お前の所へ
展開が急なのとプロローグとしては長すぎる・・・。
そして今回かなり長いです。
どうだ?醜いだろう。肌は紫だし、眼はなんかは全部黒だぜ。
だから、見せたくなかった。お前に嫌われてしまいそうで。
初めからこの姿なっていればこんな結末にならなかったと思う。
俺がお前を殺したも同然だ。
「たとえ、完全獣化でも、テメェを倒す。」
背後から強烈な魔力の圧縮を感じる。…まったくおっかないお姫様だな。
「ミウ…アレヲ殺しますわヨ…」
「リリアン、殺れると思ったら俺も巻き込ん構わない。」
「ハナカラそのつもりデス。あなたもソウデショウ」
「おう。」
覚悟なんてねぇ。お前がいないなら生き残る理由はねぇからな。リリアンもそうだしな。
フェムスは…ダメだ。二人で殺るしかないか。
「余所見とはナメられたものだッ!」
「魔砲召喚・火神」
俺がいた場所にめがけリリアンは躊躇いもなく魔道銃の引き金を引く。
火竜すらをも焼き払う紅き閃光が飛翔した俺の下を蹂躙する。
「っんぐ」
あの野郎は真正面から受け止める。
俺は奴の頭上から最凶の斬戟を放った。
「酒呑童子」
黒き斬戟と紅き閃光が混じり弾けた。
― ひれ伏せ 我は『暴食』の門番なり ―
突如あの野郎の声が頭に響く。
「あがぁっ!」
躯に尋常ではない圧力がかかり、堪えきれず俺は地に墜ちる。
ドンッメキメキメキ!
「アァァァァァッ!」
俺を中心に地面が陥没してゆく。全身の肉と骨が悲鳴をあげる。
「ミウッ!」
リリアンが俺のほうへ駆けてくる。
「ふむ。今のはなかなかよかった。誇るといい、人間相手に転身したのは久方ぶりだ。」
残光が薄れ、中から異形な者が現れる。体躯は二メートルを超え、黒い肉体には所々赤い線が走る。背中からさらに人の胴体ほど太さがある一対の腕が生えている。
「小娘、いやリリアンとミウといったな。」
奴は右腕を持ち上げる。
ズズズズ…
奴の周りの地面が隆起、いや浮遊を始める。徐々に球体に変化してゆく。そのかずは軽くみつもって50以上。
「我からの褒美だ。受けとるいい。」
右腕を振り下ろすとリリアン目掛けが球体が殺到する。
「ッ!魔弾装填!風霊」
対するリリアンは風の魔法弾で対抗するが数が多すぎて、射ち漏らしてしまう。
「アァァァァァァァァァァァァ」
リリアンの絶叫と肉を打ち据える音が響く。リリアンはかろうじて両腕で頭を庇うことに成功するが魔道銃の銃身へし折れ、左腕はと右足はあらぬ方向へとまがっている。
力が入らない。背中の羽は散り、霧散し、消えて行く。半獣化が解けてしまった。身体に掛かる圧力が更に増す。
「………ッ」
声すらも上がらない。このまま俺達は殺られるのか…。どうやらお前の所へ逝けそうだ。
― 其が触れしは天空神の怒り 其の身に受けしは裁きの神雷 天空神の審判 ―
「なッ!ガァァァァァ!」
あの野郎目掛け白き落雷から始まった雷よる大災害。周囲を巻き込み圧倒的な数の雷が幾度もあの野郎身体を貫く。
超短縮詠唱によるランク8声錬魔法「天空神の審判」
声錬魔法。呪文を唱えることにより発動する魔法の一種。魔法は難易度・必要魔力などからランク1~9まで割り当てられている。
ランク8、一般的には災害級と呼ばれる大魔法。発動は5人以上声錬魔導師により詠唱と魔力が必要である。
それを単身かつ超短縮詠唱をして発動出来るのは世界でただひとり、フェムスだけだ。
身体にかかる圧力が消えたが魔法の余波を受け大きく吹き飛ばされた。リリアンも同じく吹き飛ばされることとなった。
「これで終わりだぁぁぁ!ベルゼビュートォォォ!」
血を吐きながらフェムス叫び倒れた。無理もないランク8超短縮詠唱の反動による身体への大ダメージと世界一の魔力保有者といえども立て続けに上級魔法と災害級を使えば命の危険がある。
激しい雷が止み魔王が姿を表す。右腕は千切れ飛び、至るところ穴があいている。
「ガァァァァ!よくも人間の分際でここまでやってくれたな!」
「そ…な、これ…ダメ…んて…」
渾身の災害級魔法で魔王の右腕を削るだけだなんて。もう打つ手はない。
「君の所へ今逝くから」
「あなたの所へ逝きますね」
「お前の所へ逝くからな」
三人は意識を失った。
ながーい
あと3、4話ぐらいでエピソード0が終わり本編にはいります
ちなみに執筆速度は異様に遅いです。
書き貯めをいっきに放出しております。