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VRMMOの世界で怖いお兄さんをしています〜本当はVRでお茶会エンジョイしたかっただけなのに〜  作者: 春咲 イブキ
第2章

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第45話 魔術都市シュマリエ



「シュマリエ魔術学院! 素敵な響きです……!」


 隣から、嬉しさとわくわくが伝わってくる声がする。そちらを見ると、ヨツバくんがおめめをキラキラと輝かせていた。


「PiPi〜……?」


 語尾上がりのエラー音。目の前を漂う歯車入りのしゃぼん玉が、首を傾げるように左に傾く。

 すぐに傾きを戻したしゃぼん玉が、一度だけ黄色にきらんと光った。


「検索のケっか おフたりに ニュウ学シ格は ない ヨうでス♪

 ゴ用件を お伺イ イたしまス♪」


 〈ストーリー開始時に自由選択を選ばれたため、自由選択で進行しております。メニューから変更可能です〉


 私たち入学資格ないんだ……、と思っていたら、ぴこん、と視界の端にシステム通知が現れる。ちらりとヨツバくんを見ると、任せてください、とでも言うように笑顔で頷いてくれたので、ヨツバくんに任せることにした。


「僕たちはシュマリエの魔術師ギルドに用があって来ました。ファルシュトの魔法ギルドから荷物を運ぶように頼まれていて……、荷物はこれです!」


「Pi〜~♪ うソは ない ヨうでス♪

 シュマリエ の 入都許可①を 付与 しまス♪」

 

「わぁ……!?」

「……す、ごい…………」


 シュマリエの入都許可①を付与されると、パッと視界が変わる。先程までは、不透明のしゃぼん玉のようなもので囲まれていて、見ることは叶わなかったシュマリエが、出現した。

 

 ……あ。出現した、って言い方はおかしいか。

 

 シュマリエを覆い隠していた不透明なしゃぼん玉が、透明に変化して、中が見えるようになったって感じ。透明に変化したしゃぼん玉がキラキラとオーロラ色に煌めいている。


 入都許可①、ということは②もあるのかな?


「Pi♪ あんなイは 046-Qが いたシまス♪」


 ふわりと、説明をしてくれていた個体とは違う子が近付いてくる。しゃぼん玉みたいな身体に歯車が埋め込まれた見た目は同じだけど、こちらの子はてっぺんからネジが3本飛び出ている。


「Qururi♪」


 挨拶するように2回くるりと回った。しゃぼん玉に刺さっているだけで、どこにも引っ掛かっていなさそうなネジが落ちてしまいそうなのに、落ちることなくついたままだ。


「えぇっと……、ぜろよんろく、きゅう……よろしくね! じゃあネイビーさん行きましょう」

「はい。よろしくお願いします046……きゅう……?」


 喋りながらちゃんと聞き取れていたか不安になる。ぜろよんろく、きゅう……。覚えにくい。

 

「Quru ru Qu♪」


 その子は踊っているかのようにふわりふわりと揺れて、スイーッと道を進んでいく。ちょっと進んだら、またふわりふわりと揺れて、私達がついてきているかを確認している。

 

 ……この子、しゃぼん玉に歯車とネジで可愛さとかない気がするのに、動きと声が可愛くて、可愛らしい生き物に見えてくる……。


「Qu ru ru ri!」

「あ、ここ? 入口からすぐでしたね。」


 046-Qが止まったところにある建物を見上げたら、ステンドグラスの大きな窓が目を惹く建物が立っていた。きらきらしていて凄くきれい……。

 

「QuQuri〜♪」


 任務は完了、といったふうに046-Qはふわりんと一回転したら、シュマリエの入口の方へと帰っていく。046-Qに向かって手を振りながら「ありがとう〜!」と言っているヨツバくんに習って、私も小さく手を振りながら「ありがとうございます」といった。

 

 …………というか、ヨツバくんのタメ口レアすぎる。ラビに対してはタメ口だからたまに聞くけど、私に対しては敬語だからレアすぎてどきどきする。

 ……私にもタメ口で大丈夫なのにな……。敬語キャラプレイングしている私が強要はできないけども。


 そんなことを考えながら、魔術師ギルドの扉を開いて中に入っていくヨツバくんに付いていく。


「すみませーん。ファルシュトの魔法ギルドからお荷物運んで来ました!」

「! ファルシュトの魔法ギルドからですか!? 助かりました……! 本当に、ほんとう……に……!!

