第41話 花壇づくり
お久しぶりです。連絡もなく長期休止すみませんでした。
前回までのあらすじ
ガーデンパーティを目指して『オシャレお庭計画』を立てたネイビー。まずは、噴水(未設置)の周りを花壇で囲もうと思い、花壇作りを開始した。花祭りイベントの開始までに花壇を作っておいて、イベント開催と同時に花も植えたいからね!
花壇を作るために黙々とレンガを積んでいくこと3時間、レンガを使い切ってしまった!買い足しに行こう……と思ったところ、1時間前にフレンドのヨツバくん(美少女みたいな男の娘)からメッセージが届いていた──。
『今何してますか?』
ヨツバくんからのメッセージはいつも通りの文言だった。1時間もメッセージを無視するなんて……!
私は慌てて『返信遅れてすみません。花壇づくりしていて気が付きませんでした』と送った。
…………。
……待って? 送ってから気が付いたけど、もし来るってことになったら私の『乾燥魔法』が見られちゃうんじゃ……? あの、元気なお歌を歌うしかないネイビーくんが…………。
えーー!! どうしよう!
行ってもいいか聞かれたら無理、って断る!?
でも、折角のお誘い断りたくない……。
『花壇ですか!? すごいですね! 見に行っても良いですか?』
わぁぁ、予想の通りの返答でした。どうしようかな。うぅん……ヨツバくんだし……それにずっと隠し通せるとも思えないし、バレるなら早めのほうが良いかもしれない……。
よし覚悟を決めて良い、と送ろう。
『良いですよ』
『ありがとうございます! すぐ行って大丈夫ですか?』
『大丈夫です』
『分かりました! 行きますね!』
ふぅ……そわそわしちゃう…………、と思ったけど、そわそわする暇もなくヨツバくんは来た。ワープしてくる瞬間を見るのは初めてだ。しゅん、と突然現れた。
「わ、おはようございます、ネイビーさん!」
「おはようございます、ヨツバくん」
ワープ地点からラビを抱えたヨツバくんが小走りで駆けてくる。そして、まだ途中の花壇を見て歓声を上げた。
「わぁっ! すごい! 手作りですか!?」
「そうです」
「凄いですね。めちゃくちゃオシャレです」
「ありがとうございます」
えへへ、褒められた。嬉しいね。
「まだまだ作業するんですか?」
「そうで、…………」
……レンガが足りないんだった。買いに行かないと作業が続けられない。
「すみません、これからレンガ買いに行ってきます。買ってきたら完成まではやろうと思ってます。……えっと、一緒に行きますか? 待ってますか?」
「一緒に行きます! ……あ、ラビはお留守番ね!」
「ラビィ……」
ラビはちょっとしょんぼりしたお返事だったけど、ヨツバくんに下ろされてすぐにレンガの花壇に近寄っていった。匂いをくんくんと嗅いだラビは、花壇を気に入ったのか噴水花壇の周りをくるくる走りまわっていて、楽しそうだ。
「……それじゃあ行きましょうか」
「はい!」
◇ ◇ ◇
「お、花壇完成したのか?」
園芸屋さんに辿り着いてすぐにおじさんが気が付いてくれたけど、おじさんが望む言葉は返せない。
「……いえ、レンガが足りなくて」
「あぁなるほど。いくつ買う? ……また99個か?」
最後の言葉は笑いながらからかうように言われた。……確かにいつかは使うだろうから99個でも良いんだけどね。でも、所持金約2万Gを見ちゃうと節約しようって気持ちになるのでぴったり18個買おうと思います。
「18個でお願いします」
「分かった」
よし、買えました。隣にいるヨツバくんは園芸屋さんの店内を興味深そうに見ている。キョロキョロ周りを見る姿は可愛い。あ、と口を開けたヨツバくんが花の植木鉢が置かれているエリアに駆け寄っていく。
「あの、この花ってなんですか?」
「ファルシュリーだな」
「ファルシュリー……? 初めて聞きました。とっても可愛いですね!」
「ありがとよ。こいつはファルシュトの名産で、シンボルとも言える花なんだ。しかも、このファルシュリーは可愛いだけじゃなく軽い怪我を治せる効果がある。それもあって、この街じゃどの家も一本は生えてるぜ」
「そうなんですか、すごいですね……!」
ファルシュリーは、ヨツバくんが言うようにとっても可愛い花を咲かせている。花の形は八重桜っぽくて、だけど色は青色をしている。外側は薄い水色で内側にいくに連れ、濃い青色のとても綺麗な花。
桜とは違って、黄緑色の葉っぱも一緒に生えているのも瑞々しくて見ているだけで目が癒やされる。
「これって、地面に植えないとだめですか? それとも、植木鉢のままでも育てられますか?」
