第27話 リタくんにプレゼント
よし、リタくんにバラのハンカチを渡そう。
……みんなの前で渡すの恥ずかしいな??? 手渡しじゃなく、サクッと持ち物から譲渡してしまおうっと。
「お、なになに? ……バラのハンカチだって! かわいいー!」
リタくんは早速持ち物から取り出してハンカチを広げている。しかも「見てみて〜!」ってヨツバくんとプラムさんにも見せびらかしていて、私が恥ずかしい。
「かわいいねぇ」
「ネイビーさん凄いです!」
「……ありがとうございます」
にこにこ見守るかのようなプラムさんと、どこかうずうずしているヨツバくん。……うずうず?
「…………それで、どんな効果がついてますか!」
「ヨツバくん、それ聞いちゃう? でも私も気になってた!」
あ、効果……。プラムさんのワンピースは渡す前に確認したけど、ハンカチは確認してないや。どんな効果がついているんだろう。
「効果はねぇ、『攻撃力+4』と……えっ、『魅力アップ』だって! ステータスにはないのに、魅力値とかもあるんだこのゲーム」
「『魅力アップ』ですか……。このゲーム、幸運値もあるっぽいですよ。僕がいただいたハンカチは『幸運アップ』がついてました」
「へぇえっ、……もしかしてデザインは四葉のクローバー?」
「そうです」
「名前からそうかなって思った! じゃあこれも、バラデザインから魅力、なのかな?」
「ありそうだねぇ。私のプラムのハンカチは魔力アップだったんだけど、プラムって魔力に関係があるっぽいんだよね」
「プラムは魔力関連の果実………! 覚えておこっと」
リタくんがパッとメモ機能を立ち上げて、メモしている。ペンは……鉛筆。リタくんが書きやすい筆記具は鉛筆なんだね。形は六角形鉛筆だった。
「それにしても魅力アップかぁ……、魅了、とかできちゃう!?」
「わあいいね! リタくん、既に美貌の少年だからモンスターを魅了して足止め、とかできちゃうと思う!」
「えー楽しそう!」
魅了、かぁ。
「あと、気になってたんだけど、プラムのそのワンピースってネイビー作?」
「そうだよー」
「いいなー! 僕もお花お洋服欲しい。……え、因みにお金は5倍? 6倍?」
「私は6倍支払ったよー」
「じゃあ、僕も6倍支払う! ……ので作ってくれませんか! ネイビー!」
そう言って、パッとこちらを向いたリタくんが凄い勢いで頭を下げる。その勢いに少しビビる。ビビりながらもこくりと頷く。
「……良いですよ。ただ、開催まで時間がないので、ハンカチと似たようなデザインでも良いですか?」
「うん、大丈夫! このバラのデザインすっごく気に入ったもん」
「なら良かったです」
リタくんとの会話を終えて、ちらり、とヨツバくんの方を見る。目があったヨツバくんは、口を開閉して、言っていいのか言わないほうがいいのか悩むような顔をしていた。……うん、何が言いたいかわかるよ。
「ヨツバくんもお花のお洋服いりますか?」
「! 欲しいです!」
ほら、やっぱり。ヨツバくんはお顔を輝かせて、全身から喜びを溢れ出させる。かわいい。
……と思ったのに、すぐに顔を曇らせて視線を彷徨わせる。どうしたんだろう……。
「あ、あの……」
「ヨツバくん?」
「この水のゆらめきワンピースに刺繍してもらうことは可能ですか……!」
なるほど……。一度作ったものに、後で足す……とかはまだしたことないけど、既製服にも旅人の服にも刺繍ができるんだから、きっとできるはず……!
「できると思います。……場所は左の胸元に刺繍しようと思ってるんですが、そこにハンカチと同じ白詰草の花束を刺繍する……、のはどうでしょうか?」
「! 良いと思います……!」
今度こそ憂いなく喜んでくれている。
「ヨツバくんはかわいいねー。僕、花冠でも付けてほしくなっちゃったよ」
「わぁ素敵! ヨツバくんだし、白詰草の花冠をぜひ付けてほしいよね」
「わかるぅ」
「エッ」
「そんなヨツバくんに朗報です。なんと、僕! クローバーの種を持ってます! ……ネイビーに送るので、ネイビーに作ってもらいなさい」
「エッ」
「えっ」
「さっき栽培取るって言ってたもんねーついでだと思ってお願い!」
またもや状況についていけない者が二人。
わぁ……本当にクローバーの種届いた……。って、クローバーの種が50個、ってどうしたのこれ!?
「ネイビー、お礼はいらないよ。バラのハンカチのお礼だと思って受け取ってね」
「ありがとうございます……。こんなにどうしたんですか?」
「住民クエストクリアしたらもらった。運が良いのか悪いのか、クリアしたクエストの半分以上がクローバーの種が報酬だったんだよね」
「……すごい、ですね」
「えぇっそんなことあるんだ! 私は色んな種類の花の種だったよ。……因みに、種は私もネイビーくんに押し付けました」
「やっぱり押し付けられてる」
もらったからには、白詰草の花冠作りたいな。お庭のいい感じのところ……に植えよう……。
それにしても、みんな住民クエストいっぱいやってるんだなぁ。私、ルウさんのクエストしかやったことないや。
「皆さん住民クエストもやってるんですね。僕あまりできてないです」
「! ヨツバくん、同じです」
「わ、良かったです」
仲間がいたー! よかった。
「そーいえば、二人は何の用でネイビーのところに来たの? 今更だけど、僕って邪魔してる?」
「私はこのワンピースの受け取りに来てたとこだよー」
「僕はネイビーさんのお裁縫を見に来ました」
「お? お裁縫とな…………?」
「ふふ、私もお裁縫見ていきたくなっちゃって、ワンピース受け取った後も残ってるんだ」
「へぇえ?」
全員の視線が私に向く。
「……ええっと、お裁縫しましょうか……?」
「うん!」
元気なリタくんの返事を機にお裁縫をすることになった。何を作ろうかな……。あ、リタくんとヨツバくんのお花お洋服を作っちゃおうかな。
うん、そうしよう。
いざ刺繍です!