 こちら残りの報酬です。確認お願いします」


 〈メインストーリー『シュマリエ』をクリアしました〉

 〈プレイヤーランクが10に上がりました〉


 やった! ストーリークリアの経験値でランクが上がったから、これでお庭の五段階目の拡張ができるはず!

 ……まだお金が足りないから、拡張するのは露店のものが売れたらだけどね。露店もイベント開始の10時に合わせてあるから、数日待ちの時間だね。

 売れるといいなー。

  

「ありがとうございます! ……この報酬の魔石ってなんですか?」

「魔術でつかうものですよ」


 ヨツバくんは早速報酬を確認して、見慣れない魔石に目を輝かせて質問している。そうして返ってきた、「魔術でつかうもの」という言葉に更にお目々をきらきらさせている。今日も美少女だね。


「どういう感じに使うんですかっ? 僕も使えますか!?」

「魔術は魔力が低い方でも扱えますが、魔術式が書けないと難しいので、誰かに師事するか魔術学院に入学するか……、になりますね」

「魔術学院……。あの、入口の子に入学資格はないと言われたのですが、どうしたら入学できますか?」

「あぁ、あの子達は入学許可証を持っているか持っていないかだけを判別しているんです。

 なので、入学試験に合格すれば誰でも入学可能ですよ。国立魔法学園と違って、シュマリエ魔術学院は身分も魔力量も関係ありませんから!」

「なるほど……、ありがとうございます!」


 ヨツバくんが質問してくれているのを隣でふむふむと有り難く聞いてる。それにしても試験か……。頑張れば魔術学院なら入れるんだね。国立魔法学園、の方は身分も魔力も必要そうな言い方だから難しそうだけど……。


 ……というか、国立魔法学園も初知りだよ!

 

「あ! あと、あの子達……046-Qたちって生き物なんですか?」 

「あぁ、あの子達ですか。生き物ですよ。機械精霊に分類されます」

「きかいせいれい……?」

「はい。機械に精霊が宿ると、機械精霊と呼ばれるのですが…………。あの子達は、歯車の時点で宿っていた子たちですね。厳密に言えば歯車は機械ではないので、別の言い方もありますが…………これ以上は講義となってしまいますので、これもぜひ魔術学院で学ぶと良いでしょう」

「わかりました。頑張って入学します!」


 ふんす、とヨツバくんは両手で拳を握っている。ラビもヨツバくんの足元で力強く頷いていてかわいい。やる気に満ち溢れている。

 魔術師ギルドの方が「また質問がございましたらいつでもお気軽にどうぞ」と優しい言葉をくれたので、ヨツバくんと共に感謝を告げた。

 


 ◇ ◇ ◇


 

「………………試験……。試験、かぁ……。

 ネイビーさんは、勉強得意ですか?」

「…………運動よりは得意です」

「僕は運動のほうが得意ですね。でも、不器用なので、実技もものによっては無理かもしれません。…………試験対策、必要になるのかな……。

 でも、まずは明日から始まるイベントをめいっぱい楽しまないとっ、って思いますが」

「ラッビィッ!」


 またヨツバくんはさっきみたいに、ふんす、と拳を握って、ラビも同意するように鳴き声を上げる。


「ネイビーさんは、魔術学院興味ありますか?」

「あります。……試験は怖いですが」

「怖いですよね! でも、僕もネイビーさんも合格できたら同級生で楽しそうじゃないですかっ?」

「確かに楽しそうです」


 私も魔術は気になるし、機械精霊も気になる。それに、ゲームの中での学校だから、現実よりもゆるそうだし…………。と、言うのは願望かな?

