(1)第三エリア
お待たせしました。
第二章の更新開始です。
活動報告でも書きましたが、今度は三日に一回の更新で行きます。
ここまでお待たせしているのにもかかわらず、驚いたことにお気に入り登録は増えています。
感謝感謝です。
それではどうぞ。
※次回更新は、12/28の21時です。
仄かに光が灯っている坑道で、カキーンカキーンと言う音が響いていた。
何の音かと言うと、イリスが水晶の鉱脈をつるはしで掘っている音だ。
今掘っているのは、あくまでも原石なので拠点に戻った後で研磨しなければならない。
だが、研磨した後に出てくる水晶は、様々な道具に加工できるので、非常に重要な素材なのだ。
「! バネッサ、そっちから一匹、蝙蝠!!」
「はいはーい」
ハジメの指示で、バネッサと呼ばれた女性が弓を手にして蝙蝠に向かって矢を放った。
変則的な飛び方をする蝙蝠をものともせずに、バネッサは見事に蝙蝠に矢を当てた。
矢が当たった蝙蝠は、当然のように地面に落ちてきた。
それを近寄ったバネッサが、槍でつついて戦闘は終わった。
「ルーちゃん、頼むわ」
「バウ」
返事をしたルフは、地面に落ちた蝙蝠に鼻先を近づけた。
すると、その蝙蝠の亡骸はすぐにその姿を消して、後には魔石が一つ残された。
その魔石を、ルフが口に咥えたと思うと、すぐにその魔石はルフの口から無くなった。
収納のスキルで仕舞われたのだ。
先程蝙蝠の亡骸が消えたのは、ルフが新しく覚えた報酬のスキルだ。
報酬のスキルを使うと、先ほどのように死骸が消えて、ドロップアイテムだけが残るようになっている。
戦闘が終わったので、一同は再び警戒モードに戻った。
その中でイリスは相変わらず採掘を続けていた。
掘った鉱石を次から次へと積み上げて行っている。
既にルフが覚えている収納のレベルでは、限界量を超えている。
積み上げられた鉱石をハジメが、収納で片づけた。
「イリス、こっちも限界近いからそろそろ終わろう」
「わかりました」
イリスは手を止めて返事を返してきた。
ハジメが声を掛けたのが、丁度いいタイミングだったのだ。
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
ハジメたちが現在来ているのは、作成師がLV20になって解放された第三エリアだ。
名前はドルガド鉱山となっている。
ドルガド鉱山はその名の通り鉱山で、最初のエリアは水晶の原石が取れる坑道になっている。
他にも取れる鉱石はあるのだが、水晶に比べれば微々たるものだった。
まだ第一段階の場所なので、更に奥に進めば内容が変わる可能性もあるが、それはまだ分からない。
もっとも、水晶は<神の作業帳>に新しく作成できるアイテムとして追加された物の材料となるので、ハジメとしても願ったりだった。
作成師がLV20になって変わったのは、第三エリアが解放されたことだけではない。
新しくサポートキャラ枠が追加された。
その追加されたキャラがバネッサで、種族がアマゾネスだった。
イリスの時と同じようにおすすめキャラで追加したのだが、残念ながら固有スキルは持っていなかった。
そうそう都合よくいくはずもないので、特に気にはしていないのだが。
それはともかく、バネッサはスキルが完全に戦闘寄りになっていたので、職業も素直に戦士にしておいた。
初期に付いていたスキルが、剣術・槍術・弓術となっていたので、複数種類の武器が使える戦士が一番よかったのだ。
ちなみに、剣士なども選択できたのだが、そうすると槍術や弓術が完全に使えないスキルになる。
そういう事もあって、戦士を選択したのである。
今でこそ仲良くやっているが、三番目のサポートキャラとしてバネッサが現れた時は、イリスとひと悶着あった。
現れていきなり、ハジメに抱き付いてきたのだ。
「初めまして。今後ともよろしくね」
「・・・・・・ムグ」
わざとなのか、それとも天然なのか、その時は分からなかったのだが、両腕でハジメの頭を抱えたバネッサは、そのまま自身の胸へ押し当てた。
大きさ的には、流石にイリスには負けていたが、十分すぎるほど「巨」と言える大きさだった。
後で、その行動はわざとだったと判明したのだが、この時のハジメはそれどころではなかった。
すぐ傍にイリスがいることを忘れて、その感触を楽しんでしまったのだ。
男の悲しいサガである。
当然それを見逃すイリスではなかった。
「ちょ、ちょっと。すぐにハジメ様を放しなさい!」
そのイリスの言葉で、すぐに解放してくれたのだが、慌てた様子のイリスを見てニンマリ笑ったのをハジメは見逃さなかった。
「あら。嫉妬は見苦しいわよ?」
バネッサは、そう言ってイリスのところへ近づき、何事かをこそこそと耳打ちした。
二人してハジメの方をチラチラと見ていたのだが、さらにイリスの顔が赤くなっていった。
それを見ていたハジメは、どうせ碌でもないことだろうと特に追及はしていない。
