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(12)取引と新しいスキル

※次回更新は、1/30の21時です。

 ノームの長老に案内されて氷炎水晶を得ることが出来たのだが、周囲を見るとそのすぐ傍にさらに欲しかった物があった。

 地底湖があったのだが、その周辺の砂を採取して鑑定すると<時の砂>と表示されたのだ。

 慌ててもう一度確認して見たが、間違いなかった。

「ハジメ? どうかしたの?」

 不思議そうにバネッサが聞いてきたが、それどころではない。

 探し続けていたアイテムがようやく手に入れることが出来たのだ。

「エイヤ、ここにある砂は他に無いのか聞いてみてくれないか?」

「うん、わかった」

 エイヤが、一緒についてきていた長老に聞いている間、ハジメはその辺りにある砂を全て確認していた。

 その結果、辺りにある砂は全て<時の砂>であることが確認できた。

 しかしながら、量はたくさんあるのですぐになくなると言うことは無いが、ここだけにしかないとなると希少価値が高くなる。

 おいそれと加工して商品化するわけにはいかないだろう。

 

 エイヤが長老に話を聞いたところ、<時の砂>はこの場にある分しか知らないそうだった。

 がっかりするハジメだったが、更に話を聞いて希望が見えて来た。

 もし必要なのであれば、ノームたちが<時の砂>を作ることが出来ると言うのだ。

 詳しく話を聞くと、地の妖精であるノーム固有の魔法を使って作成できるという事だった。

 早速、定期的に作ってくれないかと交渉してもらった。

 長老もその話が来ると思っていたらしく、すぐさまお酒とスープを要求して来た。

 何故スープかというと、ハジメたちが最初に会ったノームたちから話を聞いて、是非とも飲んでみたいと思ったそうだ。

 基本的にノームたちは食事は取らないのだが、酒のような嗜好品を飲むことはあるらしい。

 お酒に関しては、自分たちでも作ってみようとはしているらしいが、地中に暮らしている為に、どうしても上手くいかないとのことだった。

 それっぽい物は作れるのだが、中々美味しい物は作れないということだ。

 取りあえず酒に関しては、次回来るときに持ってくることを約束して、今回はイリスにスープを作ってもらうことにした。

 その間、ハジメはこの砂場で<時の砂>を採取する。

 次回来た時からは、この場所からの採取はせずに、ノームたちが作った物を貰うことになったのである。

 

 イリスが作ったスープは、ノームたちに大好評だった。

 これだったらいつでも持ってきてくれとまで言われた。

 その分の<時の砂>は、常に用意しておくとまで言われた。

 ここに来るまでに往復することを考えると数日かかってしまうので、そうそう頻繁に来るわけには行かない。

 ただ、<時の砂>の事もあるのでなるべく定期的に来ることを約束してノームの集落を後にすることになった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 ノームの集落を見つけることが出来たので、拠点に戻ることにした。

 恐らくノームに会う事がクエストだという事は、疑っていない。

 しかも、定期的にアイテムを手に入れることが出来るようになったので、上々の結果だろう。

 ノームの集落には、長老の許可を取った上で<転移水晶(指標)>を設置してある。

 これがあれば、拠点付近から転移水晶を使って、一気にノームの集落まで転移することが出来るのだ。

 複数回使えば壊れてしまうが、そのたびに設置し直しすればいい。

 毎回一から攻略するよりは、かなりの時間と手間を省くことが出来る。

 何よりバネッサたちがこの場所を起点として、レベルアップなり攻略なりをすることができる。

 試しにノームの集落から拠点まで転移水晶を使ったが、問題なく使用することが出来た。

 今度は逆に拠点からノームの集落まで、転移水晶を使ってみる。

「問題ないな」

「そうね」

 念の為付いてきたバネッサも頷いていた。

 これで、ノームの集落にはいつでも行き来できるようになった。

 バネッサたちが攻略をするにしても、ノームの集落からいつでも戦闘が出来るので、効率も良くなるだろう。

 連戦は厳しいにしても、休み休みなら戦闘することができるのだ。

 

