(15)変貌?
明日は9時と21時の二話投稿になりますので、ご注意ください。
拠点へと戻ってきたハジメは、調合作業をする気になれず、保留にしていた件を片づけることにした。
イリスとルフのレベルが上がっていて、空きスキルが出来ている。
その空きスキルに、スキルを付与するのだ。
ハジメのスキル枠については、次のスキルが何を取るのか決めていないので保留にしている。
次のエリアが解放されれば、新しく採取できる物も決まってくるので、スキルも決められるだろう。
ルフはともかく、イリスが既に決めているスキルがある。
「イリス、空きスキルに<採取>を付与するがいいか?」
「あ、そうですね。私も相談するつもりでした」
元々イリスもそのつもりだったらしく、速攻で決まった。
畑作業をする以上、採取は付いて回る物なので、当然と言えば当然の結果だろう。
問題は次回以降だが、それは要相談ということになる。
次は、ルフの番だが、これは少し困っている。
何しろ相談する相手が、会話が出来ないので、与えていいのかどうかが分からない。
スキルは削除することもできるので、付与して使えないようであれば消せばいいのだが、つけたり消したりしているようだとスキルの成長が出来ない。
そのためにも出来るだけあった物を付けたいのだが、こればかりはどうしようもない・・・・・・と思っていたのだが、救世主が現れた。
「ルフに聞いてみればいいのではないでしょうか?」
困っているハジメを見て、話しを聞いたイリスがそんなことを言って来た。
「いや、会話できないじゃないか?」
「それはそうですが、大体言いたいことはわかりませんか?」
「え?」
「え?」
ハジメとイリスがお互いに顔を見合わせた。
何やら認識の齟齬があるとお互いに気付いた。
「言いたい事って、ハイとかイイエとか?」
大体の雰囲気は感じ取ることが出来なくはないが、それが正解かどうかは分からない。
何しろ相手は、狼なのだから。
「いえ。流石に会話形式ではありませんが、言いたいことは分かりますよ? あと、ルフはこちらの言葉は理解しているようなので、普通の動物と比べて話がしやすいです」
「・・・・・・マジで!?」
「はい。マジです」
その後、意外な事実が判明した。
獣人族は、動物たちとある程度の意思疎通が出来るらしい。
意思疎通と言っても、ようやく言葉を話し始めた子供の会話と同じような感じという事だったが。
ちなみに、このことは獣人族がいる世界では当然の事らしい。
「・・・・・・し、知らなかった」
掲示板にもそんなことは書かれていなかった。
全部の掲示板を見ているわけではないので、断言はできないのだが。
このことは後で掲示板で確認してみようと思いつつ、イリスを介してルフに何のスキルを付けるか相談した。
話をした結果、意外にも(?)収納のスキルを欲しがっていることが分かった。
何でも、ルフだけで討伐に行くのは良いが、取れたアイテムを一つしか持って帰ってこれないのを気にしていたらしい。
「なんていい子なんだ」
その話をイリスから聞いて、思わず首筋を撫でてしまった。
ルフはそれが分かっているのか、嬉しそうに尻尾をパタパタさせている。
隣でイリスが羨ましそうにしているのが視界の端に見えたが、気づかなかったふりをしてルフを撫で続けたのは内緒だ。
その後はルフの希望通りに、空きスキルに<収納>のスキルを付けた。
またルフだけを第一エリアに放つこともあるので、その時の結果が楽しみだ。
「それにしても、イリスがいてくれて助かったよ」
まさかルフと意思疎通が出来るとは思っていなかったので、非常に有難いことだとハジメは改めて認識した。
「ありがとうございます。ただ、その必要もなくなるかも知れませんが」
「え? なんで?」
「ご存じなかったのですか? フェンリルは言葉を話すことで有名ですよ? この子は子供なので、まだ無理みたいですが」
また新たな事実が判明した。
「そうなのか?」
「はい。勿論、私の認識とは違っている場合もありますが」
