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乳魔王の一人。金塊女王リクトリス・メナールと戦うぜ!

 金塊女王リクトリス・メナールの支配するギャンブルパークは毎日黄金の輝きを放っているらしいな。

 そんな欲望と絶望を司る繁華街を俺は一人歩いていた。

 路地という路地にキャバクラなどの水商売の女達が、道行く者に色目を使って新しい鴨を見つけようと駆け引きをしている。ウザいな。チョロもおそらく城の内部にいるだろーしな。


「……面倒だな。一気に行くか」


 怪しげな勧誘をする客引きを回避するようにすり抜け、この街の中央で光輝く黄金のビルへと向かう。

 途中で会員証も持つ男を倒して会員証を奪った。

 雄大にそびえ立つ黄金のビルはこの国を管理する資金源であり、象徴でもあるようだ。

 俺の城になるなら調度いいかもしれん。

 ジーハー!


「ここがギャンブルパークの心臓部か。ここを突けば大きな蜂が……いや乳が出てくんだろ」


 入口の警備員に会員証を見せてビッグマネーキングダム内部に俺は入った。

 ギャンブル大好き人間達の巣窟はケッコー綺麗な場所だな。

 流石な金持ちの城か。

 そして俺は現金をチップに変えてルーレットをやっている場所へいったぜ。


「うっしゃ! このジーハー様がお前達からふんだくってやるぜ!」


 息を呑んで聴衆は俺を見守る。

 突如現れた勇者スタイルの俺にディーラーは戸惑いを隠す為に鼻をかく。

 ヘッ、俺の強運を舐めるなよ?

 ビギナーズラックからか俺の賭けるモノは全て当たっていた。

 戦闘をしているわけじゃねーし、チートスキルなどは使ってないからズルはしていない。

 あくまで俺は自分の運を試しにギャンブルをしている。

 まぁ、負けても金塊女王メナールを倒せばいいだけだしな!

 そして、俺の運の良さにここの客達が集まり出してきたな。


「そろそろ人も集まって来たな。んじゃ勝負に出るか!」


 この額は現実と同じ額だから一千万する金額だ。

 今までの勝ちを全て掛ける俺に聴衆達は勇者はやはり違うなと思ってるな。

 当然だぜ!


「んじゃ俺は黒だ」


「では、始めます」


 ディーラーの男がこの場の勢いが俺にあると感じながらも手に力を込めてルーレットを回す。


「白の19。外れましたねジーハー様」


 ディーラーの男は今までの損失分を回収した事に安堵し、ざわめく聴衆達は俺ではなく自分に興味を持つと確信した――瞬間。


「ギャンブル終了! 持ってけドロボー!」


 バサァ! とプラスチックのチップを俺は空中に舞いあげた。

 色めき立つ聴衆達はこの国の正義であるチップの群れに飛びかかる。

 金の亡者共め。

 持ってけドロボー!


「貴様! 何をしている! セキュリティーサービス!」


 全てが自分の考えと逆になるディーラーはすぐさまこのビルを守る警備兵であるセキュリティーサービスを呼ぶ。ササササッ!と現れる黒服の群れに俺は瞳を笑わせる。同時に、後ろの聴衆達はチップを拾う手が止まり絶頂から絶望へと心が急降下した。


「おい、持ってけドロボーって言ったはずだぜ? ジーハー様のお恵みは受けられねーのか?」


『……!』


 すでに数人の黒服を倒してる俺を見て、床に落ちるチップをまた拾い出した。

 よしよし……と笑う俺は広がる騒ぎを楽しむかのように黒服をなぎ倒して行く。


「アン、ドゥ、トロワ!」


 バババッ! と三人の黒服にアッパーをかまし、俺は床に崩れるディーラーを見据え言う。


「そろそろ金塊女王メナールを呼ばないと不味いんじゃねーか? ご自慢のセキュリティーサービスも機能してないぜ」


 セキュリティの全てを倒した俺は言う。

 客の一部はすでに俺の味方になり、セキュリティーサービス達に罵声を浴びせていた。

 日頃負けが続いている者達を刺激した事により、かつてない混乱がこの金と欲望の空間を支配する。

 いーねー!

 興奮するぜ!

 そしてどうにもならない状況に鼻を抑えるディーラーの男は、


「金塊女王は今、ここにはいない。どれだけ暴れても無駄だぞ勇者ジーハー。このままではお前は金塊パークの連中全てを敵にしてタコ殴りにされるぞ? 何せここは多額の金が動くマネーキャッスルだからな」


「よい、ここで暴れるのは想定内である。欲望がある場所に争いがあるのは当然の事よ」


 そこに、黄金色に輝く毛皮のコートを身に纏う赤い髪の女王が現れた。

 キラキラしててスゲー巨乳だ。

 正に乳魔王に相応しいぜ!

 この女こそが金塊女王リクトリス・メナールだった。

 そのメナールは言う。


「愉快、愉快。不愉快」


「お前が金塊女王リクトリス・メナールか――!」


 瞬間、俺はメナールに殴りかかる。

 こういう高飛車な女はまず一発ブチかました方がいい。

 ツンツンしてる奴ほどデレ易いからな。

 ズバッ!と 金塊女王の胸元に一撃かます。

 だが、ダメージ無しでピンピンしてやがる。


「固いな」


「チートパワーを持つ最強の拳とてこのゴールドメイルには傷一つつかんぞ」


「ゴールドメイル……」


 メナールが装備してる物はゴールドシリーズと呼ばれるスゲー鎧みたいだ。

 確かに硬い。

 俺のマグナム並みかもな。

 けど、俺のパワーを見くびるなよ。

 何せチートパワーで殴ってんだからな。

 

「傷がつかねぇか……本当にそうかな?」


 ピキピキッ……とメナール自慢のゴールドメイルにヒビが入った。

 多少パワーが落ちてきてるとはいえ、俺はチートだからな!