 転移水晶の確認のついでに、<購買>を使って買ったお酒をノームたちに与えておいた。

 取りあえず複数種類を渡して、好みの物を見つけてもらうのだ。

 そうすれば、次回からきちんと欲しいお酒で取引することが出来るようになる。

 好みのお酒がわかれば、<購買>で買える物よりも品質が高いプレイヤー製のお酒を購入して渡すことが出来る。

 ノームの集落に転移水晶を設置したことで、拠点とノームの集落がいつでも行き来できるようになったので、時の砂も安定的に手に入れることができる。

 勿論、ノームたちが時の砂を作るのには、ある程度の時間が必要という事なので、いつでも好きな量を手に入れることが出来るというわけではない。

 どうしても必要になれば、氷炎水晶の採取場にあった砂場から少しだけでも分けてもらえばいいだろう。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 拠点に戻りモニターを確認すると、新しいクエストが出ていた。

 その名も<ノームたちと取引をしよう>というクエストだった。

 イベントが発生すると、クエストとして処理されるのか、あるいはまた別の要因でクエストが出てきているのかは分からない。

 掲示板にもその辺の情報は無かった・・・・・・はずである。

 当然取引は最初からする予定なので、ついでにクエストを受注しておいた。

 報酬を確認すると「運+1」だった。

 高いのか安いのかがよくわからないが、今まで運が上がってなかったことを考えると、たとえ「+1」でも貰っておいた方が良いだろう。

 

 そんなことを考えつつステータスを確認すると、レベルも上がっていたのだが、運の値が「19」になっていた。

「あれ? なんで?」

「何かあった?」

 突然疑問の声を上げたハジメに、偶々近くにいたエイヤが聞いてきた。

「運のステータスが上がってた」

「? ノームに会ったことで上がった?」

「いや、どうなんだろうな。確かにそれくらいしか思い当たることは無いが」

 二人で首を傾げるが、ノーム以外の要因は思い浮かばなかった。

「まあいいや。折角上がったんだから、有難く思っておこう」

「そうだね」

 まず間違いなくノームのおかげだと思うが、特定する方法が無い以上、考えてもしかないと割り切ることにした。

 生産系の職業であるハジメにとっては、運の良さは今後大事になって来ると考えている。

 今のところ作成失敗というのは少ないのだが、作るアイテムのレベルが上がれば、当然失敗も増えてくるだろう。

 その際に、運の良さがあれば、それもある程度は緩和できる可能性があるのだ。

 運のステータスを気にしたことはほとんど無かったが、これからは運が絡むクエストなどを探してみるのもいいかもしれない。

 あるかどうかは不明だが、<ノームたちと取引をしよう>のようなクエストが他にもあるかも知れない。

 放置気味になっていたクエストをこなしていくと、同じようなクエストが出てくるかもしれないのだから、やってみる価値はあるだろう。

 モニターを眺めつつ、これから運のステータスについて考えるハジメであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 クエストに関しては、あとで時間があるときにこなすという事にして、今は手に入れた<時の砂>を使ったアイテムを作ることにした。

 まずは、砂状になっている時の砂を、さらに細かく砕いて粉末状にする。

 それからエンチャントなりの手を加えて作ったのが、<時の粉>になる。

 時の粉は、それ自体で何かのアイテムとして使えるわけではなく、他の物に混ぜて使うものになる。

 他にも利用方法があるかも知れないが、今のところハジメが知っている利用方法は、時の粉にしてから使う方法だけになる。

 この時の粉と使って今すぐに作れる物が、抗毒薬と坑麻痺薬になる。

 どちらも一定時間耐性を得ることが出来るアイテムだ。

 この時間の効果を持たせるために、時の粉が必要になるのだ。

 もっとも、抗毒薬も坑麻痺薬も時の粉自体は、大量に使うというわけではない。

 今回ノームの里から持ってきた分だけでもかなりの量が作れるだろう。

 今のハジメの技量で作れるのがこの二種類だけなので、他にも使う場面がある可能性があるので、いつでも取引できるようにしておくことに損はない。

 ついでに、パティの店でも取引してもらえるかもしれないので、その辺は交渉と需要次第だろう。

 他にも作れるアイテムが無いかどうかを調べるが、今のところ<神の作業帳>には載っていなかった。

 あるいは今後記載される可能性もあるが、それを待つだけではなく色々な物に入れてみて反応を試してみるのもいいだろう。

 そろそろ指定外アイテムも増やして行きたい。

 作ったものが売れるかどうかは、また別の問題なのだ。

 

