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VRMMOの世界で怖いお兄さんをしています〜本当はVRでお茶会エンジョイしたかっただけなのに〜  作者: 春咲 イブキ
第1章

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第44話 キッチンを買います


 テーブルクロスなんだけどね、効果はついているか聞かれて見てみたら両方とも効果はなしだった。それを伝えたら、ヨツバくんはこっちが驚くくらいに驚いてしまって、暫く「ネイビーさんの作ったものでもつかないことがあるなんて……」と言っていた。

 そのくらいいっぱいあるんじゃないのかな、多分。それに、両方とも簡単な作り方だったし、私的には見た目が良ければ全て良し!



 次はクッションを作ろうと思ったんだけど、ふと思い出しました。


「…………キッチン買うの忘れてました」

「そう言えば、そうですね」

「マイルームの項目からでしたよね……。あ、ありました。また忘れないうちに買っちゃいます」


 〈マイルームの外に出てください〉


 キッチンを買ったら、ウィンドウが表示されて外に出るように促された。


「……一度外に出ないといけないみたいです」

「そうなんですね」


 二人でマイルームの外に出てみるが、特に外側の雰囲気は変わらない。二人で顔を見合わせながら、もう一度扉を開いて中に入った。


「おぉ」

「わぁっ」


 すごい、キッチンついてる!!

 さっきまでよりもマイルームが広くなってキッチンが出現していた。そのキッチンは木製で、木製のマイルームによく合っていてオシャレだ。

 あれじゃん、外と中の大きさが一致しないタイプの家だ……! 絶対、外より中のほうが大きくなったよ。……あ、今入ってきたことによって、外ではキッチン分大きくなる処理がされていたら知らないけど。


「早速使ってみましょうっ」


 ヨツバくんの言葉に頷いて、キッチンに近付く。

 水は温度を設定して出せるタイプだった。『0度〜100度』まで自由自在。初期設定は『30度』だった。


「100度のお湯出してみません!?」

「良いですよ」


 設定を『100度』にして二人で眺める。湯気がもくもくと上がっていて、とても熱そうだ。……と思ったら。

 

「あつッ……!」

「な、にしてるんですか!?」


 熱湯だとわかっているはずなのに、ヨツバくんが突如そのお湯を触るから裏返った声が出た。

 

 ほんっと、何をしてるの!?


「……えへへ、本当に熱いのかとか、アバターの体だとどうなるのかとか、気になっちゃって…………」

「火傷とかしてません?!」

「しました! HPも少し減りましたし面白いですね!」

「…………元気に言うことじゃないです」


 本当にびっくりしたんだよ……。しかも、火傷してるし。冷やすために冷たい水を、と思って『0度』に設定してみたら、氷が出てきた。


「氷が出てくるんだ……取りあえずこれで冷やしといてください」

「このくらい大丈夫ですよ、寝たら治りますから! ゲームなので」

「……でも、地味にFJOってリアル志向なのでHPは回復しても、火傷は暫く痛いかもしれないじゃないですか。冷やしておいたほうがいいですよ」

「た、確かに……ずっと痛いのは嫌です…………実は、今もかなり痛いです」


 ヨツバくんは、素直に氷を指でつまんで火傷した指を冷やしている。……結構赤いね!? 現実だったら、即病院だよ……いや、現実だったら『100度』のお湯を触ろうとは思わないだろうけどさ。ゲームだから、『100度』のお湯を触ってできた火傷も、笑っていられる程度で済んだんだろうし…………。


「危ないことはしないでくださいね。……何度もしたら出禁にしますよ」

「出禁!? それは嫌ですっ……! もうしませんごめんなさい」


 頭を下げて反省の意を示されるので、許すことにした。痛いこととか危ないことなんてみたくないよ。それが、自分のマイルームで起きたこと、なんて嫌すぎる。

 …………まぁ、戦闘が一番痛くて危ないことなんだけどね。それを止める権利は私にはない。



「…………火も付けてみますが、触ったりしないでくださいね」

「はいっ」


 言っておかないと試しそうで怖いんだもん。ヨツバくんは危なっかしい幼稚園児かな?