「このゴールドメイルにヒビが? やるなチート勇者よ……だが、貴様の狼藉はここまでだ」


「何だと? うおっ! ゾロゾロと雑兵が現れたもんだ」


 大勢の増援が来た為に俺はチョロだけ探して一旦脱出するかと考えた。

 このメナールを倒さないとならんのは勿論だが、この金塊パークで戦争をするつもりは無いからな。

 メナールは自分の部屋に戻り出し、俺はジリジリとセキュリティに追い詰めて来るが、こんな奴等は屁の河童だ。


「金の力はデカイよ。金塊女王のセキュリティーは常に十万の軍勢を誇ってるし。ご主人ピンチじゃない?」


「ん? チョロ!」


 すると、客の中からチョロが現れる。

 全くどこ行ってやがった。

 チョロインには困るぜ!

 するとチョロの隣に黒髪美少女がいる。


「チョロを連れてったのはオメーか!」


「僕は女に興味は無い! この女が勝手について来ただけだ! こいつは金目の物も食うぞ!」


 ……どうやらこいつはオネエのようだ。

 声が男だし、なーんか違う。

 美少女の容姿だから困るぜ。


「そうか。ならいい。ウチのチョロがすまなかったな。結構大変だっただろ?」


「まぁな。それより、お前が勇者と呼ばれる荒くれ者ジーハーか?」


「そうだ。俺が勇者ジーハー。乳魔王のパワーをいただきに来たぜ」


「成る程、相当ピヨッてるようだな。姉を倒したいなら僕が相手をするよ」


「ならやるか!」


 セキュリティに囲まれたまま、俺はこのゴールダムと戦う。

 チョロは一人で応援してくれてるが、ちょっと浮いてるぜ?

 ま、いーけどよ。

 にしても、ゴールダムの声がウゼー。


「ぴよっ! ぴよっ! ぴよっ! ぴよってるよ君、ぴよってるよ!」


「ぬおおっ? このオネエは何かヤベーぞ?」


「チートパワーが自分に返って来る気分はどうかな? 女好きの君では僕には勝てないよ!」


「どういう事だ?」


「そういう事さ」


 俺の全てのエネルギーがメナールも装備していたゴールドシリーズの前ではノーダメージになる。

 あれは乳魔王のパワーも混ざってやがるから強くて硬いんだな。

 それにこいつはオネエ。

 おそらく、俺がいまいちパワーが出てねーのは男だけど美少女にしか見えないから完全な力が出せてねーんだ。


「パワーが落ちてる? ピヨってるね君」


「メナールのパワーを吸収する前にこっちがやばくなりそーだぜ」


「普通の女の乳じゃそこまでチートパワーが回復しねーのかい?」


 余裕綽々のゴールダムに俺は言う。


「奴を二人でしとめるぜチョロ!」


「はいな!」


 二人で来るのか? と構えるゴールダムを無視して壁を殴りその穴から外に逃げる。

 バーカ!

 メナールとしか戦うつもりは無いんだよ!

 そして俺とチョロはメナールの部屋にたどり着いた。


「よぉ! 金塊女王メナール」


 その勢いで金塊女王メナールを殴る。


「うらぁ!」


「ぐあああっ!」


 そのままメナールはブッ飛んだ。

 鎧とかに攻撃しなきゃこんなもんだな。

 俺に勝てる奴はいねーんだよ!

 ジーハー!


「よっしゃ! 一気に行くぜ!」


「ご主人! 食い過ぎでお腹が痛い……うんちするよ!」


「へ? 待て! ここでするな!」


 俺の勢いが消えるぜ。

 こんな場所でウンコとかするなんて動物かお前は!

 いや、元々ウサギか。


「私もお腹痛い……」


 何とメナールも腹が痛いらしい。

 こいつらアホだな。

 仕方ねーな……。


「トイレまで競争だ!」


『おー!』


 俺達はメナール専用のトイレの個室に走る。

 けど、先回りされて入られちまった!


「ご主人! もう私限界だよ? どーする? チョロチョロ出ちゃうよ!」


「フハハハハハッ! そのままそこで漏らすがいい。クソ勇者よ!」


 くそー!

 漏らすのは俺じゃねーし!

 ウンコしながら女王が言う台詞かよ?

 こうなったら……。


「よしチョロ! ウンコバルカンをくらわしてやれ!」


「はいな! ってどうするの?」


「こうするんだよ!」


「うきゃあ!」


 俺はチョロを担いで個室の上からチョロのウンコバルカンをくらわしてやった。

 BB弾並みに硬いチョロのウンコがウンコ中のメナールに直撃する。

 スゲー!

 スゲー勢いだぜチョロ!

 まるでマシンガンだぜ!

 個室でダメージを受け続けるメナールは叫んでやがる。


「やめろー! くそ勇者ーーー!」


「くそまみれになれメナール!」


 そして、俺とチョロの合体技でメナールを瀕死にまで追い込んだ。

 精神的にな!

 そして個室から出てくるメナールに決めセルフを言う。


「さぁ、お前の乳を曝け出せ!」


 それに金塊王は大いに笑い、


「正々堂々でも不意打ちでも何でも構わん。総出で来い。我が軍勢が金の力で貴様等を木っ端微塵に駆逐してくれるわ!」


「おう! その言葉倍返ししてやるぜ! ってどういう……うおおおお――!」


 突如、地面に穴が空いて俺とチョロは落ちた。

 そんなこんなで俺達はメナールとの決戦が強制的に終了しちまった。

 ま、次は勝って乳魔王のパワーをもらうけどな! 

 ジーハー!





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