(4)Bランク
※次回更新は、1/6の21時です。
第三エリアに採掘チームを受け入れる準備をしている間に、コツコツとやって来たことがようやく実って来た。
ひたすら水晶の原石を加工して各種水晶を作ってきたのだが、ようやく魔力付与スキルがLV10になった。
正確には、エンチャントLV10を目指していたというよりも、あるアイテムを作るのに、魔力付与LV10が必要だったのだ。
もっとも最初から分かっていたわけではなく、魔力付与LV10になって作成してみたら成功したというわけなのだが。
そのアイテムと言うのは、回復薬なのだが、その品質が今までよりランクが上がってBランクだった。
ついにBランクのアイテムが作成できるようになったのだ。
それと同時に、高回復薬と言うアイテムも同時に研究しつつ作った。
こちらのランクは、Cランクのまでしか作れていない。
ただし回復量が違っている。
同じ品質「C」の物で、回復薬は固定で200回復、高回復薬は体力最大値の20%回復となっている。
体力が多くなるほど高回復薬が、名前の通り多く回復できるようになっている。
当然その分作成にも手間がかかっている。
回復薬で使っている水をさらにひと手間かけて、火のエンチャントを行い<清水>という水を作ってから調合しないといけないのだ。
清水自体は、魔力付与スキルを使うようになってからすぐに作れるようになっていたのだが、Cランクの品質の高回復薬を作れるようになるのに時間がかかってしまった。
エンチャントが関わってくると、どうしても品質を上げるのに技術的な制約が大きくなるらしい。
もっとも、品質だけに関わらず、高ランクのアイテムを作成するのにエンチャントは必須技術なので、魔力付与スキルのLV上げは必須事項なのだが。
そんなわけで、新しい回復薬と共に、魔力付与スキルのLVを上げるために作った各種水晶が、拠点の倉庫に積みあがっていた。
このまま積み上げて行くわけにもいかないので、新しく作った回復薬・高回復薬を持って、パティのところへ行くことにした。
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ルフとバネッサは、坑道で狩りに行っているので交流の街にはイリスと一緒に来ている。
今日こそは第二段階に行くと言っていたが、無茶だけはしないように言ってある。
バネッサは、普段こそお姉さんのような落ち着いた性格をしているが、事戦闘になるとイケイケ状態になる。
もっとも戦闘民族は皆、戦闘中だとあんな感じになるのかもしれないのだが。
それはともかくとして、パティの露店に納品と新しい製品の売り込みに来たのだが、店番にシエラがいるだけでパティはいなかった。
「あら、ハジメ様。納品ですか?」
「ああ。そうなんだが、いないみたいだな」
パティも四六時中、露店にいるわけではなく、忙しく動き回っている。
以前もこうしたことがあったので、ハジメも慣れた感じで受け答えをした。
「ええ。ですが、そろそろ・・・・・・ああ、戻って来たみたいですね」
シエラの視線の先を見やると、そこにはこちらに向かって来るパティがいた。
そのパティもハジメが来ていることに気付いたのか、若干駆け足になった。
「いつもの納品か?」
駆け足で寄って来たパティが、ハジメにそう聞いてきた。
「ああ。あとは新製品をいくつか」
それを聞いたパティが、少しだけ顔を引き攣らせて、
「ちょ、ちょっと待ってな。心を落ち着かせるから」
そう言って、深呼吸をした。
「いや、何もそこまでしなくてもいいだろうに」
「何を言うとるん。新しい製品を持ち込むときは、大概騒動になっておるやろ?」
既にお馴染みになりつつあるやり取りをしてから、ハジメは今回新しく作った商品を出した。
目玉は当然、Bランクの回復薬とCランクの高回復薬だ。
「Bランクって・・・・・・Bランクって、何やねん! それに、こっちのは初めて見る・・・・・・何やねん、この効果!」
抑えた声でありながら盛大に突込みを入れるという器用な真似をしたパティだった。
流石に一目見ただけで、どちらの価値も見抜いたらしい。
「どっちも安定供給できそうだから持ってきたが、早すぎたか?」
「・・・・・・いや、もうハジメの事は知れ渡っていからな。今更だと思われるだけやろ」
「そ、そうか」
何とも言い難い台詞に、ハジメは渋い顔をして頷くしかなかった。
「にしても、どっちもまた購入制限かけんといかんやろうなあ」
どちらにしても最初は騒ぎになるだろうが、香水騒動の時のようなことになる前に、最初から制限を掛けるようだった。
「その辺は任せる」
「それで? Cランクの回復薬はどうするん?」
今まで通りの納品をするかどうかをパティが確認して来た。
「まだ売れてるんだろう?」
「そうやな。作れる者が増えて来たと言ってもまだ安定供給が難しいらしいからな」
「そうか。だったら当分はCランクも作るさ。増えてくれば、Bランクに量をシフトすればいい」
