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Heven's door  作者: 三月
1/8

プロローグ

 神は退屈していた。

 そして悠久の時を過ごした”彼”は思う。世界は自分の手から離れて行ったのだと。          


 彼は、あらゆる時代・あらゆる世界・更には別次元に存在する全ての世界だけでなく、それらの世界に無数に散らばるパラレルワールドさえも掌握し管理し続けてきた。しかし、今や神が居なくても世界は何事も無かったかのように時を刻んでいくだろう。なぜなら、そうなるように神は世界に永久の歳月を掛けて祝福を施したからだ。そうなった今、もはや何事においても彼の出番は無かった。

 ただ何も無い真っ白な空間にただ一人ぽつんと存在するだけ。

 気晴らしに、いつの間にか世界に蔓延るようになった人間という種族の真似をして”優雅なティータイム”というものを体験している(何でも英国という国のスーツを着てシルクハットを被りながら音を立てず上品に紅茶を楽しむというのがこのティータイムのコツらしい)

 とはいえ、これも1000年程も続けていれば飽きがくるというものだ。

「暇ですね………」

 ポツリと呟くが返事を返すものは居ない。

 彼は溜息を吐くと自分が座っていた椅子から立ち上がり、コップとテーブル、そして椅子を”消した”。

「”世界”はこんなにも広いというのに、私は退屈を持て余して死にそうです。何か暇つぶしを見つけなければ」

 自虐的な笑みを浮かべた神はいつの間にか手に持っていたステッキを器用にクルクルと回し始める。すると突然、目の前に輝く扉が現れた。

「暇で死にそうなら、どこか出かけるのも悪くは無いかもしれませんね」

 そう言って彼は目の前の扉を開けて姿を消してしまった。

 そして残されたのは、ただ何も無い真っ白な空間だけだった。

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