

 そのためには、今のうちから必要なスキルを上げていくのが良いと、ハジメは考えているのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 ハジメとパティが色々と話し込んでいると、パティの店にプレイヤーの一人が飛び込んできた。

「パティ、パティ、話聞いた!?」

 あまりの勢いに流石のパティも少しばかり引き気味になっている。

「ちょっと落ち着いてえな。何の話の事や?」

「この話を聞いて落ち着いて入れますかって! 襲撃イベントの話よ!」

 その情報に、店内が静まった。

 この時店内には、当然ながら他の客も立ち入っていた。

 それらの客の視線が全てこのプレイヤーに集まることとなった。

 

「ちょっと待ってえな・・・・・・。何の襲撃イベントやって?」

「だから! 交流の街にモンスターが襲撃しにやってくるって! さっきから街の外ではその話でもちきりよ!」

 勢い込んで言う女性プレイヤーに、パティの顔色が変わった。

 その情報が本当の事だとすると、交流の街を利用している全てのプレイヤーは安穏と過ごすわけには行かなくなる。

「それ、何処からの情報や?」

「話によると公式らしいわよ。システムにしっかりと表示されているって!」

 傍で聞いていたハジメが、パティに視線を飛ばした。

 交流の街に店を持っているパティは、店内にシステムの端末を用意してあるのだ。

 店を建てた段階で設置できるようになったらしい。

 ハジメの視線を受けて頷いたパティが、すぐに店の奥へと向かった。

 

 

 

「・・・・・・どうだった?」

 奥から戻って来たパティに、ハジメが問いかけた。

「イベントがあるのは間違いないみたいやね。しっかり発表されてたわ」

「そうか」

「細かい内容は、後で確認したほうがええと思うわ。簡単に説明すると、街の四か所にある守護結界の装置を守りきれれば、プレイヤー側の勝ちらしいわ」

 パティの説明に、ハジメが首を傾げる。

「守護結界の装置? そんな物あったか?」

「うちも知らんなあ。イベントに合わせて出てくるんやないか?」

「何処にあるのか分からない物を守れと言うのでなければいいが・・・・・・」

「は、ははは。いくらなんでも、それは・・・・・・無いんとちゃうか?」

 そう言いつつパティの視線は左右に揺らいでいた。

 運営に対する評価がよくわかる。

 ふと横を見ると、イベントを知らせに来たプレイヤーや店内の客も苦笑したり首を左右に振ったりしている。

 ちなみに、ハジメも同感だった。

「あまり期待しない方がいいな」

「「そうね(やね)」」

 満場一致で運営に対する評価が決定したところで、パティがため息を吐いた。

「とにかく、細かいことはシステムできっちり確認したほうがええわ。うちも流し読みしただけやし」

「そうだな。そうしよう」

 ハジメは深く頷くのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 拠点に戻ったハジメは、システムでイベントに関しての内容を確認した。

 イベントの内容としては防衛イベントで、レイドボスのような大型モンスターが出てくるわけではなく、一度に多くのモンスターが襲撃してくるタイプのイベントのようだった。

 ただし、ボスタイプのモンスターが出てこないとはどこにも書いていないので、雑魚(?)モンスターを防ぎ切った後に出てくる可能性はある。

 その辺りまでは詳しく書かれていないが、掲示板を見る限りでは戦闘組もボスタイプモンスターの出現もしっかりと考慮に入れているようだった。

 イベントには期間が設定されており、何とその期間は一週間となっていた。

 丁度発表のあったこの日の一週間後に開始されて、七日間続くのだ。

 その間、どの時間帯にモンスターの襲撃が行われるのかは記されていない。

 元の世界にあったゲームでこのようなイベントが開催されれば、非難轟々だっただろう。

 こちらの世界では、非難されているという事はなかった。

 それもそうだろう。

 そもそもモンスターが、きっちりと時間を決めて襲撃してくるはずもないのだ。

 一部、時間が分からないのは不親切だ、という主張もあったのだが、呆れられて終わっていた。

 むしろ、本当にモンスターが出現する世界から来ているプレイヤーからすれば、何を言っているんだという話なのだろう。

 

