死亡フラグを回避します!
私の今の名前は、御堂 薫という。
私は、某小説サイトでよく見る設定。つまり、前世の記憶持ちであり。私が今、生きている世界は、私が前世でやっていた、乙女ゲームの世界だ。
しかも、主人公以外、主要登場人物が全員ヤンデレという。かなり、ハードなものだった。
そして今の私、御堂 薫 というキャラクターは、攻略キャラの婚約者、つまり、主人公にとっては悪役という立場にある。
ゲームでの私の末路は、3つある。
1、主人公に嫉妬し、主人公を殺そうとして、主人公を守ろうとした、婚約者に殺される。
2、婚約者と心中しようとするが、運よく婚約者だけが助かり、私は死ぬ。
3、主人公と付き合っている、婚約者が、私のことが邪魔になり、私を殺す。
と、このように私にはデッドエンドしか待っていない。だから、私は頑張った。
まず、婚約者である東尾 光について
彼の容姿は、切れ長な目が特徴的で、威圧感を与えるような容姿をしている。しかし、性格は優しく、紳士的である。だが、小さい頃から実家目当てで近づいてくる女の子が余りにもしつこく、女性嫌いというところもある。
ここで彼の実家のことを説明しておこう。
彼の実家は古くから政府を支えてきた銀行である。また彼は、十二才という年齢で株式に手をだし、大成功していて、既に多額の収入を得ていた。そして、周囲の人々は彼のことを、嫉妬と羨望の目で見ていた。
勿論、そんな彼に縁談は絶えなかった、その縁談の多さに実家は迷惑していた。
そこで、私に白羽の矢がたった。
何故なら、私の父と、彼の父が中学校時代からの親友であったためだ。さらに父は、全国に幾つも支店をもっているショッピングモールの社長で、身分差もなかったためだ。
だが、私は婚約を断った。
だが、しかし!
ここで親がでしゃばってきた。
なんと、私の両親は、私に何も言わず勝手に婚約を進め、外堀が埋まり、婚約発表が明日というときに私に告げてきた。
その時の私は、ただただ立ち尽くすことしかできなかった。
だが、私は諦めなかった。
婚約者にこう話しかけた。
「ねぇ、貴方は親が決めたこの婚約をどう思う?」と
すると彼……東尾 光はこう言った。
「正直に言うと、不愉快だ。」
と、答えた。
だから私はある話を持ち掛けた。
「もし、私達のどちらかに好きな人が出来たときに、婚約が破棄できるように親に言いませんか?そして、好きな人が出来るまでこの婚約を隠れ蓑にしてください。」
「つまり、形だけの婚約、ということか?」
「その通りです。私の話に乗りますか?」
「いいだろう。」
だが、私は不覚にも、彼に一目惚れしてしまった。
だけど私はその気持ちに蓋をした。
そうしなければ、壊れてしまいそうだったから。
こうして私達が契約した。そして、自分の気持ちに嘘をついた十三歳の夏だった。
それから
私達は、公の場では婚約者を装った。
私は、彼に会うたびに彼への気持ちが強くなっていった。だけど、その気持ちに蓋をし続けた。
そして、三年の月日が経った。
高校一年の秋から、ゲームのストーリーが始まる。
主人公、つまり一之瀬 恋花 が私達が通っている学校に転校してくる。
その転校してくる日は明日、つまり十月一日である。
私は、再び彼への気持ちに蓋をした。この気持ちに素直になっても、報われることはないから。
そしてその日がやって来た。
主人公は、転校してこなかった。
一之瀬 恋花 視点
どうして!?
どうして私が、編入試験に落ちるの!?
私はヒロインなのよ!?
なんで!?なんでなんでなんで!?
……
分かっちゃった。
きっとあの悪役。御堂 薫が邪魔したのね。
きっとあの噛ませ犬も転生者なのよ。
だから、邪魔したのよ。
フフフッ
邪魔する奴は
……コロス。
御堂 薫 視点
驚いた、噂によると編入試験に過去最低点数で落ちたらしい。私達が通っている高校は金持ちが通うような学校で、偏差値も高い。だからこの高校に入ることは皆の夢であり、目標である。
これで、原作は終わったのだろうか?
これで私は、解放されたのだろうか?
と考えていたその時、廊下から悲鳴が上がった。
そこに居たのは
包丁を持ったヒロイン……一之瀬 恋花だった。
そして、彼女は私に向かって走ってきた。
「あなたのせいであなたのせいであなたのせいでッ!殺す殺す殺すころすコロスッ!」
私は動けなかった。
私、結局死ぬのかな。
自分の運命はやっぱり変わらなかった。
お母様、お父様。親不孝な娘ですみません。
光さん。貴方のことが好きでした。
貴方は、好きな人を見つけて幸せになって下さい。
さようなら。
そう思い目を瞑った時だった。
「薫ッ!」
私は、目を見開いた。
そこには……
一之瀬 恋花を押さえつける婚約者、つまり東尾 光の姿があった。私は気を失った。
それから私は、病院の一室で目を覚ました。
あれから私は約十時間も気を失っていたようだ。
ふと横に目を向けるとそこには、疲れて眠っている光さんの姿があった。
私は、考えた。もう、ヒロインはいない
彼のことを好きでいていいのか。
と自問自答していて
そこでふと思った。彼は誰のことが、好きなのかと、そのとき、彼が起きた。
そして私は、
彼に抱きしめられた。
「薫、もう俺の傍を離れるな。俺はお前が好きなんだあの時した契約は破棄させてもらう。お前は絶対に離さない。」
嬉しかった、
嬉しすぎて、泣いた。
「か、薫?ど、どこか痛いのか?医者呼ぶか?」
「違うの、私も、貴方が好きなんです。だから、嬉しくてッ!」
「それじゃ、俺と結婚してくれるか?」
私は、静かに頷いた。
お読み下さってありがとうございます
あらすじにも書いてありますように、ありふれた設定、名前を使用しています。そのため、酷似していたり、被っている作品や名前がある場合があります。
その場合は改稿、もしくは作品の消去を考えています。お手数かけますが、そういった作品があるということをご存知の方はご報告をお願い致します。