 実際私も、火を触ったらどうなるんだろう……と興味惹かれたことはあるんだけど、絶対火傷するって分かっているので触りません。そして、私のマイルームでは触らせません。

 ……ヨツバくんが自分のマイルームにキッチンを買ってでも試してみたい、と言うなら私には止めることは出来ないけど、出来るだけ痛いことはしないでほしいな。


「……あ、コンロ?は火がつかないタイプでした。手をかざすと温かいですね。こちらも設定から温度を変えられるみたいです。電気……いや、ゲームの世界ですから魔力、とかですかね」

「ありそうですね。魔導具、とか心惹かれます」



 …………というか待って、気が付いたんだけど、キッチンはあるし、茶葉やティーカップ、ティーポット、そしてケーキスタンドもある。服やテーブルクロスも作ったし、クッション……は作ろうとしたけどなくても大丈夫だし、数人で使えそうなオシャレなテーブルも買った。あと、大事な美味しいお菓子もある。


 …………つまり、お茶会が開けるのでは!?


 

「ヨツバくん」

「あ!」

 

 声が被って、顔を見合わせる。


「……お先にどうぞ」

「あ、えっと、その……不眠のバッドステータスがついちゃいました」

「……なるほど。ちょ、ちょっとだけ待ってもらえませんか」

「? はい」


 ヨツバくんが睡眠に行っちゃう前に誘っちゃおう、と思ったんだけど緊張する〜〜!! えーっと、いつ、いつがいい?

 やるなら、出来るだけ早くやりたくない? 楽しみだったし…………、今が現実で17時だから今日の現実時間21時頃から……とかどうだろう。突然すぎる!? 時間遅すぎ?!?


「……ネイビーさん?」

「その、ですね。……お茶会の準備が出来たんですが、今日の、……あ、現実でですね、21時頃とかお暇かどうかお聞きしたくて…………」


 どもってしまうのが恥ずかしい。もっと、ちゃんと誘いたいのに。


「突然すぎますか…………? あ、無理だったら別日で大丈夫なので……!!」


 恥ずかしくて、ヨツバくんの顔が直視できない。…………だけど、反応が気になってちらりと見たら、目が合った。その目はキラキラに輝いていた。見ていると吸い込まれそうな程に綺麗な瞳だ。


「21時ですねっ! 大丈夫ですよ、ぜひお茶会行かせてくださいっ……!」

「……やったあっ!! ……あ、素が、……その楽しみにしてます……」

「僕もです!」

 

 嬉しくて、素も出てしまった。恥ずかしくて消え入りそうだ。……でも、そもそもお誘いの時点で、敬語なだけでほぼ素だったもんね。うぅ、本当嬉しい、おっけー貰えたよ! 内心小躍り、がまた始まった。


「現実21時で……ゲーム内は、6時、ですね。朝からティーパーティーってオシャレですね」

「そうですね。…………あ、俺も不眠つきました」

「大変ですね! 取りあえずお互い寝ましょうか!」

「そうしましょう」


 顔を見合わせて笑い合う。嬉しいなぁお茶会だよ。


「それじゃあ、21時に遊びに来ますね」

「お待ちしています」


 手を振り合って、ヨツバくんが帰っていく。

 充足感に満たされながら私はベッドに横になった。

 

 念願のお茶会だー!!

 

 現実で考えたら、ゲーム開始2日目の最後をお茶会で締められるってことじゃん? すごくない?

 しかも、ヨツバくんとだって、そう考えたら昨日出会ったばかりなのに長年の友達、って感じがするし、嬉しいことがいっぱいの2日間だった。ゲーム内でだって、まだ6日目なのにね。


 お茶会をしたらもっと仲良くなれるかな。

 今日の夜が待ち遠しいよ。


 今の現実時間は17時だから、睡眠を8時間取って、現実時間19時に起きようと思う。そしたらログアウトをして、お夕飯と運動とお風呂も済ませてしまおうと思ってるんだ。


 そしたら憂いなくお茶会が楽しめる!

 楽しみでそわそわしちゃうよ。


 そう思いながら、私は『睡眠』を選択して寝た。どんなにそわそわしていても、すぐ眠れちゃう優れもの。────睡眠間際まで、お茶会楽しみだなぁと考え続けていた。




 

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