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第三十四話

探し出したはいいが、魔物相手に戦争おっぱじめてたり、ガチな兵器作ってたり、戦車やロボットが置いてある光景に何ともいえない気持ちを感じた。ファンタジーに近代兵器持ち込みって、他所でやれ他所で!


まあ彼らの共通点として黒い髪、言動、どう考えてもトリッパーの集団だろう。白目が真っ赤な人がいるけど、異世界でもそんな目の奴見たことないし多分充血してるだけだろう。というか結構な人数が目が血走っている。それに加えて頬のこけたデブという珍しい人もいる。どんだけ本気なんだよ。


少し遠くから眺めていると、こっちに気づいた人が手を振……ろうとしたポーズで固まった後、周りの連中と話し出した。しばらくすると、アレだけうるさかったのが嘘のように静かになった。


「少年! 君も仲間かい! でもそんなことはどうだっていい、重要なことじゃないんだ! そこでじっとしていたまえ! 隣のお嬢さん! 少しの間そこから遠くに離れていてくれないか!」


集団が銃の手入れをしながら待機している。……大体予想はつく。


「シエル、下がってもいいよ? ざっと五百メートル位」

「いいのかい?」

「後ろに下がりながら確認されてもなぁ。まあ大丈夫だと思うよ。つーか説得って無理かな?」

「……交渉の余地はなさそうだね。眠くてイライラしてるんじゃないかな?」

「じゃあ眠らせてからゆっくりお話しすることにしよう」


急ぎ足で離れるシエル。フードを被ってもらっておけばこんな面倒なことには……


仲間内で確認しあった後、武器を構えながら連中は言った。


「「「リア充爆発しろー! 法律で縛られてない異世界なら俺たちの手で爆発させてやる! 死ねー!」」」

「そんなこったろうと思ったよちくしょー!俺の話を聞けー!」

「「「いやだね!」」」


いろんな種類の銃、マシンガンやライフルだろうか、それに加えてバズーカやミサイルランチャーみたいなものまで完全に世界観ぶち壊しの物がずらっと並んでこちらを向いている。


「一斉射撃、てー!」


空間魔法でバリアを張ると、雨あられとでも表現すればいいのか、大量の銃弾が撃たれた。まあ能力から考えればあたっても大丈夫だろうが、怖いものは怖い。


「おい、なんか弾かれてっぞ!」

「弾かれるっつーか、止まって落ちてるっぽい!」

「バリアか! まあ動けなくなればそれでいい! バズーカ、ミサイル、てー!」


爆風も届かないので無傷だが、爆発のせいで土煙が上がる。意外と何も見えない。


「やったか!?」

「これだけの爆発だ、ひとたまりもあるまい!」

「お前らフラグ立てんな!」

「いやでもこれはオーバーキルっしょ。……やっちゃってよかったんかなぁ」

「「「リア充に情け容赦など必要ない!」」」


まったくひどい連中である。大体俺だって独り身だけど、あそこまでは酷くない。まあお約束を立てているので、ネタに乗ることにしよう。……あれ、このネタって乗ったら死人が出るんじゃね?だめじゃん。


仕方がないので適当に風で煙を吹き飛ばし、無傷アピールだけしておく。


「あれだけの攻撃を受けて無傷、だと!?」

「ばかな! 効いていないはずがない!」

「戦車砲、狙えー、てー」


直撃コースで飛んでくる弾だが、難なくバリアで止ま……らない。勢いこそ多少落ちたものの貫通してきた。両手で受け止めたが、片手だったらちょっときつかったかもしれん。


「よーし、直げ……き……」

「戦車砲を受け止めただと!?」

「くっそ、無茶苦茶だろ! レーザーよー」


大型の機械から砲身が出ている。あれがレーザーか? 流石にそんなものは受け止められないので、打たれる前に潰す!


「おーい、野球しようぜ! ボールはこれで、ミットお前らな!」

「い、って退避ー!」


受け止めた砲弾をそのまま投げ返す。狙い通りに直撃したら、爆発した。


「くっそ、戦車砲でもだめだし、どうすんだ!」

「ドリルとかパイルバンカーどこやったっけ!」

「ミサイル切れたぞ!バズーカも残ってねぇ!」

「くっそ銃身がイカれてきやがった!」


攻撃が緩くなってきたので弾丸をすり抜けつつ一気に近づく。バリアで止められなかった戦車の砲身をへし折り、適当に近い奴から殴って眠らせる。


「消えた!? いったいどごはっ」

「くっそ、一体何がふっ」


白目むいたり泡を吹いて倒れてる奴もいるけど、適当に回復しつつ全員を寝かせる。うん。どうだ、誰も死んでないぞ。誰がどう見ても俺って安全だよな!

眠いから暴走しただけで、普段からこんな危ない連中じゃない! ……たぶん。


まあテンションがおかしいと冷静に判断できなくなりますよね。


なお戦車の砲弾ですが何発かまともに直撃すればドラゴンだって倒せます。あれやこれやのデータからいい感じにふわっと計算したらそんな感じでした。

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