その後、バネッサも当然のように夜の生活に追加されたので、そっち方面の話だったのだろうとハジメは推測している。
バネッサが加わったので、拠点も改築(?)をした。
居間にキッチン、風呂トイレと寝室、後は各個人の部屋を作った。
幸いにして、それらを用意する資金はあったので、問題なく改築された。
キッチンはイリスがこだわって作ったのはわかるが、何故かバネッサが一つしかない寝室をこだわって作っていた。
「個別の部屋があるのに、寝室はいるのか?」
そう言うと二人から睨まれてしまったので、釈然としなかったものの、ごめんなさいと頭を下げる。
「そ、それはともかく、今更なんだが、イリスはいいのか?」
「何がでしょう?」
「い、いやその・・・・・・バネッサが加わったこと」
何に、とはあえて言わなかったが、それで十分通じたらしい。
一つだけ溜息を吐いて、答えた。
「私達だけで攻略できるならともかく、他にサポートキャラは絶対に必要ですから」
「そんなもんか? 男が来るとは考えなかったのか?」
「あれあれ? イリスちゃん、言ってなかったの?」
バネッサがイリスの方に視線を向けると、そのイリスはついと視線と逸らした。
それを見たバネッサが、苦笑した後ハジメに向き直った。
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
「私達サポートキャラは、プレイヤーにとって都合のいい存在なのよ」
「それは常々感じているが?」
そもそもプレイヤーに逆らうことなく、その指示に従う存在など普通ではありえない。
どう考えてもプレイヤーにとって、非常に都合が良い存在なのだ。
「その都合のいい、というのは別に命令権とかそういう事だけじゃなく、普段の行動においてもそうだとしたら?」
「・・・・・・何?」
「ぶっちゃけて言うと、私もイリスちゃんも、ハジメにとっては好みのタイプでしょう?」
ハジメは、バネッサの言葉に沈黙を返した。
思い当りがありすぎる。
「だから、私達がいきなりハジメに対して恋心を抱くのも、初めから決まっているの」
「おい、それは・・・・・・」
「勘違いしないでね。別に私達はそのことに対してどうこう言うつもりは無いわ。むしろ感謝さえしている」
「・・・・・・なぜだ?」
他者によって感情が作られることなど、気持ちの良い事のはずがない。
「だってそうでしょう? この世界にいる限りは、どうあがいても一緒にいなくてはいけないのよ?」
性格的に合わない人物とずっと一緒に生活していかなくてはいけないのは、どうあっても苦痛でしかない。
そんなものは、この世界を攻略する、と言う意味のおいては、邪魔でしかないのだ。
「だから私達は、最初はプレイヤーにとって都合よく作られているの。まあでも、それも時間と共に薄れていくんでしょうけれどね」
ハジメは、バネッサが遠回しに言った意味に気付いた。
「・・・・・・ああ、なるほど。最終的には、プレイヤーの行動次第で変わっていくという事か」
「そういう事ね。私達だって、感情を持っている事には変わりないもの。嫌なことをされ続ければ、当然感情だってそれに従って変わっていくわ」
「わ、私が主様の事を嫌いになることなど、あり得ません!」
それまで黙って聞いていたイリスが、割り込んできた。
「あら。それは私もそうよ?」
「・・・・・・話が矛盾しているようだが?」
「ハジメが、今のハジメである限りは、嫌いになることなどないってことよ」
「ああ、そうか。そう言う意味では、俺もこの世界に囚われているってことか」
プレイヤーもプレイヤーで、このゲームのような世界にとっては都合のいい存在だという事だ。
さらに言えば、プレイヤーもサポートキャラから見て都合が良い存在という事になる。
結局のところ、最初の出会いはともかくとして、その後の関係は元の世界と何ら変わりがないとも言える。
そんなことを考えていたハジメに、何故かイリスがジト目を向けて来た。
「・・・・・・なんだ?」
「ですが、ハジメ様の場合、私達以外にも増やしそうなんですが?」
「あら、何? ハジメってモテモテなの?」
「いや、待て。どうしてそうなる? どこからそんな話が?」
全く心当たりのないことに、ハジメは首を傾げた。
「パティ様をはじめとして、あの方のサポートキャラもなかなか綺麗な人たちが揃っていますよね?」
「いや待て、それは誤解だ!」
「あらあら。それは、興味深いわね。私も一度会っておかないといけないかしら?」
「そうしたほうがいいです」
ハジメの意見は完全に無視されて、その後は完全に置いてきぼりにされてしまった。
なるほど、確かに完全に都合のいい存在ではないんだな、と改めて認識するハジメであった。
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
戦闘系のバネッサが加わったことによって、戦術の幅が広がった。
ルフ以外に前衛を任せられる人材が出来たのは大きかった。
