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VRMMOの世界で怖いお兄さんをしています〜本当はVRでお茶会エンジョイしたかっただけなのに〜  作者: 春咲 イブキ
第2章

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第6話 露店用のテーブルクロス


「この後は何するんですか?」

「この後は…………ハンカチが作りたくて……」


 と言いながら思い出す。


「ごめんなさい嘘です。露店用のテーブルクロスが途中なので、その作業をやります」


 ハンカチ……作りたかった……。

 だけど、テーブルクロスを途中のまま放置したら、一生完成しなさそうなので、先に作り上げてしまおう。そう、大量タッセル作りです。

 既に形だけは出来ているテーブルクロスを取り出す。あと何個作れば、垂れ下がる部分の辺をタッセルで埋め尽くせるんだろう。


「露店用のテーブルクロスですか! って、エッ……。もしかしてその布は『木々のゆらめき』ですか?」

「そうです」

「…………。ネイビーさんに言ってはいけないことだとは思うんですが……、『木々のゆらめき』が露店用のテーブルクロスになるの……めちゃくちゃ勿体ないですね…………」

「そうですか?」

「そうですよ! ……で、でも、ゲームなので好きにやるのが一番です!」


 そう言いながらも、ヨツバくんの顔はなんだか悔しそうだった。……私だって、服を作る前にテーブルクロスに布を使う、ってことは自重したんだよ?

 ちゃんと服を作れたので、余りの活用です!


 ……その活用方法も、装備にしたほうが良いってことなんだろうけどね。しょーがない、私はエンジョイ勢なので。

 刺繍糸を取り出して、椅子の手すりに糸を巻き付けて、タッセル作りを開始していく。どんどん作っていくぞー!


「これから、タッセルを作っていきます」 

「…………エッ、タッセルって肘掛けで作れるんですか!?」

「……普通は厚紙とか使うんですけど、代用出来そうなものがこの……手すり……、肘掛け? しかなくて、ですね。代用してます」

「なる、ほど……」


 ヨツバくんは困惑した顔をしている。


「多分、見ていてもつまらないと思うので……戦闘とかしにいったほうがいいと思います」

「……それは、つまり邪魔ってことですか?」

「!? 邪魔じゃないですよ! ヨツバくんが大丈夫なら好きなだけいてください」

「よかった……。それなら、見ていきます!」


 わくわく、と顔を輝かせているヨツバくんに、これ以上返せる言葉はない。こんな単純作業見ていても楽しいとは思えないんだけどなあ。でも、ヨツバくんが見ていきたいなら止めることはない。


 そう思いながら、手を動かすのはやめずにタッセルを作成していく。何度も作っているから慣れたものです。……でも慣れているからこその、飽き! もう作りたくないよ!

 早く終わらせて、自由にハンカチに刺繍がしたいです。まずは、プラムさんの分を作りたいなぁ。水曜日のお茶会で渡せたら素敵だと思うんだ。


 現実逃避をしながらもタッセル作りは進む。


「…………大量ですね?」

「ここ一列にずらーっと付けたくて」

「なるほど」

「…………でも、タッセル作るの飽きてきたので一度縫い付けて見ます」


 よし、縫おう!

 

 縫う方が好きです。……多分。

 ……ひたすら同じような縫い作業でも飽きるかもしれないから、多分がついてしまう。でもほら、今現在の気持ちとしては、縫い作業の方が好きなので、間違ってないよね。うん。


 それにしても、テーブルが小さくてやりにくい。

 ……露店のテーブルって持ち物にしまえるのかな? しまえるとしたら、露店テーブルの方が大きくてやりやすそう。


「露店に行ってきます」

「露店、ですか?」

「……露店のテーブルがしまえるか確認したくて。しまえたら、そのテーブルで作業した方がやりやすいと思ったので」

「なるほどー! 僕も行きます!」


 パーティ加入申請が飛んできたので承諾してから、露店に飛ぶ。



 ◇ ◇ ◇



 結論から言えば、しまえました。

 もっと早く気が付いていれば、もっと色々と楽だったかもしれないのに……!


