第32話 転職先2
「じゃあ、次の転職は誰が行く?」
「私が行くね〜」
「分かりました。僕が最後ですね」
神官様に声を掛けたプラムさんが、さっきの私と同じように呪文のようなものを唱えてもらっている。受けている最中は気付かなかったけど、もらったスクショと同じようにプラムさんたちの周りをキラキラが舞っていてとても綺麗だ。
「道は示されました」
「ふむふむ……。ありがとうございます!」
そう言ってプラムさんがニコニコで帰ってくる。
「結果発表は、ヨツバくんと同時がいいな。それでもいーい?」
全員頷いたので、ヨツバくんが「行ってきます」と神官様のとこに向かう。また同じようにキラキラ光っていて綺麗だ。……聖女になりたいと言っているヨツバくんだけど、この姿は本物の聖女みたい。
帰ってきたヨツバくんはプラムさんの顔を見て頷き合っている。何かを無言で話し合っているかのようだ。……なんだろう?
「じゃあスクショ送るねー」
「僕も送ります!」
そう言って送られてきたスクショの職業部分を見る。
ええっと。
「プラムさんが『天気予報師』で……」
「ヨツバくんが『洗浄師』……? なにこれぇ?」
リタくんの言葉に私はハッとして、顔を逸した。これって、これって、──二人が持ってる魔法からの派生だ……! なんか、気まずい……。
「うんうん、ヨツバくんもサブ職業みたいだね。自分の職業見て、もしかして、と思ったんだよね」
「僕も、職業示されてから、同時に発表したい意味を察しました」
「ね~これは同時がいいよね。因みに、サブ職業だからかステータスに変動はないです!」
「僕もです」
「ステータスに変動はないんだぁ……。というか、なに? 二人は何か分かり合ってるし、ネイビーも様子がおかしいし、分かんないの僕だけぇ? 説明は……天気予報ができる者、と洗浄できる者、としか書かれてないし意味分かんない。情報少なすぎ」
リタくんの顔を直視出来ないや。……と思って、目を逸らしていたんだけどふと気付く。
「あれ……なんで私は洗浄師出てないんだろう……」
「ネイビー!?」
ハッとして口を手で押さえる。心の声がぽろりと漏れていた。
「なるほど〜ネイビーくんも覚えてるんだ」
「……はい、覚えてます。プラムさんの教えてもらったときに言えなくてすみません」
「いーよぉ。ヨツバくんとの秘密、だったんでしょ」
「そうです」
「……ネイビーさん、本当良い人ですね。内緒にしてくださってありがとうございます」
「いえ、約束だったので」
「えっ、なに? 僕だけ秘密!? えーー秘密にするようなこと、でしょ…………もしかして魔法、とか!?」
その言葉に全員で顔を見合わせてから、同時に頷いた。
「──えっつまりみんな魔法覚えてるってこと!?」
そういったリタくんの顔があまりにも悲壮感いっぱいで、全員で顔を逸らす。ごめんねリタくん……。
「この裏切り者ぉ〜ッッ!」
リタくんの叫び声がこだました。
◇ ◇ ◇
「……まぁ良いけどね、僕が求めてる魔法は攻撃魔法だし。みんなのは生活魔法? みたいなのっぽいし。でも、僕だけ転職できなかったし魔法もないの悲しすぎる」
「ごめんね〜」
「すみません」
謝ったらヨツバくんと謝罪がハモった。
「良いけどさぁ……。それで、『天気予報魔法』と『洗浄魔法』ってこと?」
「そうです」
「で、ネイビーも『洗浄魔法』を覚えてるのに『洗浄師』が解放されなかった、と」
「……そうです」
「解放されなかった理由、スキルレベルの違いなんじゃないかなって思いました。ネイビーさんスキルレベルいくつですか?」
ええっと『洗浄魔法』のスキルレベル……確認してみたら3だった。地味にポットやカップなどに使っていたからか、気付かないうちに少しだけ上がっていた……。
「3レベです」
「3レベ……。僕は22レベです」
「22……22……!?!?!?」
た、高すぎない!?
「私の『天気予報魔法』は18レベだよー」
「……ってことは、キリよく15レベでサブ職業に就職可能なのかな?」
「そうっぽいですね! 20かとも思いましたが、プラムさんが18なら15の可能性高そうです」
「まぁ、魔法毎に違ったらお手上げだねー」
「ですね」
「なるほど……」
「あ、因みにネイビーって、裁縫レベルはいくつ?」
裁縫レベル? 裁縫レベルは……。
「16です」
「15超えてるんだ……。生産系は15じゃまだ就職するには低いのかな?」
「生産系と魔法系の差とかかなぁ? 天気予報するにはMP消費が必要なんだけど、生産はMP消費しないから、難易度が違うとかありそう!」
「プラム頭良い〜」
「やったぁありがとう」
みんなすごい……。勉強になる。
あとは、生産職は、弟子入り必須な可能性も話に出た。実際、鍛冶工房に弟子入りして鍛治師見習いになった人がいるからだそうだ。……でも、全員弟子入りはゲームと言えどきついだろうから、スキルレベルいくつ以上で見習いが取れたサブ職業に就職できるんじゃないかな〜っていうのが、リタくんの有力な予想だそうだ。
そんなこんなでわいわい話し合いは進む。途中で騒ぎすぎたかな、と思って神官様を振り返ったけど、ニコニコしていたので大丈夫そうだと一安心した。
◇ ◇ ◇
教会とは打って変わって、只今フィールドにおります。
何故かというと、『平和な旅人』のレベルを上げたら、回復系のスキルとか何か面白いスキルが解放されるんじゃないかと誰ともなく言い出したので、私のレベル上げと相成った。
高レベル者3人によるキャリーによって、あっという間に私のレベルが上がっていく。そうして、ついに待ちわびた時が来た。
〈平和な旅人レベルが15に上がりました〉
〈『手当て』のスキルが解放されました〉
「! 『手当て』が解放されました」
「わ、おめでとう〜」
「おめでとうございます」
「よぉし、ちなネイビーいま何レベ?」
「15です」
「なるほどぉ。15で解放なんだ〜。……でも解放されて良かった……解放されなかったら骨折り損になるところだった。
それで、たぶん回復だと思うから嫌じゃなきゃ早速取得してほしいな〜」
「はい。俺も気になるので取得しますね」
サクッと取得です。取得した『手当て』スキルを確認していく。そうしたら『応急処置』っていう技が増えていた。
「取得したら『応急処置』を覚えました」
「へぇえ! 早速使えそう? どう?」
「使用は…………あ、『素材が足りません』って出ました」
「素材ぃ?」
「お薬とか?」
「……包帯とかですか?」
「えぇなにそれリアルすぎる! 平和な旅人……って、薬師系ヒーラーなの!? え、なんの素材が足りない、とかは出てるの?」
「…………出てないですね」
何度使おうとしても、『素材が足りません』と出るだけでなんの素材が足らないのか情報はない。
「……よし、素材調達をしよう」
その一言でファルシュトへとんぼ返りすることになった。