かと言って完全に二人に任せておくと、ハジメとイリスの戦闘スキルが無駄になってしまうので、ほどほどに戦闘は行っている。
ハジメとイリスが拠点で生産を行っているときは、第一エリアの第二段階の場所の調査をお願いしていた。
おかげで既にかなりの範囲の調査が済んでいる。
第二段階のほとんどは、エリアの名前の通り森林になっていて、魔石以外にも多くの自然系の素材がありそうだった。
何があるかまでは、完全には調査しきれていない。
バネッサも素材に関する知識がほとんどない状態なので、その辺は改善しないといけないだろう。
第二段階より先の第三段階に関しては、調査していない。
掲示板にもあったが、出てくるモンスターがとても手を出せるレベルではないので、行かないようにしている。
当然ながらバネッサのレベルは最初のうちは低かったので、無茶をしないように言っておいた。
だが、数日もするとあっという間に戦士LV7になっていたので、多少の無茶はしたのかもしれない。
その数日間は、ハジメとイリスは生産モードに入っていたので、確認は出来ていないのだが。
第三エリアの名前は、「ドルガド鉱山」で拠点の出入り口から出ると、すぐに坑道のような造りになっていた。
ランタンのような物があるわけでもないのに、明るくなっているのは、不思議世界という事で納得した。
第三エリアに出て、いきなり坑道になっているという事は、鉱山だという事で何かの鉱石が取れることはすぐに分かったのだが、問題は誰に採掘のスキルを付けるかだった。
ルフは元々付けれないので、最初から除外。
バネッサはまだスキル枠に余裕がないので、これも除外。
残りはハジメかイリスだったのだが、ハジメは鉱石を採掘できるようになると調合以外の生産系スキルを付けないといけないので、除外。
結局残ったイリスが採掘のスキルを付けることになった。
ただ、それはそれで問題がある。
現在拠点にある畑は、かなりの規模になっているので、以前のようにイリスも畑から離れられなくなっているのだ。
そのために、バネッサの枠かハジメの枠が空いたらすぐに採掘のスキルを付けるつもりだった。
バネッサには、魔法系のスキルも覚えさせるつもりなので、ハジメが付けることになる可能性が大きい。
イリスが採掘のスキルを覚えたので、入口近辺では水晶が採れることがわかった。
当然それに合わせてハジメも水晶を加工するためのスキルを覚えた。
準備を整えた上で、いざ坑道へと出陣となったわけである。
まずは最初のところだけと思っていたのだが、採掘スキルを付けたイリスが、次々と鉱脈を見つけたために水晶自体はさほど時間を掛けずに溜まった。
それを二、三度繰り返すうちに、当分は困らないだけの水晶を貯めることが出来たのであった。
名前:ハジメ
種族:ヒューマン(人間)
職業:作成師LV20(2up)
体力 :1730(+360)
魔力 :2470(+400)
力 :50(+10)
素早さ:61(+20)
器用 :132(+23)
知力 :78(+15)
精神力:88(+22)
運 :9
スキル:調合LV10、魔力付与LV8、鑑定LV7、俊敏LV5、短剣術LV4、風魔法LV4、収納LV7、宝石加工LV1(New!)、装飾作成LV1(New!)、空き×1
職業スキル:短縮作成
名前:ルフ
種族:フェンリル
職業:狼LV15(3up)
体力 :3262(+352)
魔力 :907(+112)
力 :173(+20)
素早さ:113(+16)
器用 :47(+7)
知力 :60(+7)
精神力:40(+5)
運 :10
スキル:噛みつきLV8、威圧LV8、俊敏LV8、気配察知LV6、収納LV6、火魔法LV5、魔力操作LV6、報酬LV1(New!)、空き×1
職業スキル:遠吠え
固有スキル:鋭敏な鼻
名前:イリス
種族:牛獣人
職業:農婦(一人前)LV13(2up)
体力 :2425(+251)
魔力 :1356(+133)
力 :109(+12)
素早さ:29(+4)
器用 :84(+14)
知力 :52(+8)
精神力:65(+10)
運 :10
スキル:栽培LV9、料理LV5、棍棒術LV5、怪力LV7、採取LV7、成長促進LV6、水魔法LV5、採掘LV2(New!)、地魔法LV1、空き×1
職業スキル:種子作成
固有スキル:緑の手
名前:バネッサ(初期)
種族:アマゾネス
職業:戦士
体力 :300
魔力 :200
力 :10
素早さ:8
器用 :5
知力 :6
精神力:5
運 :10
スキル:剣術、槍術、弓術、体術
名前:バネッサ
種族:アマゾネス
職業:戦士LV7(6up)
体力 :925(+625)
魔力 :506(+306)
力 :34(+24)
素早さ:27(+19)
器用 :15(+10)
知力 :22(+16)
精神力:17(+12)
運 :10
スキル:剣術LV4、槍術LV4、弓術LV3、体術LV5、空き×2




