表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/49

第四十話

年下相手に暴力なんて振るいたくないというか、そもそも人間相手に真剣に戦えって言われても、殺したくないから無理だよな。とはいってもこの状況は逃げれば解決するものでもなさそうだし、死ぬことは無いだろうからしばらくは付き合ってやるか。


そう、考えてみれば弓矢が当たっても刺さらずにチクッとしただけだったし、向こうが飽きるまで適当に付き合ってやればいいのだ。はっはっは。


そう思っていると、向こうの雰囲気がおかしい気がする。そういえばチートを使っていなかったらしいけど、次からは使うって事かな? 構えもさっきまでの抜刀術ではなく、バッティングフォームに近い形で構えている。まあ結構違うけどさ、大体そんな感じだ。


先程までと同じように、滑らかに迫ってくるとつか少年。振り下ろしてくる刀を剣で受け止めようとして、まったく同じタイミングで右の方から刀が迫っていることに気づく。どういうことなの?


さすがに同時に二本も止められないので後ろに下がって避ける。二刀流かと思って見るが、確かに両手で一本の刀を持っている。どういうことなの?


「今のはなんだ? 二本に見えたけど」

「今のを避けますか。燕返しですよ、僕のイメージの」


つばめがえし? そういうのにはあまり詳しくないんだけどなぁ。二刀流ではなく技の一種なのか。コレがチートだろうか。まあ後ろに逃げれば問題ない。


「ほら、避けているだけでは!」


今度は刀を後ろに構えながら突っ込んでくる。突進だろうかと身構えると、体を回転させるかのように横から刀を振ってくる。他に刀が来ていないことを確認して左からのそれを剣で守ると、速度を落とさないままくるりと右上から刀が降ってくる。


右下、左下、真上、左、右、左上、右上、左……速度を落とさないどころか、だんだんと加速する攻撃に驚く。スローモーションカメラで見ていた映像がだんだん加速して普通の速度に近づいているというか、そろそろ腕の速度が普通に生活しているときの腕の速度に追いつきそうなほどに速くなってきている。


こらえきれなくなって距離を離そうと下がっても追いついてくるので、一発牽制を入れようと守ったタイミングで剣を振るう。すると剣の側面を刀の側面で滑らされて上に逸らされた後、今までで一番速い速度で切り返してくる。あわてて防いで全力で飛びのくと、ものすごい笑顔でとつか少年が笑い出した。


「あははは、今のを防ぐんですか? どんな反射ですかそれ、ふふふ、いいなあ、すごく楽しいです。お兄さんも楽しくないですか?」

「楽しくないから! 戦闘狂じゃないから!」

「そうですか、まあいいです。このままでは勝てそうにありませんし、一つ奥の手を使います。死なないでくださいね? 一応胴体を狙ってあげますから」


物騒なことを言いながら刀をバッティングもどきに構えるとつか少年。なに?まだチートじゃなかったの?ぐっと腰を落としてきたので、まあ合金製の剣なら防げるだろうと受ける準備をする。


瞬間、目の前にいたとつか少年の刀が胴体の四分の一ほどまでめり込んでいた。左腕が下に落ちていく。反射的に足が出た。吹き飛ぶとつか少年。


噴き出す血、激しい痛み。カッターで指を切ったりするのとは比べ物にならない、しかしドラゴンに足を持っていかれたときとも違う種類の痛み。あの時はつぶれるような痛みと熱さだったが、すぅっと冷えるような感覚の後に、ひりひりとした痛みがだんだんと焼け付くような痛みに変わっていく。蹴ったせいで悪化してないか?


割と本気で蹴ってしまったとつか少年が、一回地面にバウンドした後で足で着地し、ズサーっと地面をすべり立っていた。生きているみたいだし何の問題も無い。


刺さったままの刀を抜こうとしたが、痛みのあまりてこずる。二回くらいグリッとやってしまったが、無事に横に抜いて回復魔法を使う。傷口がふさがり左腕も生え、痛みもなくなってきたところでやっと今の状況がどんなだったかを確認し怖くなる。パニックになりすぎて一週回って落ち着いていたのか?


「大丈夫かとつ、ごふっ」


喋ろうとしたらのどに変なものが絡まって喋れなくなり、咳き込んだら血が出てきた。あれか、回復しても血は体内に残ったままか。しばらく咳き込んで全部吐き出した後、とつか少年に確認を取る。


「生きてるか?」

「……」

「おーい? もしもし? あれ、やっちゃった?」

「……っ」

「あ、よかったまだ生きてる!」

「あっはっはっはっはっはっはっは! 何ですか今の! 雷速の雲耀の太刀でも切れないなんて! 硬いって言うよりも重い! それにあの蹴り! 完璧なタイミングで後ろに跳んでコレですよ! いいなぁ! 凄くいい!」


ものすごい笑顔だ。かっこいい少年が笑顔だから物凄い絵になるが、状況を見ればやっちゃったのはむしろ頭かもしれないと心配になる。あれが素とかどういうことなの? 日本は修羅の国だったの?


「さあ、まだまだです! まだ、ま……」


更に出してきた刀を二本持って突っ込もうとしてきたとつか少年が倒れた。どうやら気絶したようだ。近づいても反応が無いので、一応回復をしておく。間違って死なれたらいやだしな。というかそんなダメージでまだ戦おうとか、本当に日本の子供なの? 現代っ子ってこんなのなの?


「に、にゃー! トツカ様!」

「し、昇! いま物凄い怪我してなかった!? どうなってるの!」


さっきまで静かだった外野がスリープから戻ったようだ。とりあえず休みたいんだけど、だめかな?

チート内容は別に示現流だとか佐々木小次郎だとかではありません。無関係ではありませんけど。


切られた直後に意外と冷静な理由は、大怪我()が二回目だということ、理解が追いつかなかったことなどがあげられます。お腹に物が刺さってもなんじゃこりゃーって現実から目を逸らすのは一般的ですよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