元になっている世界が違えば、当然違った状況になることも考えられる。
ルフが、どの世界のフェンリルを参考に出来ている存在なのかが分からない以上、断言はできない。
そもそもどうすれば、<フェンリル(子)>の状態から成長するのか分からない以上、先走って考えても意味がないのだった。
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それからしばらくの間は、遠征をするわけでもなく調合をして過ごしていた。
エンチャントの技術をきちんと自分の物にしたかったというのもある。
そのため、わざと短縮作成は使わずに、きちんと手作業で調合をしていた。
そんなことが出来るようになったのも、ルフが<収納>のスキルをきちんと使えるようになったおかげだ。
ルフを第一エリアに一日放っておくと、十個程度の魔石を見つけてきてくれるのだ。
残念ながら魔晶石を見つけて来たのは、最初の一度きりだけだったが。
エンチャントの作業を行うのには、魔石でも問題ないので、しっかりと使わせてもらった。
魔石は消耗品と割り切っているので、溜め込んでも仕方がない。
エンチャント以外に使い道があれば、取っておくことも考えるのだが、今のところ掲示板でもそう言った情報は出ていなかった。
有難く魔石を使わせてもらいつつ、エンチャントを行っていると、しっかりと腕が上がったためか、二つ同時のエンチャントも出来るようになった。
魔力回復薬が、品質Cで作れるようになったのだ。
これで、回復薬も魔力回復薬も短縮作成を使って、品質C-で量産できるようになった。
パティの店での香水の売れ行きもまだ収まってはいないが、数量限定販売にしてからは、落ち着いている。
そろそろ品質C-の回復薬と魔力回復薬を卸すことを考え始めていると、別の問題が起こったのだ。
いつものように朝一で、ステータスのチェックをしていた時の事だった。
ハジメの職業がLV15になって、空きスキルが増えていた。
空きスキルが二つになったので、今度は何のスキルを付けようか考えつつ、ルフとイリスのステータスを確認した時に気付いた。
それぞれの職業が、<LVMAX>と表示されていたのだ。
その横には、しっかりと「master!」と表記されている。
「なんだこれ?」
初めて見る表示だったので、思わず独り言を言ってしまった。
それを聞きとがめたのか、朝食の準備をしていたイリスが寄って来た。
「どうしました?」
「いや、これこれ」
表示されているのは、ルフのステータスだったが、イリスも同じ状態だったことを話した。
「職業がマスターですか。ヘルプさんには、何か書いてないのですか?」
「何もなかったと思うけどなあ・・・・・あ、新しい項目が増えてら」
ヘルプの項目を見ると、<職業>の項目の所に<master>の説明が増えていた。
職業のマスター:対象の職業が最高レベルに達した状態。
上位の職業に就くか、別の職業に転職できる。
そのままの職業でいることも可。
予想通りというか、そのままの内容だった。
「なるほどね。けど、上位の職業とか転職はどうやるんだ?」
ハジメの質問に、イリスも首を傾げている。
「この説明だと、わかりませんね。ステータスからいけないんですか?」
最初に職業を付けるときには、ステータスの職業をクリックすることで就けた。
同じように出来ないかどうかを確かめてみる。
「んー? クリックできないな。・・・あ、<master!>の所がクリックできるようになってるわ」
クリックをしてみると、新しい画面が開いてきて、そこに<子狼>と<狼>が表示されていた。
子狼の隣には、<master!>の表示がある。
<狼>がクリックできるようになっていたので、そのまま<狼>をクリックした。
この時ルフは、ちょうどハジメの真横にいた。
そのルフが一瞬だけ光に包まれた状態になる。
すぐに光は収まったのだが、ルフの様子が変わっていた。
元々大型犬くらいの大きさだったのだが、それがもう一回り大きくなっていたのだ。