「そうしてくれると助かるわ」
現状、パティの店で出しているCランクの回復薬は、品切れになることは無いにしても、常に商品が捌けていっている。
Bランクの回復薬を出せば売れるのは分かっているが、そこまでの値段の回復薬に手が出ないプレイヤーもいるのだ。
わざわざそうした層のプレイヤーを手放す様なことをする必要はない。
ハジメとしても、Cランクの回復薬を作るのにさほど手間がかかるわけではない。
そんなことを調合スキル持ちのプレイヤーが聞けば、呆れられるのは間違いないだろうが。
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「でも、おかげで店舗の目途がたちそうやわ」
パティがそんなことを言いだした。
「お、いよいよか?」
ハジメが卸している商品もそうだが、パティが扱っている物は多岐に渡っている。
例えば武器だけとかの一種類に絞っている露店もあるのだが、パティは複合型だ。
とはいえ、それを続けるにはどうしても露店だと手狭になってしまう。
いよいよ扱える商品が限界になっていたので、店舗の購入はどうしても必要だったのだ。
交流の街にもともとある建物は、高すぎて手が出ない。
ギルドとしてまとまっている集団もぽつぽつと出てきているようだが、それでも購入に至っているところは無いようだ。
だったらいっその事、プレイヤーに手ごろな建物の建築依頼が出来ないかと探していたのだ。
「実はさっき行って来たのが、建築士との交渉でなあ。何とかまとまりそうなんや」
「それはめでたいな。これで他にも色々と卸せそうだ」
「いやいや、待ってえな! いくら場所が広くなっても、手が回らん!」
パティが慌てて抗議したが、ハジメはどこ吹く風だった。
「頑張って人手を増やしてくれ」
現状人手を増やすには、サポートキャラを増やすか他のプレイヤーと協力するしかない。
サポートキャラが最大何人までか分からない以上、暗にギルドを作れと言っているようなものだ。
例えプレイヤーが三人でも名乗りさえすれば、ギルドはギルドなのだ。
二人がそんな話をしていると、近づいてくるプレイヤーがいた。
先日採掘に来ていたリブシェだ。
「二人で何を話し込んでいる?」
「あ、リブシェやん。いらっしゃい。納品か?」
パティが軽くてを上げて挨拶をして、ハジメは目礼をした。
「いや。何か目ぼしい物が出回ってないか見回りだな。私は誰かさんのように、量産はできないからな」
リブシェの言葉に、ハジメは横を向いた。
勿論スキルの問題もあるのだが、リブシェのような宝飾師となると、一つの物を作り上げるのに数日かかるのも珍しくない。
いや、普通に考えても装飾品を数日で作れること自体が脅威なのだが。
「ああ、そうだ。一つ相談だが、品質の低い各種水晶いらないか?」
四属性のエンチャントが付いた水晶は、普通に各種水晶が通り名となっている為に普通に通じるのだ。
「ん? なんだ? 商売の話だったらパティの方だろ?」
「いや、今言った通り品質が低すぎて、売り物にならないんだよ」
「待ってえな。いくら品質が低くても売ることはできるで?」
二束三文にしかならないとしても、需要が全くないと言うわけではないのだ。
「いや、それはそうなんだが、量が問題でな。それぞれ五百以上あるんだが、捌ききれるのか?」
「五百って・・・・・・」
数を聞いたリブシェが呆れ、パティが固まった。
どう考えても露店で捌ききれる量ではない。
場合によっては、市場が混乱して本当に二束三文になってしまう。
そんな物を手間をかけて売るくらいなら、今ハジメが卸している分だけで十分だった。
「なるほど、わかったわ。それやったら確かに、リブシェに渡した方がいいわ。訓練用やろ?」
「ああ。そう思ってな」
いくら品質が低いとは言っても、種類としては宝石にもなる。
リブシェのような宝飾師だと、それだけの量があれば練習用にはなるのだ。
「そう言うことなら欲しいが・・・・・・流石に、タダは勘弁してほしいな」
リブシェとしては、別にこのことを盾にハジメが何かをしてくるとは考えていないが、量が量だけにタダと言うのも遠慮したしたいところなのだ。
「と、言ってもな。俺としても倉庫の肥やしになっているだけだから、使ってもらえるだけでもいいんだが・・・・・・流石に心苦しいか」
「そうやね。流石にタダはあかん。タダは」
タダと聞いて、商人であるパティが目を光らせていた。
それを見て苦笑していたハジメが、ふと思いついてリブシェに言った。
「そうだな。だったら、ルフに付ける装飾品と引き換えと言うのはどうだ?」
リブシェは採掘に来た際に、ルフを見ていたので、ハジメが言いたいことがわかった。
ルフのような魔獣型のサポートキャラは、他に全くいないわけではないが、数が多いと言うわけでもない。
当然専用の装備など出回っていないため、個別に発注することになるのだ。
「ああ、なるほど」
その申し出は、リブシェにとっても利のある申し出だった。