 ちょっとした意見の違いは出ていても、全体的にはイベントを勝利で乗り越えようという気運が高まっているように感じた。

 勿論掲示板上での話なので、全てのプレイヤーがイベントに参加するわけではないだろう。

 中には、そもそも何故このタイミングで起こるんだろうという疑問も出ている。

 色々と疑問が尽きないイベントではあるが、一週間後と期限が区切られているため全体的には着々と準備が進められているようだった。

 イベントの内容はモンスターの襲撃だとはいえ、戦闘組だけが活躍するわけではない。

 戦闘時に使用する武器やアイテム、一週間という期間中に必要な食料など兵站も重要なのだ。

 イベントと名を打っているので当然報酬はあると記載されているが、その中身までは公表されていない。

 ついでに言うと、イベント失敗時のペナルティがあることも公表されている。

 掲示板ではその中身について色々と議論されているようが、そのどれもが有りそうで決定打には至っていない。

 結局のところイベントが終わってみないことには答えは出ないのだ。

 

 そんな周囲の状況を横目に見ながら、ハジメとイリスは着々とイベントに向けて準備に励んでいた。

 ハジメは回復アイテムの量産、イリスは材料の量産だ。

 他のメンバーは、必要な素材の採取に励んでいる。

 そんな中、いいタイミング(?)でバネッサの職業がマスターになった。

 早速バネッサと相談して職業を決め・・・・・・ようとしたのだが、職業欄を見て悩むことなく一瞬で決定した。

 予定通りというか、想像通りに<上級戦士>はあったのだが、その他に<戦乙女>が出ていたのだ。

 元々掲示板で確認していて、アマゾネスの専用職だという事は分かっていた。

 サポートキャラでも表示がされるのかは不明だったのだが、きちんと用意されていた。

「これで、ますます役に立てるわね」

「ああ。期待している」

「任せて!」

 そんなことを話しながら、すぐさま<戦乙女>へと転職した。

 

 更に、戦士をマスターしたことによって、<全武器装備可>という職業スキルが追加されていた。

 これはその名前の通りどの職業であってもどんな武器でも扱えるようになるというスキルだ。

 これまで育てたスキルが無駄にならなくてホッと一安心といった所だ。

「まあ、そもそもアマゾネスって、どんな武器でも使うみたいだけれどね」

「そうなのか?」

「少なくとも私の知識ではそうなっているわよ?」

 サポートキャラであるバネッサの知識は、元々運営から与えられたものだ。

 標準化された物が与えられているのか、どこかの特定の部族(?)の知識が与えられているのかは不明だ。

 どのような知識であっても役に立っていることは間違いないので、素直に受け入れておくことにした。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 イベントへの準備を着々と進めていく中で、さらにルフも職業をマスターした。

 転職ラッシュ(?)である。

 上位職として出ていたのは<魔狼>だけだったので、これを素直に選択した。

「狼は枝分かれはなしか?」

「クーン?」

 魔狼を選択した時のハジメの呟きに、ルフは首を傾げるだけだった。

 今回もしっかりとイリスがいたので、訳してもらう。

「どうなんだろうね、みたいな感じです」

「そりゃそうか。わかるはずないわな」

 首を傾げる仕草が可愛かったので、ハジメは思わず首筋をモフッてしまった。

 

 職業がマスターしたことで、空きスキルが出来たので以前から付けておこうと思っていたスキルを付与することにした。

 他のメンバーも空きスキルはあるのだが、ルフに付けようとしているスキルは戦闘スキルに当たるので、イベントに合わせて急遽準備しておきたかったのだ。

 そのスキルは<激爪>スキルで、その名前の通り爪の攻撃のことだ。

 今までもルフは爪を使って攻撃をしていたのだが、それはどちらかというと手で相手を抑えるような感じになっていた。

 傍から見ていると何とももどかしい感じがしていたので、今回きちんとスキルとして覚えてもらうことにしたのだ。

 これもイベント対策の一つだ。

 逆にバネッサは、今以上に戦闘スキルを付けるよりもスキルレベルを伸ばすことを選択した。

 

 ルフとバネッサが上位職へと転職したために、戦力の向上が見込めるようになったところで、襲撃イベントへと入ることになった。

 その間に、ハジメとイリスもしっかりと万全の体制を整えて来た。

 起案中に、余分に作ったアイテムはパティに渡してある。

 どのようなタイミングで出すかは完全にパティに任せてある。

 ハジメたちのパーティは戦闘に参加する予定なので、小出しにすることが出来ないのだ。

 といっても、一週間という長丁場のイベントなので、戦闘しっぱなしという事は無いだろう。

 掲示板でどのような話し合いになっているのかしっかりとチェックをして、準備を整えた上でいざ本番という事になったのである。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:上級作成師ハイクリエイターLV23(3up)

