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【第五話】燃え残り
この街は、かつて血で栄えた。
そして今も、誰かが自分の血を燃やしている。
彼は爆発犯だ、罪人だ。
それでも一部の人間は、彼をこう呼ぶ。
――仮面の英雄、と。
俺の仕事は、その男を止めることだ。
廃棄区画の奥。
崩れた建物の影で、青い炎が小さく揺れている。
白い仮面の下で、呼吸が浅い。
指先が震える。
血が足りない。
だが、止めるわけにはいかない。
ゆっくりと仮面を押さえる。
焼けた鉄の匂い。
焦げたコンクリート。
そして、あの夜の地下の匂い。
血と、焦げた肉。
「……遅い。」
呟きは、夜に溶ける。
まだ残っている。
根は、完全には焼けていない。
炎を消せば、また始まる。
だから燃やす。
終わらせるために。
救うために。
殺す。
青い炎が、わずかに強まる。
肺が軋む。
視界が霞む。
限界は、近い。
だが――。
あの若い声が、耳に残っている。
まっすぐな目。
燃やすことを拒んだ目。
あれは、かつて自分が持っていたものだ。
炎が揺らぐ。
迷いはない。
ただ、選び続けるだけだ。
自分の血で。
夜空に、青が溶ける。
【登場人物】
仮面の男:???