各種水晶もそうだが、魔獣型の装備を作る機会などほとんどない。
腕を上げるためにも、是非ともやってみたい仕事だった。
「ええんちゃうか? 作る物にもよるけど、バランス的にも丁度ええし」
商人であるパティが頷いたところで、その話はまとまることとなった。
ちなみに、この日バネッサたちは、第二段階には結局行けなかったという事だった。
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リブシェに各種水晶を渡した翌日。
その日もハジメはイリスと共に、パティのところへ納品へ来ていた。
昨日渡した回復薬と高回復薬がどうなっているかの調査もある。
Bランクの回復薬がついに出回り始めたことに、既に掲示板では若干の騒ぎになっていた。
予想通りと言うか、パティの店は大盛況だった。
Bランクの回復薬とCランクの高回復薬を求める客だろう。
パティは、この二つの回復薬を売りに出すことを掲示板上で予告していたようだった。
その際に購入制限のことも記載していたのか、その件で揉めているようなことは見受けられなかった。
様子を見ていたハジメに、パティが気がついた。
「なんや。そんなところにおらんで、声かけてくれればよかったのに」
「いや、忙しそうだと思ってな」
「ハハ。もう例の物は出払っているからな。忙しく見えるのは、断りを入れているだけや」
もう既に、二種類の回復薬は売れてしまったらしい。
「何日かして数が出れば落ち着くか?」
「どうやろな? ここ以外でも出回れば落ち着くやろうけど、出回らなければしばらく続くと思うで?」
パティの予想としては、当分の間、少なくともBランクは出回らないと考えていた。
だが、見事にハジメがその予想を裏切ったのだ。
他にその予想を裏切る者が出るとは考えづらいと言うのが、今のパティの予想だった。
「まさか、こうも早くBランクが出回るとは、どこも予想しておらんかったで?」
「ああ。まあ、うちの場合は、素材の良さがあるからな」
「そうやろなあ」
パティは、イリスが畑で薬草の栽培をしていることを知っている。
一度、薬草そのものを持ってきたときに、呆れたようなため息を吐いていた。
その際に、「同類は同類を呼ぶってこのことか」と聞き捨てならないことを言っていたが。
まさかのパティも、薬草単品でBランクに届くような、すなわち「C+」の薬草などあると思っていなかったらしい。
ちなみにイリス曰く、安定して作れるのが「C+」で、頑張ればもっと上も行けると言っていた。
流石にそのことは、パティにも言っていない。
ハジメがこうも早くBランクの回復薬を作れたのは、ハジメ自身の技術的な理由もあるのだが、間違いなくイリスのおかげもあるのだ。
そのことに感謝しつつ、この日の納品を終えるのであった。
名前:ハジメ
種族:ヒューマン(人間)
職業:作成師LV26(1up)
体力 :2045(+60)
魔力 :3181(+98)
力 :76(+8)
素早さ:91(+9)
器用 :198(+15)
知力 :113(+10)
精神力:142(+14)
運 :9
スキル:調合LV11(1up)、魔力付与LV10(1up)、鑑定LV8(1up)、俊敏LV6、短剣術LV5、風魔法LV5、収納LV7、宝石加工LV7(2up)、装飾作成LV4(1up)、空き×3(1up)
職業スキル:短縮作成
名前:ルフ
種族:フェンリル
職業:狼LV22(2up)
体力 :4381(+311)
魔力 :1302(+138)
力 :261(+25)
素早さ:168(+12)
器用 :78(+6)
知力 :94(+7)
精神力:91(+9)
運 :10
スキル:噛みつきLV9、威圧LV8(1up)、俊敏LV9、気配察知LV8(1up)、収納LV7(1up)、火魔法LV6、魔力操作LV7(1up)、報酬LV6(1up)、空き×3(1up)
職業スキル:遠吠え
固有スキル:鋭敏な鼻
名前:イリス
種族:牛獣人
職業:農夫(一人前)LV19(2up)
体力 :3103(+243)
魔力 :1765(+79)
力 :149(+9)
素早さ:46(+4)
器用 :136(+10)
知力 :77(+5)
精神力:92(+6)
運 :10
スキル:栽培LV10、料理LV6(1up)、棍棒術LV5、怪力LV8(1up)、採取LV9、成長促進LV8(1up)、水魔法LV6、採掘LV4、地魔法LV4(1up)、空き×2(1up)
職業スキル:種子作成
固有スキル:緑の手
名前:バネッサ
種族:アマゾネス
職業:戦士LV17(3up)
体力 :2261(+402)
魔力 :1143(+183)
力 :93(+17)
素早さ:61(+10)
器用 :41(+6)
知力 :53(+7)
精神力:42(+5)
運 :10
スキル:剣術LV8(1up)、槍術LV4、弓術LV5(1up)、体術LV7(1up)、空き×5(1up)