色合いは、先ほどよりもさらに銀の色が強くなっていた。
「・・・・・・ルフか?」
一応、そう呼び掛けてみると、嬉しそうにペロペロを頬を舐められた。
その仕草は間違いなくルフだった。
大きく成長してもその辺りの仕草は変わらないらしい。
改めてステータスを確認すると、種族のフェンリル(子)の(子)が外れていた。
職業は指定した<狼>になっている。
それぞれのステータスも上昇しているので、大幅に戦闘力が上がっている。
スキルはそのまま残っているのだが、空きスキルが増えていた。
上位スキルに転職(?)したために増えたのだろう。
さらに、職業スキルとして<遠吠え>を覚えていた。
子狼がマスターになった時は覚えていなかったので、狼になったために覚えたのだ。
「じゃあ次は、イリスもやってみようか」
「え・・・・・・!? あ、あのちょっと待って・・・・・・」
ルフの変化を見て、イリスは少し戸惑ったように、ハジメを止めようとした。
だが、ハジメはそれに気づかなかったふりをして、容赦なくイリスのステータスを開いて職業の<master!>をクリックした。
新しい画面には、<農婦(一人前)>と他にも戦士などが表示されている。
間違いなく<農婦(一人前)>が、上位職になるのだろう。
「どうする? 怖いんだったら止めておく?」
「う、ううう。・・・・・・やってください」
「ホントに、いいの?」
「ハイ。一思いに、やっちゃってください」
何に職を変えるのかは聞かない。
今更、戦士などに就く気もないだろう。
イリスの許可が出たので、遠慮なく<農婦(一人前)>をクリックした。
「・・・・・・あれ?」
今度はルフの時とは違い、特に光のエフェクトなどは出て来なかった。
ステータスを確認すると、しっかり職業は<農婦(一人前)>に変わっている。
当然と言うべきか、種族は変わっていなかった。
「種族が変わると、さっきのルフみたいになるのかな?」
ルフの場合は、職業だけではなく種族自体にも変化が起こったので、先程の様なことになったのだろう。
ハジメがニヤニヤとイリスを見ていると、少しだけむくれてハジメの肩をたたいてきた。
「な、なんですか。もう」
若干顔を赤くして、そのまま朝食の準備に戻ってしまった。
ルフと同じように空きスキルが出来ていたので、スキルも増やそうと思っていたのだが、イリスが落ち着いてからになるのであった。
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「今度はスキルなんだけど、何か付けたい物はある?」
イリスが用意した朝食に舌つづみを打ちつつ、確認してみた。
既にイリスの機嫌も元に戻っている。
ルフの狼と同じように、上位職に付いて新しくスキルも覚えている。
成長促進というスキルだが、これは後で試してみると既に確認している。
それ以外にも空きスキルが出来たので、そこに新たにスキルを覚えさせたいのだ。
「スキルですか? いえ、特には思い浮かばないですね」
今のイリスのメインの仕事は、畑の管理なので今のところ必要とするスキルはない。
「だよな。うーん、でも二つも空きスキルを作るのは勿体ないんだよな・・・・・」
スキルレベル合計二十になったのと、今回のランクアップで二つ分の空きが出来ているのだ。
「あ、いえ。ありました」
「ん? 何?」
「水魔法のスキルを覚えさせてください」
拠点で畑の管理をしている限りは、水魔法が無くても水を与えることは出来る。
だが、今後色々な物を育てていく可能性があるので、水魔法はあった方がいいだろうということだった。
「ああ、そうか。なるほどね。わかった、後で付けておくよ。まだ空いてるけど、他にもつけたいものはある?」
「いえ。今は思いつきませんね。また欲しいものが出来たら相談します」
取りあえず、イリスはハジメと同じように空きスキルを作ることになった。
「そうなると、今度はルフに何を付けるかなんだけど・・・」
ハジメが視線をルフに向けると、嬉しそうに尻尾を振った。
