第九話
起きて飯を食ったら、早速昨日聞いた図書館に行く。情報さえあれば俺だって、こんなぼっちから脱却出来るはずさ!
図書館に着くと、元の世界の図書館と比べても遜色ないレベルの物があった。入場料を払って入ると、沢山の本棚や机が並んでいるのが見え埃や本の匂いがする。
少し奥の方で適当に本を手に取ると、しっかりと文字を読むことが出来た。ありがてぇありがてぇ。
こっちに来てから始めて本を読む事と新しくて新鮮な異世界についての情報だという事で、気付いたら夕方になっていた。宿の食事の時間もあるし、今日はここまでにしておく。
これからしばらくは図書館に引きこもりかな!ぼっちから抜け出せないね!
********************
結局知りたい最低限の事を調べるのに一週間も、気になった本の読書時間や息抜きなんかにかかった時間を抜いてすら一週間かかった。それらを合わせて図書館に引きこもった時間だけなら三週間にもなった。こっち基準だが。
本を読むのは好きだが、流石に三週間も使ってしまったのはやばかったんじゃないだろうか。主に他の元の世界の人達に遅れを取る的な問題が。
今まで読んだ異世界トリップ物でも一日で調べ事は終わってたし、頑張ったつもりではいるんだが、流し読みとかしないとこの位掛かったんですよ。仕方ないね。
調べた内容もそんなに詳しくなったわけじゃないし、おおまかにこの世界の事がわかった程度だ。
まず最優先に調べたのがエルフやドワーフ、ケモミミ、etcなどの存在だった。結論は「いる」だったのが非常に嬉しい。
この世界は一つの大きな島で、周りを海に囲まれているらしい。島の中央に天辺の見えないくらい高い山、北にエルフ、南にドワーフ、東に人、西に獣人が国を作って暮らしているらしい。山ってのはこっからも見えるが、てっぺんが見えない山ってよりもいっそどこまでも続く塔になってる感じだった。
エルフは長寿だけど生き物を殺せないとか、獣人は人より寿命が短いが成長が早いとか、ドワーフはちっちゃいおじちゃんとろりっ子だとか、よくあるファンタジーだった。
別段種族同士で戦争やら優劣なんかは基本無いらしく、中央の山のせいで向かい側と交流が少ない程度らしい。
暦は一年三百六十日で十二ヶ月、六週間で一週五日だそうだ。一日が二十四時間で他の時間の数え方なんかも元の世界と同じだ。つまりこっちで三週間図書館に引きこもったが、元の世界ならほぼ二週間しかたっていない。……時間の浪費という点では似たようなもんか。
魔物は普通の生物みたいに増えたりするだけでなく、突然湧いて出るらしい。永遠に魔物は絶滅しないわけだ。狩り放題だね。
分布は割とまばらだが、街は魔物が弱い所に作るらしい。つまりほとんどの街が近くの魔物は弱いってことか。
伝説なんかだとドラゴンと英雄のパーティーが戦っているシーンなんかもあった。8〜10レベルの英雄パーティーが12レベルの超英雄に率いられ15レベルのドラゴンに立ち向かい勝利する物語だった。超英雄ってだせぇと思うが、そんなもんなんだろうか?
ドラゴン一匹で百万ゴールドってのが安く思えるような厳しい戦いらしいんだが、マジで12レベルで伝説クラスらしい。今19レベルなんだが、ばれたらやばいかな?ステータスの隠蔽をスキルを取ってでも考えるべきだろうか。鑑定の1レベルでレベル見えちゃうし。
他にも、魔物からゴールドが出たら経済やらなんやらがおかしくならないか調べたら、魔法を使える人が少なくて、かつ魔道機とかいう誰でも魔法が使える道具があって、それの動力源がゴールドだそうで、日常で消し飛んでいるためにトントンらしいとか、色々なことがわかった。
つまり、エルフが見たければ北へ、ドワーフが見たければ南へ、ケモミミは西にあるそうだ。厄介な。正確にはここが東のほうだから、西行きは確定みたいなもんだが。
ハーフなんかもいるらしいが、結構珍しいみたいだ。結局旅をしなければ遭遇出来ないと思っていいみたいかな。
冒険者ギルドは世界共通だとかいう超巨大組織らしい。一々登録し直しとかはしなくてすむようだ。ありがたい。
こうして一般常識を入手した訳だが、尚更ぼっち脱却が難しくなった気がする。レベルを秘密にする冒険者、しかもどうやら子供扱いとかされるみたいだし。
やっぱりトリップ仲間でも探すしか無いんだろう。チート同士で仲良くできるはずだ。多分いける。
しかし目立つチートがあるわけでもないし、こっちが見劣りするよな。レベルとギルドランクでも上げますか。