 …………と言っても、布のサイズを決めるときも露店で直接布を合わせて、いいサイズで『アイロン』と『直線』機能を使って折り目を付けたりしていたからなぁ。

 それが、マイルームでも行えたのに、ってくらい?


 テーブルクロスの4辺を三つ折りで縫うのは、いつも通り床で行いましたし。多分、露店テーブルがあっても、床で行ってたと思う……し……。


 まぁ良いや、これでタッセルの縫い付けは楽になると思うんだよね。サクサクやっていきましょう。



 ◇ ◇ ◇



「マジかあ……」

「どうしました?」

「タッセルが半分にも足りなくて悲しんでいます」

「それは……。ええっと、お疲れ様です?」

「ありがとうございます」


 大量に作ったはずのタッセルをいざ縫い付けてみたら、3分の1くらいしか埋めることができなかった。あと、3分の2くらい頑張らないと。

 タッセルって作るのは簡単だけど、大量生産はつらいね。でもこれも、オシャレなテーブルクロスのため……!

 

 そして、テーブルクロスが出来上がったら、ハンカチを作るため……!


「あ」

「ネイビーさん?」

「俺、ヨツバくんにショートケーキを買ったお店聞きたいんでした」

「あぁ……ケーキ屋さん! 僕が買ったのは露店ですが、そのプレイヤーの弟子入り先のケーキ屋さんもありますよ。どっちがいいですか?」

「……そうですね。露店、でお願いします」

「分かりました! あとでお教えしますね!」

「ありがとうございます」


 やったー! 教えてもらえるぜ!

 これで、プラムさんとのお茶会にケーキを出せる。やったね。いえい。


 楽しみも増えたことだし、タッセル作りを頑張ります。やる気が出たからか、先程よりも集中して作ることが出来てる。さっきまでは、1個作る度に手が止まっていたんだけどね、今は止まらずどんどん作っている。えらい。

 悩む作業はないので、ひたすら作って、集中力が乱れて飽きてきたら、クッキーをつまみながら縫い作業を行う。そして、縫い付けるタッセルがなくなったら、またタッセル作りを行う。ひたすら、それの繰り返し。


 ヨツバくんは、ラビの話を語ってくれていたので、耳が癒やされた。めちゃくちゃ可愛がってるのが伝わってきて私まで幸せ。


 そんなこんなで──。

  

「できたー!」

「おめでとうございます!」


 完成しました。パチパチと拍手してくれるのが嬉しい。褒められるのって、何度されても嬉しいね。


「…………ヨツバくんってお時間まだ大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ!」

「良かったです。……これから、露店にテーブルクロスをかけに行くので、出来たらそのままケーキ屋さんに案内してほしいんですが、どうですか?」

「良いですよー! 行きましょう!」

「ありがとうございます」


 ヨツバくん様様。素敵なテーブルクロスも完成したしケーキ屋さんも知れるし、嬉しいこといっぱいだ。

 

 それにテーブルクロスも、一人ぼっちでの作業じゃ飽きてもっと時間がかかっていたかもしれない。そう思うと、見ていてもあまり楽しい作業じゃなかっただろうに、いてくれたヨツバくんに感謝の念が堪えない。……わ、時間を確認したら1時間半も作業してたんだ。


 ほんっと、お礼でたくさんの物を贈りたいよ。


 ……ふふ、渡す理由も、ケーキ屋さんを教えてくれたお礼、ってことにもできちゃうしね。作業を見守ってくれたお礼、は受け取ってくれなさそうだけど、教えてくれたお礼ならギリ受け取ってくれそう。

 

 よーし、それじゃあ露店に向かおうー!




いつもお読みくださりありがとうございます。

ブクマ、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます!

祝☆3000ポイント超え!読んでくださる皆様のおかげです!!めちゃくちゃ嬉しいです。いいねも1000件超えたので狂喜乱舞してます。

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― 新着の感想 ―
面白くて1話から54話まで一気読みしちゃいました!!!続きが楽しみです!!!
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