第三十話
その後も少し話をして、装備コマンドを使わなくても装備の変更が出来る事とかがわかった。ただ着替えるだけでも、持つだけでも装備扱いになるってことか。やっぱりまだまだ知らないことが多いな。
そろそろ寝る時間なんだが、さてここに一つ大きな問題が出てきた。この部屋のベットは一つ、ここにいるのは二人だ。しかも片方は女性、どう考えてもベットは譲るべきであろう。
かといってソファーなんかも見当たらないし、かろうじて椅子の上にクッションがあるからそれを敷いて眠ろうか、などと考えていると、シエルがとんでもない爆弾を投下してきた。
「その、ベットも一つだし、ソファーなんかも見当たらないし、ちょっと大きめのサイズだから、えぇっと……一緒に寝ても、いいかな?」
OKいったん落ち着こう。あれだ、素数だ、素数を数えて落ち着くんだ。一、二、三、四、五、六、七、よし落ち着くわけ無い! やっべえ頬を染めながら上目遣いで一緒に寝ようとか可愛い子に言われるとかぁぁぁ無理だこれは確実に顔に出てるぅ!
れ、れれれ冷静になれ! 寝るところが無いからベットに入れてっていうだけじゃないかなにも他に意味なんて無いだろ常識的に考えればただ俺が変な想像をしてるだけでだからそれが問題だっていうことで青春なんて無いさとか言ってたら異世界でわが世の春が来ちゃうのかなって勘違い乙って言われるだけだよねはいでもこれは勘違いしてしまっても致し方ないといいますかあなた目の前の可愛いもろタイプの女の子に一緒に寝よとか言われたらどうしますよどう考えてもテンパるでしょいやまて実は何かの聞き間違えなんじゃないだろうかいやどう考えても一緒に寝ていいかって確認してきてるわーこれは間違えようの無いくらいはっきり確認とってきてますわーえなにこれドッキリなのじつはなんちゃってーとか言われて部屋から追い出されるパターンなのでも部屋を借りたの俺だしそんなことないよねいったいこれは何なんだ孔明の罠なのか……………………………………………………
ショックのあまり頭がオーバーフロー的な何かを起こしかけたが、なけなしの全理性を総動員して一言、
「いいよ」
と答える。最早一週回って無表情になっている気がする。まあNOと言えない日本人ですし? 別にやましいことも考えてませんし? 何の問題があるだろうか、いやない!
「本当かい? ありがとう! ……で、でね? その、初めてだから良くわからないんだけど……」
ぱぁ! なんて付きそうな笑顔の後に顔を赤らめつつもじもじとしている何この可愛い生き物。っていうか初めてって何! いやまあ確かに年頃の男女でどちらかといえばばっちこいっていうかむしろ願ったりかなったりっていうか、嬉しいことしかないんですけどやっぱり知り合ったばかりだしそういうのは早いんじゃないかなーっていうかでもまあそういう欲望を持ってないといえば嘘になりますしこんなに可愛い娘を目の前に同じベットでっていったら期待してなかったかといえば嘘になりますけどいやでもそんないきなりだと心の準備が出来てないというか年齢=アレの若者には刺激が強いっていうかまあ知識としてはありますけどこっちも初めてですし…………
「寝る前にクリーンをかけてもらってもいいかい?」
うん、知ってた。
いやまあわかってたし? 別に恥ずかしくなんてないし? と誤魔化しつつさっさとクリーンをかける。
「おぉ、思ったよりも気持ちいね。お風呂とはまた違った心地よさというか……」
「それはよかった」
スーパーハカーなら今の台詞の前半もう一回とかいいそうだ。が、なんというかそんなネタを振るのもあれだし、傷が深いのでこれ以上は何も言いたくない。いっそ考えたくない。
ベットに入る。さっさと寝てしまおう、それがいい。
「じゃあおやすみ」
「うん、おやすみ……ありがとう」
それっきり部屋は静かになる。引っ付いているわけでもないし、向こうむいたら眠れる訳無いから反対側をむいて寝てるんだが、心臓がやたらうるさいし、これはこれで後ろから聞こえる息の音で眠れる気がしない。安易にOKなんて出すんじゃなかった。なんだこれ思った以上に恥ずかしいんだけど!
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一時間ほど経っただろうか、悶々としていると本格的に寝息みたいなのが聞こえてきた。落ち着け、気にせずに寝るのが無理なら気にしたままでも寝ればいいじゃないか。さっきから思考がループしている気もするが何も考えないようにするのは無理だ。
「んぅ」
すぅ、すぅ、の間に偶にはいるコレ、もぞもぞという動きも伝わってくる。これで思考停止して寝れるんだったらきっと人間やめてる。まあまず間違いない。
もうこれは眠れないかなーと考えていると、寝返りを打ったのかこっちに来た。やばい、これはやばい。息が首とか耳の辺りにかかるし、滑り込むような寝返りなのかほぼ密着するような距離にいる。なんだこれは! なんだこれは!
自分でもまだ耐えられているのが不思議なくらい健全な男子高校生には辛過ぎるこの状況に終止符が打たれたのはその後すぐだった。
近くにある暖かい物を抱き枕とでも思ったか、シエルが俺に抱きついてきた。
慎ましくもふにふにしたものが背中で自己主張している感触や抱きついてきたシエルの体に当たっている全体のやわらかさを感じて、あまりの衝撃に何も考えられないまま意識が遠のいていく。これ以上はむりだぁ……
意識を失ってる間にも抱きつきが進行していくんですねわかります。足とかまで絡めちゃって、起きた時にうぁぁぁって真っ赤になり昇が起きてないか確認しつつ飛び起きる所まで幻視しました。
シエルサイドを書いたら楽しそうですが、設定や心情こそある程度以上には考えているものの技術力、表現力が無いから無理だろうなぁー