ルフもイリスと同じように二つ分の空きが出来ている。
「今回は、特に欲しいものもないようなので、好きにしていいと言っていますが」
それが一番困るのだが、そうも言っていられないので、何か考えることにした。
朝食を終えて、落ち着いてから何を付けるか考える。
だが、さほど時間を掛けずにつけるスキルを思いついた。
「ああ、そうか。ルフも魔法スキル付けた方がいいな」
今はいいのだが、今後は<噛みつき>だけで対応できないモンスターも出てくるだろう。
その時のために覚えされておくのだ。
「属性は何を?」
「何となくだけど、ルフは火ってイメージがあるから、火属性だな」
ごく簡単に決めてしまったが、ルフも不満はなさそうなので、早速火属性のスキルを付けた。
本来であれば、氷魔法を付けたいのだが、残念ながら氷魔法はなかった。
さらに<魔力操作>のスキルも付けておいた。
魔法自体は<魔力操作>が無くても使えるのだが、戦闘時にはあった方が便利というのを掲示板で書いてあったのを思い出したのだ。
「魔力操作ですか。私もあったのが良いんでしょうか?」
「どうだろうな? 俺もつけるべきなのかもしれないな」
魔力操作に関しては、また今度考えるという事で、とりあえずは決めた物を付与してまたいつもの作業に戻るのであった。
名前:ハジメ
種族:ヒューマン(人間)
職業:作成師LV15(2up)
体力 :1080(+80)
魔力 :1670(+90)
力 :30(+8)
素早さ:31(+5)
器用 :78(+22)
知力 :44(+10)
精神力:43(+15)
運 :9
スキル:調合LV8、魔力付与LV7、鑑定LV6、俊敏LV4、短剣術LV3、風魔法LV2、収納LV4、空き×2(1up)
職業スキル:短縮作成
名前:ルフ
種族:フェンリル(子)
職業:子狼LVMAX(2up)master!
体力 :1660(+220)
魔力 :174(+21)
力 :73(+11)
素早さ:52(+8)
器用 :18(+3)
知力 :33(+6)
精神力:22(+4)
運 :10
スキル:噛みつきLV7、威圧LV5(1up)、俊敏LV5、気配察知LV5(1up)、収納LV1(New!)、空き×1
固有スキル:鋭敏な鼻
☆職業をマスターしたため新職業へ転職
名前:ルフ
種族:フェンリル(New!)
職業:狼(New!)
体力 :1760(+100)
魔力 :384(+210)
力 :78(+5)
素早さ:57(+5)
器用 :20(+2)
知力 :36(+3)
精神力:24(+2)
運 :10
スキル:噛みつきLV7、威圧LV5、俊敏LV5、気配察知LV5、収納LV1、火魔法LV1(New!)、魔力操作LV1(New!)
職業スキル:遠吠え(New!)
固有スキル:鋭敏な鼻
名前:イリス
種族:牛獣人
職業:農婦(駆け出し)LVMAX(3up)master!
体力 :1089(+256)
魔力 :817(+93)
力 :51(+10)
素早さ:12(+4)
器用 :38(+9)
知力 :22(+5)
精神力:27(+8)
運 :10
スキル:栽培LV8(2up)、料理LV4、棍棒術LV3、怪力LV4、採取LV1(New!)
職業スキル:種子作成
固有スキル:緑の手
☆職業をマスターしたため新職業へ転職
名前:イリス
種族:牛獣人
職業:農婦(一人前)(New!)
体力 :1189(+100)
魔力 :867(+50)
力 :59(+8)
素早さ:14(+2)
器用 :43(+5)
知力 :26(+4)
精神力:33(+6)
運 :10
スキル:栽培LV8、料理LV4、棍棒術LV3、怪力LV4、採取LV1、成長促進LV1(New!)、水魔法LV1(New!)、空き×1
職業スキル:種子作成
固有スキル:緑の手
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11/11 ルフに付ける魔法の属性について表現を修正いたしました。