 新しいアイテムを作成するのは、先が見えない戦い(?)になるので、焦らずゆっくり行うことにした。

 今回の攻略の収穫は、新しいアイテムが手に入っただけではない。

 しっかりとレベルも上がっているのだ。

 そのレベルアップに伴って、ハジメ・バネッサ・エイヤの空きスキルが増えている。

 次はスキルを決めることにした。

 まずは自分自身のスキルを埋めた。

 レベルアップ分も含めて、空いているスキルは全部で四つある。

 予備用に一つ取っておくとして、残りの三つを埋めることになるのだが、これはすんなり決まった。

 魔力付与エンチャントで必ず使うことになるであろう魔法スキルを覚えることにしたのだ。

 残っている魔法スキルは、地魔法、水魔法、火魔法の三つだ。

 これでエンチャント出来る幅が広がることになる。

 どういう使い方が出来るかは、これからの研鑽次第だろう。

 

 次はバネッサの番。

 職業レベルアップとスキルレベルの合計で増えた空きスキルは、全部で二つになる。

 今回スキルを付与する数はこの二つ分になる。

「というわけで、どうする?」

「そうねえ。戦闘系スキルは、今のところ間に合っているから、今回は補助系かしら」

「なるほどな。それで?」

 ハジメの確認に、バネッサはしばらくウーンと唸った。

「まずは、解体かしら」

「解体? 手間がかかるが良いのか?」

「報酬はルフが覚えているしね。それに、収納があるからそれに入れて後から拠点で解体も出来るでしょうし」

「ああ、なるほどな」

 解体スキルは、報酬スキルに比べてその名前の通り一々モンスターを解体しないといけない分手間がかかるのだ。

 ただ、その手間をかけた分だけ得られる素材も多くなる。

 長い目で見れば、解体スキルの方が得られる利益は多くなると言われていた。

 問題は、モンスターが襲撃される場所で手間暇をかけて解体している時間が無いということだ。

 だが、結界石を使ったり拠点に持って帰れば、その問題も解決する。

 遠征先で結界石を使って簡易拠点を作れば、遠征中に解体処理することもできるのだ。

「それじゃあ、一つは解体スキルとしてもう一つはどうする?」

「弓を使う事もあるから、鷹の眼辺りかしら?」

「鷹の眼か。わかった」

 こちらは理由としても十分納得できるので、さっさと付与することにした。

 これでバネッサの分は終わりで、次はエイヤの番となった。

 

「エイヤはどうするんだ? 二つ分あるが」

「えーと・・・・・・。何覚えられるのか見て良い?」

「勿論だ」

 現状、拠点には一つしか操作できる環境が無いので、ハジメはエイヤに席を譲った。

「・・・・・・ん? 生産系スキルを覚えるのか?」

 エイヤが見始めたのは、魔法系や補助スキルではなく、生産系スキルだった。

 ハジメの問いに、エイヤが頷いた。

「・・・・・・うん。今回の遠征で、もう一人は料理スキルを持っていた方が良いと思って・・・・・・」

「ああ、なるほどね。それはいいわ」

 今回の遠征では、料理スキル持ちのイリスが一緒に行っていたため、食事に不便を感じなかった。

 だが、ハジメとイリスを外した三人で行動する場合は、料理スキル持ちがいなくなる。

 そのため自分が料理スキルを持っていた方が良いと、エイヤは考えたようだった。

「あっ、あった。・・・・・・あれ?」

 料理スキルを見つけたエイヤが、ふとあるスキルに気付いた。

「ん? どうかしたのか?」

「精霊魔具作成ってスキルが・・・・・・」

「お? ほんとだな」

 エイヤの生産系スキルの一覧に、精霊魔具作成というのがあった。

 このスキルは、ハジメの生産系スキルの中には含まれていないものだった。

 

