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第三十五話

「なあ少年、どうして俺たちは縛られているんだ?」

「それはもちろん暴れないようにっす」

「では少年、正座で固定されている理由は?」

「それは反省して欲しいから、かなっす」

「時に少年、そのかかげている手の先にあるやたら大きい火の玉は一体……」

「それは、謝らなかったら正当防衛ってことで消し炭にでもしようかと」

「「「すんませんでしたー」」」


大体全員が冷静になるまで多少時間がかかったが、しっかりと誠意を持ってお話すれば年下相手でも頭を下げてくれるものである。回復魔法と生活魔法をいい感じにかけたら、全員頭がしっかりしたらしい。栄養ドリンクじゃあるまいに。


「理由は大体察するっすけど、弁明は?」

「リア充が憎かった、相手もチート持ってるだろうし悪乗りしてもいいと思った。テンションがおかしくて冷静に判断できなかった」

「反省はしている、だが後悔はしていない!」

「などと供述しており……」

「「「はっはっは」」」


頭が痛い。物凄く楽しそうだし実際何を言っているのかもわかるけど、現実でやられると物凄くイラっとする。


「ところで少年、我がファクトリーに何の「いつからお前がリーダーだと錯覚していた!」」

「ファクトリーよりラボとかの方がよくね?」

「いやいやここは集団の名前としてクリエイターズとかだなぁ……」


わいわいがやがや、やいのやいのと大騒ぎが始まる。が、わざとらしく咳払いをすれば静かになった。


「で、何の用かと聞かれればなんていうか苦情を言いに来たって事になるっすかね?」

「苦情? なにか少年に迷惑でもかけたかね? というか武器を作れって話じゃなかったのか。アイスソードはないから殺しても奪い取れないぞって話かと思ったのだが」


先程から答えているのは若干やせ気味の推定おっさんだが、きょとんとされても誰も得しねぇから。


「あんたらの悪評のせいで少なからず迷惑を被ってるっす! 主にドワーフの国全般で黒い髪ってだけでいやな顔されるくらいだから!」

「ふむ、それは由々しき事態だな。主に幼女に嫌われるという点で」

「幼女に睨まれるとか最高ジャン!」

「俺はちげーぞ、罵倒されるほうがいい!」

「どっちもご褒美です、ほんとうにありがとうございます!」


半分以上の連中はまじかーやっちまったわーって顔をしてるのに、何人か変態が混じっている。やっぱり土に還ってもらう方がいいんだろうか。というか良く見たら幼女に嫌われて残念って連中しかいねぇ。


「……ロリータ?」

「「「コンプレックス!」」」


手が自由ならイエーイとかいってハイタッチでもしそうな雰囲気だ。ネタに乗ってくれるのは嬉しいけど、物凄く微妙な気分だよちくしょう!


「あ、昇! 彼ら目が覚めたんだ」

「ああ、シエルか。危険物の撤去は?」

「大体燃やしてきたけどいいよね?」

「まあ問題ないでしょ」


俺に撃ってきたもの以外にも爆発物など危険物がわんさか有ったので処理をお願いしていたシエルが帰ってきた。おっさんたちは最初は美少女キタコレ! とかはしゃいでいたが、燃やしたの辺りからぎぎぎとか効果音のつきそうな振り返り方をした後、俺の努力の結晶がぁーとわめきだしている。ファンタジーなんだからそれっぽい物を作れよ。いやほんとマジで。戦車ダメ、絶対。


「……では、これで私たちはゲームオーバーってことなんだろうか? まだ、何も成し遂げていないというのにっ!」


前半はただの質問なのに後半は演技入ってる。だれだよこんな連中異世界に送ったの。見てて楽しいだろうけどぜってぇ間違ってる。


「いや、別にそんな物騒な手段の前に、人類に許された話し合いって言う文化を試そうぜ? あんたらは完全に無視してたけど」

「いや、まだだっ! 俺たちにはまだ残された希望がある!」


演技入ったまま帰ってこない。というか残された希望?


ずん、ずんと地響きがし始める。


「燃料が炭素くらいしかなかったから効率は悪いが、スチームパンクにだって喧嘩を売れる! 俺たちのすべてを結集して作った、なんだか良くわからんうちに魔法も物理も効かなくなった最強のロボットォ!」


横を見ると、山の方角からロボットが歩いてきた。なんかビルよりもでかそうで片手はドリル、もう片手はショベルか? フレームむき出しの箇所が多くて頭がない。胴体もほっそりしてるし、股間に丸いものがついてるけどあそこがコクピットか?それとも背中の二つのタンクか? タンクはただのタンクっぽいな。ケーブルが出てるし。


「そのドリルはミノタウルスも一撃でひき肉に変え、そのシャベルは岩石をもたやすく砕く! 見たか聞いたか驚いたか! 蒸気機関で動く僕らのロマン、試作二号機だぁ!」

「「「増援キター! これでかつる」」」


デザインはなんともまあ素人が作りました、って感じだが、さっき変なこと言ってなかったか?


「魔法も物理も効かない?」

「ああ、適当にフィーリングで作った合金にあれやこれやしていったらチート以外ではまったく傷もつかんし、加工の出来ない物が出来てしまってなぁ。」

「「「おーい、見ればわかると思うがやばい状況だ! この少年をなんとかしてくれぇ!」」」


なんでこいつら綺麗にハモってるんだろうか。それに反省してないだろ。


「大変だ昇、本当に魔法が効かない!」


何勝手に攻撃してんのさ! やっぱりシエルのほうが考え方が過激だろ!

でもまあ確かに軽いクレーターを作れるはずのシエルの魔法で、傷どころか焦げ目一つついていない。チートだろ、常識的に考えて。


ロボットが手を振った後頭の上で丸を作る。何やってるんだ?


「スピーカーなんかを作ってなかったから、ジェスチャーでしか外にメッセージを送れないのは欠点だな。集音マイクにこだわったのがダメだったか」


ああ、そういうことか。というかあのロボットいま物凄く人間以上にナチュラルに素早く動いてなかったか?


プシューと煙を吐いてショベルで器用にクイックイッと挑発してくるロボット。しかたない、ちゃっちゃと片付けますか。

いつからこの程度で負けだと錯覚していた! というわけで第二ラウンドです。


中に入っているのがこの集団で僕が一番ガン……ロボットをうまく使えるんだ。な人なのでここまで動きますが、説明を受けていない素人が動かそうとするとこける程度には動かないものです。


……というかよくそんな動力源で動くな。どういうことだ?

もしかして:チート

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