 体力 :3374(+155)

 魔力 :5477(+246)

 力  :293(+24)

 素早さ:368(+31)

 器用 :747(+62)

 知力 :470(+40)

 精神力:620(+45)

 運  :20

 スキル:調合LV17(2up)、魔力付与LV16(1up)、鑑定LV14(1up)、俊敏LV8、短剣術LV7、風魔法LV7、地魔法LV7(1up)、水魔法LV6(1up)、火魔法LV7(1up)、収納LV13(1up)、宝石加工LV10、装飾作成LV8、光魔法LV7、闇魔法LV7、錬金術LV6(2up)、空き×3(2up)

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:狼LVMAX(3up)master!→魔狼LV1(New!)

 体力 :5956(+300)→6086(+130)

 魔力 :2047(+150)→2117(+70)

 力  :536(+62)→556(+20)

 素早さ:295(+30)→307(+12)

 器用 :141(+15)→147(+6)

 知力 :150(+15)→157(+7)

 精神力:179(+21)→186(+7)

 運  :10

 スキル:牙撃LV10(1up)、威圧LV13(1up)、俊敏LV13(1up)、気配察知LV11、収納LV11(1up)、火魔法LV10(1up)、魔力操作LV11(1up)、報酬LV10、体当たりLV10(1up)、水魔法LV9、空き×3(1up)

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:魔狼LV3(2up)

 体力 :6351(+265)

 魔力 :2259(+142)

 力  :597(+41)

 素早さ:332(+25)

 器用 :159(+12)

 知力 :171(+14)

 精神力:201(+15)

 運  :10

 スキル:牙撃LV11(1up)、激爪LV3(New!→2up)、威圧LV13、俊敏LV13、気配察知LV12(1up)、収納LV11、火魔法LV10、魔力操作LV11、報酬LV11(1up)、体当たりLV10、水魔法LV10(1up)、空き×2

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(一人前)LV34(3up)

 体力 :4401(+245)

 魔力 :2431(+152)

 力  :284(+31)

 素早さ:120(+15)

 器用 :318(+43)

 知力 :169(+22)

 精神力:233(+33)

 運  :10

 スキル:栽培LV16(1up)、料理LV12(1up)、棍棒術LV7、怪力LV12(1up)、採取LV14(1up)、成長促進LV13(1up)、水魔法LV11(1up)、採掘LV8、地魔法LV10(1up)、収納LV10、収穫LV9(1up)、空き×4(1up)

 職業スキル:種子作成

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦士LVMAX(1up)master!→戦乙女LV1(New!)

 体力 :3706(+101)→3826(+120)

 魔力 :1766(+31)→1846(+80)

 力  :273(+15)→288(+15)

 素早さ:171(+11)→184(+13)

 器用 :134(+9)→144(+10)

 知力 :158(+9)→170(+12)

 精神力:89(+5)→99(+10)

 運  :10

 スキル:剣術LV15(1up)、槍術LV9(1up)、弓術LV9、体術LV13(1up)、火魔法LV8、風魔法LV8(1up)、魔力操作LV9(1up)、収納LV9、解体LV6(1up)、鷹の眼LV7(1up)、空き×2(1up)

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦乙女LV5(4up)

 体力 :4311(+485)

 魔力 :2168(+322)

 力  :349(+61)

 素早さ:238(+54)

 器用 :185(+41)

 知力 :219(+49)

 精神力:139(+40)

 運  :10

 スキル:剣術LV16(1up)、槍術LV10(1up)、弓術LV10(1up)、体術LV14(1up)、火魔法LV9(1up)、風魔法LV8、魔力操作LV10(1up)、収納LV10(1up)、解体LV8(2up)、鷹の眼LV8(1up)、空き×2(1up)

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔法使いLV22(3up)

 体力 :590(+62)

 魔力 :2156(+243)

 力  :112(+16)

 素早さ:133(+18)

 器用 :184(+25)

 知力 :240(+31)

 精神力:160(+21)

 運  :10

 スキル:火魔法LV13(2up)、風魔法LV13(2up)、精霊術LV13(1up)、魔力操作LV13(2up)、料理LV7(2up)、精霊魔具作成LV4(1up)、空き×3(1up)

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