 


 ヨツバくんがフッ……と遠い目をして呟く。


「はぁ……学校卒業したのにまた試験で頭を悩ませるなんて…………」

「──えっ!?」

「…………エッ? な、なんですかネイビーさん」

「……いえ、その。ヨツバくんって学生さんだと思っていたので」

「エッ!? 成人済み社会人です!」

「成人済み社会人…………」


 この美少女男の子(矛盾)が…………?


「…………え?」

「宇宙背負わないでください。よく見てください、未成年だとフレンド機能の一部に制限かかりますけど、僕かかってないですから」

「……そんな、制限があることすら……知らなくて…………。えぇっと、ヨツバさんって呼ぶ方が良いですか?」

「良くないですね。今までと変わらずくん付けで呼んでください! 呼び捨てでも可です!」

「呼び捨てよりはヨツバくんって呼びたいです。……ヨツバくんも呼び捨てタメ口で良いですよ」

「…………それは……ちょっと……」


 何故に。というか、デジャブ。

 出会ったばかりの頃にもこんな会話があったような気がする。「ネイビーさんにタメ口はちょっと…………」みたいに言われた気がする。


 まぁいいか、敬語だからって距離は感じないし。


「……あ、気が付いたら現実じゃ23時になりそうです。大丈夫ですか?」

「大丈夫ですが、流石にそろそろログアウトします。折角のイベント、寝坊してスタートダッシュ出来ないのも嫌なので……」

「ですよね! 僕もログアウトして寝ます!」


 それじゃあと手を振ろうとして、ヨツバくんが「あ!!」と大きな声をだす。


「ヨツバくん?」

「あの、ネイビーさん、花装備を露店で出すって言ってましたよね。アレですか、イベント開始とともに売り出したりみたいな………?」

「しますね」

「エッ。が、がんばります……奪い合いだあ…………10時前は露店待機にしよ……」

「……欲しいのあれば取り置きしておきましょうか?」

「う、ぅ゛〜〜、悩みますが、フェアじゃないですし、ワンピースに花刺繍はしてもらったので、今回は正々堂々ネイビーさんの生産物、勝ち取ってきます!」

「頑張ってください……?」


 そんなに頑張らなくても買えると思うけど、やる気に満ち溢れているヨツバくんに水を差すこともない。万が一ヨツバくんが買えなかったとしたら、ヨツバくんが欲しいものをオーダーメイド……的な感じで作ってあげよう。

  

 結構、強気に値段を付けたから、イベント特効ポイントが付く花装備だとしても、すぐ売れるなんてことはないと思うんだよね。それに、ヨツバくんが欲しい効果付きもないかもしれないし。


「……それじゃあ、今度こそログアウトします。今日はありがとうございました。楽しかったです!」

「俺も楽しかったです。こちらこそありがとうございました。明日からのイベントも一緒に楽しめる部分は、一緒にできたら嬉しいです」

「ぜひぜひ! イベントも一緒に楽しみましょうね。それじゃあ、またあした!」

「はい、また明日」


 ぶんぶんと手を振るヨツバくんに手を振り返して、別れる。パッと目の前からかき消えたヨツバくんの後に、私も遅れてマイルームへと戻る。


 よし、ログアウトしたらさっさと現実で寝よう。

 ついに明日はイベントだー!! たのしみー!!




予定、が未定すぎて土下座。


次の第46話はイベントの朝の話で、第47話からイベント開始です。

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― 新着の感想 ―
こちらまで、イベントが楽しみでなりません……ゲームプレイヤーじゃないのに(笑) 寒い中、更新ありがとうございました。
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