「すまん。少し貸してもらえるか?」

 念の為確認するために、エイヤと操作を変わってもらった。

「・・・・・・やっぱり無いな。もしよかったらで構わないんだが、精霊魔具作成を覚えてみないか?」

 ハジメの提案に、エイヤは首を傾げた。

「構わないけど・・・・・・どうして?」

「ああ。プレイヤーかサポートキャラの誰かが覚えたスキルは、他のメンバーも覚えることが出来るという話があってな」

 ハジメは掲示板で確認した情報を教えた。

 例えば今回のように、エイヤが精霊魔具作成を覚えると、今までなかったハジメのスキル一覧の中に精霊魔具作成が出てくるという話だ。

「へー。そんな便利なことになるのね。・・・・・・あれ? でも私のスキルにハジメの物は無かったと思うけど?」

「ああ。出てくるかどうかは適正にもよるらしい。だから、必ず出てくるというわけでもない。その辺は賭けになるな。あるいは適性が出てくるまで待つか」

「なるほどね」

 ハジメとバネッサの会話を聞いて考えていたエイヤだったが、すぐに決断した。

「そういう事なら、二つ目はそれ覚える」

「いいのか? 今すぐでなくてもいいんだが?」

「いい。道具作りも興味ある」

「そうか。分かった」

 席は変わったままだったので、そのままハジメがエイヤに料理スキルと精霊魔具作成スキルを付与した。

 その後すぐに、ハジメは自分の生産スキル一覧を確認した。

「お。入ってるな。だが、こうなるとさっきの魔法スキル付けたのは勿体なかったか」

 そうは言っても後の祭りである。

 ハジメが精霊魔具作成を覚えるのは後回しにするしかないのであった。

 名前:ハジメ

 種族:ヒューマン(人間)

 職業:上級作成師ハイクリエイターLV12(3up)

 体力 :2808(+151)

 魔力 :4493(+246)

 力  :199(+24)

 素早さ:256(+31)

 器用 :517(+60)

 知力 :323(+40)

 精神力:379(+46)

 運  :19(+10)

 スキル:調合LV13(1up)、魔力付与LV12、鑑定LV11(1up)、俊敏LV8(1up)、短剣術LV7(1up)、風魔法LV7(1up)、地魔法LV1(New!)、水魔法LV1(New!)、火魔法LV1(New!)、収納LV11(1up)、宝石加工LV9、装飾作成LV7、光魔法LV6(1up)、闇魔法LV6(1up)、空き×1

 職業スキル:短縮作成

 

 名前:ルフ

 種族:フェンリル

 職業:狼LV28(1up)

 体力 :5251(+104)

 魔力 :1696(+51)

 力  :387(+23)

 素早さ:233(+13)

 器用 :111(+7)

 知力 :128(+6)

 精神力:136(+8)

 運  :10

 スキル:牙撃LV6(2up)、威圧LV11(1up)、俊敏LV10(1up)、気配察知LV10(1up)、収納LV8、火魔法LV8、魔力操作LV9、報酬LV8(1up)、体当たりLV6(2up)、水魔法LV5(2up)、空き×1

 職業スキル:遠吠え

 固有スキル:鋭敏な鼻

 

 名前:イリス

 種族:牛獣人

 職業:農婦ファーマー(一人前)LV27(1up)

 体力 :3831(+83)

 魔力 :2077(+51)

 力  :210(+10)

 素早さ:80(+7)

 器用 :214(+15)

 知力 :118(+8)

 精神力:154(+13)

 運  :10

 スキル:栽培LV12、料理LV9(1up)、棍棒術LV7(1up)、怪力LV10(1up)、採取LV11、成長促進LV10、水魔法LV8、採掘LV8(1up)、地魔法LV8、収納LV7(1up)、収穫LV4、空き×2

 職業スキル:種子作成

 固有スキル:緑の手

 

 名前:バネッサ

 種族:アマゾネス

 職業:戦士LV25(1up)

 体力 :3200(+103)

 魔力 :1612(+33)

 力  :194(+16)

 素早さ:118(+12)

 器用 :89(+10)

 知力 :108(+11)

 精神力:66(+8)

 運  :10

 スキル:剣術LV12(1up)、槍術LV6、弓術LV7、体術LV11(1up)、火魔法LV6(2up)、風魔法LV6(2up)、魔力操作LV7(2up)、収納LV6(1up)、解体LV1(New!)、鷹の眼LV1(New!)、空き×1

 

 名前:エイヤ

 種族:ダークエルフ

 職業:魔法使いLV12(3up)

 体力 :383(+65)

 魔力 :1344(+244)

 力  :60(+15)

 素早さ:78(+21)

 器用 :100(+24)

 知力 :135(+36)

 精神力:89(+22)

 運  :10

 スキル:火魔法LV8(1up)、風魔法LV8(1up)、精霊術LV9(2up)、魔力操作LV8(1up)、料理LV1(New!)、精霊魔具作成LV1(New!)、空き×1

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