「どっちでも大丈夫だな。植木鉢に『抑制魔法』がかかってるからそのままなら余り大きくならねえし、逆に地面に植えたら抑制が消えて大きくなるぞ」
「なるほど……。それにしても『抑制魔法』ですか! 初めて聞きました!」
ヨツバくんは初めましてな魔法に目を輝かせている。
「俺も詳しくはねぇんだ。なんてたって、魔法がかかった状態の植木鉢を仕入れてるからなぁ」
「そうなんですね。因みにどこから仕入れているんですか?」
「魔法ギルドだな」
「魔法ギルド!? そんなのがあるんですか!?」
「……そんなことも知らないのか? そんなんでよく旅してきたなぁ……」
「あ、はは…………」
「まぁいい、ここからだとちょっとばかし遠いが、冒険者ギルドや生産ギルドからはすぐだぞ。マップに書いといてやるよ」
「わ! ありがとうございます!」
「どうせあんちゃんも知らないんだろう? 書いといてやったからな」
「……俺までありがとうございます」
わ、ほんとだ。マップを見ると冒険者ギルドの近くにある脇道を進んだところあたりがピコピコと光っている。魔法ギルドそんなところにあるんだ……。
多分これも住民に教えてもらうまでは道が解放されていなくて行けないやつなんだろうなぁ。
「あ! 話が逸れちゃいましたが、このお花──ファルシュリー買わせてください! あと、ジョウロもお願いします」
「おう、合わせて1300Gだ」
「分かりました!」
ヨツバくんは良い買い物が出来た、と幸せそうに笑っている。
それじゃあ買い物も終わったことだし、マイルームに戻りましょう!
◇ ◇ ◇
戻ってきましたマイルーム!
それでは、残り18個のレンガを積んでいこうと思います!
「ネイビーさん、僕もレンガ積むの手伝っても良いですか!?」
期待に瞳を輝かせたヨツバくんにそう言われて、断れる人がいるだろうか。否、いない。
「良いですよ。レンガの側面に硬化魔泥……この泥ですね、これを付けてぎゅっとして積んでいく感じです。俺は右側から積んでいくので、左側から積んでいってもらってもいいですか?」
「分かりました!」
私が取り出したレンガを掴んで硬化魔泥を側面に塗ったヨツバくんは、意気揚々とレンガ積みに向かった。……だけど、すぐに肩を下げて落ち込んだように帰ってくる。
「……ネイビーさん。僕、これ、向いてないです……上手にできません……」
「えっそんなことないですよ!? 上手にできてますよ」
「でも……。ネイビーさんが積んだところと比べると不格好なので……、僕は見学してますね」
「わ、かりました」
ヨツバくんがやったところが不格好だとは思わないんだけどなぁ……。でも、「ラビぃ……慰めてぇ……」と言いながらラビに抱き着いている姿は可愛い。癒やしだ。
よし、兎に角続きを頑張っていこう。
黙々と進めながらも、たまに顔を上げて、ヨツバくんとラビの駆けっこに癒やされたりしながら作業を続けた。作業をすること30分ほどで完成した。
「積み終わりました」
「お疲れ様です!」
「……それで、最後に『乾燥魔法』をかけないといけないんですが……」
「『乾燥魔法』ですか!? 新しい魔法!? すごい!」
ヨツバくんが手放しで褒めてくれるけど、『乾燥魔法』の発動方法を考えるだけで恥ずかしさが勝ってしまう。
「…………あの、見ても笑わないでください」
「? はい……」
「じゃあ行きます」
私は気合いを入れてから『乾燥魔法』を使用した。
「かっんそうっ、かっんそうっ、かっかか、かっかか、かっんそうっ」
「!?」
うぅ恥ずかしい……。でも、見事魔法は成功した。硬化魔泥はよく乾燥し固まっている。
「……できました」
「? …………???」
「宇宙背負わないでください」
目をまんまるにしたヨツバくんが不可解、と顔に書いてある様な顔をしている。目を何度もぱちぱちとさせていて落ち着きはないし、少し眉間にシワも寄っている。そのまま首を左に傾げ、今度は右に傾げ、と繰り返している。
「…………? ……僕、幻聴が聞こえたかもしれません」
「多分それ、幻聴じゃないですね」
「幻聴じゃ、ない……???」
「いや俺としては幻聴として処理してもらっても構いませんが」
うん、本当幻聴としてなかったことにしたほうがいいかもしれない。あれを覚えられているのは恥ずかしいもん。
「なんかこう……。かっんそうっ、かっんそうっ、かっかか、かっかか、かっんそうっ……みたいな歌が…………」
「口に出さないでください」
「すみません……って、あ!」
「ヨツバくん?」
「……ぼ、僕も『乾燥魔法』が解放されました」
「…………」
「…………」
えーっと、『乾燥の歌』仲間ゲットかな?




